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日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載⑦)

日本IBMの定年後再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いており、社会的責任やモラルが問われています。組合は、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。前号までの6回の連載では会社の団交や文書回答での不誠実な対応をお伝えしてきましたが、今号の7回目はその後の労使間のやりとりをお伝えします。

シニア契約社員制度に関する書簡のやりとり

組合は10月31日の団交で、2通の組合書簡「シニア契約社員制度に関する情報要求」(質問10項目)と「シニア契約社員制度に関する情報要求(2)」(質問6項目)に対する会社の文書回答が不誠実回答であると抗議し、再回答を要求しました。これに対し会社は、再検討すると持ち帰り、11月27日に文書で再回答しましたが、この再回答は前回から全く前進がありませんでしたので、組合は翌28日の団体交渉で再抗議しました。以下に11月27日の会社再回答と、翌28日の団体交渉の模様を紹介します。いずれも、東京都労働委員会が今年3月に発した全部救済命令後も会社が依然として不誠実な対応を継続している内容です。

11月27日の会社再回答

前回の団体交渉で開示できない旨を回答している質問事項については、いずれも当社の従業員にも開示していない内部情報であって、申し訳ありませんが組合に対しても開示はできません。この点、貴組合には当社の従業員でない方が含まれているものの、当社としては、これまで、従業員に開示している情報については可能な範囲で組合にも開示するようにして参りました。しかしながら従業員に対しても開示していない情報を開示することはできませんので、ご理解いただけると幸いです。その他の質問事項についても、前回の回答から変更はありません。

11月28日の団体交渉でのやり取り(抜粋)ー回答できない理由を説明しない会社

組合 提出させていただいた(2通の)書簡について、1回目の(会社)回答をいただいて、今回2回目の回答をいただいて、これで確定されるという認識をしています。それであっていますか。
会社 前回の団交のところで、これが本当に最終回答かということがありましたので、あらためて持ち帰って検討した結果です。あっています。
組合 従業員にも開示してない情報だから組合にも開示しないというのでは、賃金交渉が成り立たなくなってしまうと考えていますので、この(回答)書面について抗議いたします。再回答はない、最終回答だということなので、中央労働委員会にも影響が出るような内容だと思っています。会社の姿勢としてはそういう姿勢を示されたと考えています。組合回答できない理由をしっかり説明してくれるように前回言ったと思うのですが全然伝わらないですね。なぜ回答できないのですか。それは会社が回答しないと決めていることだから、のようなことでは意味がない。一般的にこのようなものが労使関係の中で開示され、それをもとに協議するのが当たり前になっているのに、なぜ日本IBMはこれが開示できないのか。労使関係の場でも開示できないことについて説明して下さいと言いましたけど、その説明をしない、ということは、不誠実団交に対して解決をしようということで中労委が動いているけれども、その前提にある情報開示が、こんなにお粗末だったら(解決)できるはずがない。これでどうやって組合と解決しようと考えているのか不思議でならない。これは人事担当に答えられる内容ではない、もっと上の組織の人間が情報開示してはならない、と言っただけで、なぜ(開示しては)ならないか説明させてくれない状況なのだろうと思います。その姿勢がまともな労使関係を作ろうと言うつもりがないことの表れであると、そこが一番の原因だろうと思っています。会社が今回の回答で少しでも誠実さを見せれば、中央(労働委員会)でも会社が前進しようとしてるのではないだろうか、そういう判断をするかもしれなかった。全くゼロ回答ということを表明された。それがどういう結果になるかについて、人事担当として想像がつくのではないかと思います。(次回につづく)

日本IBM従業員代表選挙 組合推薦候補へのご支持ありがとうございました

今年の日本IBMグループの従業員代表選挙は、組合推薦候補が左表の2選挙区に立候補しました。投票は11月26日に締め切られ、箱崎第2ブロックで再選挙にもつれ込みました。再選挙は12月5日に投票が締め切られ、最終結果は上表の通り、組合推薦候補は日本IBM箱崎第2ブロックで当選させて頂くことができました。従業員の皆様の組合推薦候補へのご支持に御礼申し上げます。

組合推薦候補は善戦

今回の選挙では、箱崎第2ブロックの組合推薦候補は、対有効投票得票率が一回目は43.4%、二回目は39.1%と、相手候補にだいぶ迫りました。過去の選挙での組合推薦候補の対有効投票得票率は、高い時で30%台前半でしたので、今回はそれを上回るところまで押し上げて頂きました。

会社のYESマンが従業員代表になることの恐ろしさ

会社がこれまで会社都合を反映し実施してきた諸制度の変更で明らかなように、会社のYESマンの従業員代表は、労働条件の不利益変更が含まれていても会社からの制度変更提案に同意してしまいますので、その不利益は当該事業所の全従業員に及ぶという恐ろしさがあります。会社はこれまで、会社のYESマンの従業員代表の同意を得て、組合との事前協議も十分に行わずに諸制度の改悪を強行してきました。実際に行われた制度改悪の象徴が、賃下げを可能にする格付規程の改悪です。その結果が、会社がパワハラ4点セット(低評価、PIP、賃下げ、降格)を使って行ってきた人員削減と人件費削減なのです。

不正行為の情報提供を

今回の日本IBMグループ、キンドリルジャパン・グループの従業員代表選挙で、ラインマネジャーからの立候補依頼、特定候補者への投票依頼などにあわれた従業員の方は、是非、組合トップページ(JMITUIBMで検索) の上部にある「従業員代表選挙不正行為通報」ボタンを押して、情報をご提供下さい。組合推薦候補へのご支持を組合推薦候補は、労使対等原則(労働基準法第二条第一項)の立場に立ち、従業員代表に選ばれれば、会社提示の就業規則改定案に関する事柄だけではなく、就業規則全般について従業員の利益、労働条件の向上になるよう会社に意見することをお約束します。今後とも従業員代表選挙では、ぜひ組合推薦候補をご支持下さい。

日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載⑥)

日本IBMの定年後再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いており、社会的責任やモラルが問われています。組合は、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。今回が6回目の連載となります。前号まで5回連続で団交のやりとりを中心に紹介してきましたが、会社の不誠実な対応は紹介した通りです。今号でも、前号で紹介した「シニア契約社員制度に関する情報要求」に対する会社回答の続き(項番8から)を紹介します。今回紹介する会社回答も、東京都労働委員会が今年3月に発した全部救済命令後も依然として不誠実な対応を継続している内容です。

シニア契約社員制度に関する情報要求と会社回答

9月25日の団体交渉で、組合はシニア契約社員制度について質問し、会社はその回答を持ち帰ることになりました。組合は10月31日の団交までに文書での回答を求め、誠実に協議することを求める書簡を提出し、会社が10月30日に回答してきました。以下に項番8からの情報要求と会社回答を紹介します。
(前号の続き)
8.定年までペイ・フォー・パフォーマンス、スキルに応じた賃金だと言われて、60歳になるとなぜ一律にバンド3の仕事しかありませんという制度になるのか回答すること。
(会社回答)
改正高年齢者雇用安定法の施行により60歳定年退職後に雇用継続を希望する社員全員に雇用機会を提供する必要性が生じたところ、IBMにおける顧客からの受注件数・受注額自体に大きな変化がない中で、新規採用等の会社全体の運営や従業員の年齢分布に影響が出ないようにするためには、定年再雇用者向けの新たな仕事を創出する必要がありました。このため、IBMは、シニア契約社員の業務内容について、これまで社外に委託していた仕事や部門で発生するサポート業務などを切り出して、新たにシニア契約社員の業務を創出することにしましたが、かかる方法によって十分な分量の業務を確保できると見込めた業務がバンド3相当のサポート業務だったためです。
9.「シニア契約社員の職務は、外注していた業務等を一部中止して新たに創出したもの」と断定しているが、シニア契約社員のすべての業務を確認した調査方法、結果を開示すること。
(会社回答)
シニア契約社員の業務については、契約開始時および契約更新時にマネージャーが業務アサインチェックリストを用いてバンド3相当の業務を検討し、事前にオファー内容について社員に確認をとっています。業務アサインに際しては、社員の申し込み内容や健康状態も配慮しています。
10.業務のアサインがまったく無いシニア契約社員がいるかどうか、業務のアサインが勤務時間の50%未満というシニア契約社員がいるかどうか、を回答すること。
(会社回答)
現時点でそのような実態は把握しておりません。、なお、一時的に担当業務がなくなることは正社員であってもしばしば発生する事態であり、サポート業務のみに従事しているシニア契約社員については同様の事態がより発生しやすいとは思いますが、少なくとも大多数のシニア契約社員についてご指摘のような状況が常態化していることは無いと認識しております。今後も適切に制度運用がなされるようサンプリング調査を継続して参りますが、人事部の人数が限られており既存の業務で手一杯である関係上、全員についての網羅的な調査は困難であるため、組合で把握している具体的な部署名や個人名についてご教示いただければ確認いたします。

不誠実団交をやめろ

東京都労働委員会は、今年3月に日本IBM(シニア契約社員制度)事件において発した命令において、シニア契約社員の給与を議題とする団体交渉における日本IBMの対応は、次の理由で不当労働行為に当たると認定しています。
・組合らは、長年にわたりシニア契約社員の処遇改善を会社に要求し、社会情勢や定年後再雇用を取り巻く環境の変化に応じて、会社に改善すべき根拠を示してきた。
・組合らは、団体交渉においても、シニア契約社員の給与が低いことなどについて根拠を示した上で、パートタイム・有期雇用労働法の説明義務に基づく具体的な説明を求めていた。
・これに対し、会社は、組合らの質問に応じた具体的な説明や回答を行わず、従前と同様の抽象的な回答を繰り返していたのであるから、シニア契約社員の給与を議題とする団体交渉における会社の対応は、不誠実な団体交渉に当たるといわざるを得ない。
このような都労委命令を受けながら日本IBMは今も上記のような不誠実な回答を続けています。
組合は会社の不誠実な対応とは一貫してたたかいます。次号では次回の日本IBMとの団交について紹介します。
(次回につづく)

JMITU冬ボーナス回答速報 組合員平均、昨年を3万7375円上回る

物価高騰が依然として続いている中、JMITUの24年末一時金闘争は、11月14日現在、81支部分会が回答を引き出しています。また、上積み回答を求めて奮闘する支部分会が広がり、上積み回答を引き出したところは、15支部分会にのぼります。

JMITU主要企業の支部・分会は昨年冬に続き堅調で、左表の通り90万円を超える回答を引き出しています。全体としても昨年冬の水準を上回っています。JMITUの組合員平均(加重平均)は、昨年同時期との比較で+3万7375円(+0.07ヶ月)となっています。昨年同時期の伸び(一昨年同時期との比較)は+3万3194円(+0.12ヶ月)でしたので、今年は昨年を上回る伸びを示しています。支部別では次のような成果を上げています

埼玉地本では、日信工業支部が3次回答72万円(2.25ヶ月+2万円)を引き出したほか、東鋼業支部でも65万円(1.95ヶ月)の2次回答を引き出しました。東京東部では、小坂研究所支部は2次回答70万円(2.31ヶ月)を引き出しました。東京西部では超音波工業支部が二次回答で100万円の大台にのせ、アジアエレクトロニクス支部が二次回答で47万1,902円(1.30ヶ月)を引き出しました。東京北部では鈴木シャッター支部が2次回答71万円(2.50ヶ月)を引き出しました。長野地本では日酸TANAKA支部が2次回答68万5373円(2.20ヶ月)を引き出しました。愛知・川本製作所支部では3次回答120万4500円(3.95ヶ月+5万円)を引き出しました。京滋地本ではカシフジ支部が2次回答109万円(3.42ヶ月)を引き出ました。大阪地本では、少数組合である電業支部で2次回答62万円(2.16ヶ月)を引き出しています。

IBM・キンドリルの状況

上表の通り、日本IBMの組合推定平均支給額は、賃上げ日が5月1日のため、夏ボーナス時と同額の100万5千円(2.22ヶ月)で、昨年より7万9千円アップでした。また、キンドリルジャパンの組合推定平均支給額は、賃上げ日が7月1日のため、夏ボーナス時より1万8千円アップの96万6千円(2.12ヶ月)で、昨年より5万円アップでした。

昨年よりアップも不十分

このように日本IBM、キンドリルジャパンを含め多くの支部分会で回答は昨年実績を上回っているものの要求に届かず、物価高騰を補うにはまだ不十分な水準です。まだ多くの支部分会が大幅上積みを求めて闘争を継続しています

日本IBMの組合員Aさんが知らぬ間に退職者に‼ 前代未聞の不祥事!日本IBMは社長名で謝罪せよ!

日本IBMのコンサルティング事業本部に所属するAさんは、今年5月に組合に加入しました。

Aさんの組合加入の経緯-所属長の執拗な退職勧奨

Aさんは、2024年4月の傷病休職からの復職の後、所属長の中島理絵担当(理事・ヘルスケア&ライフサイエンス・サービスパートナー担当)から自分で仕事を探すように指示を受け、OpenSeatなどを通じて社内でプロジェクトを探していましたが、プロジェクト決定には至っていませんでした。
この間、中島担当は4月から6月にかけてAさんと面談を5回行い、その中で「IBMが今持っている仕事の内容と、Aさんのケイパビリティとかやっぱりマッチしない」「Aさんのケイパビリティを活用してビジネスになるっていうのがちょっとない」「IBMじゃなかったら(中略)あると思うんですよ」(「中島さんが私の立場でしたら、どういうふうに今後行動されますか」という問いに対し)「もう転職しますね」といった発言を何度も繰り返し行いました。
中島担当のこのような発言は、退職しろとは一言も言わず、Aさんが何を言っても否定するような雰囲気をつくり、ちくりちくりと会話の流れを退職の方向にだけ持っていっており、執拗な退職勧奨と取れる発言です。Aさんはこれに対して精神的苦痛を強く感じていましたので、5月に組合に加入しました。
そもそも従業員に業務をアサインするのは会社の責任ですが、中島担当は上記のようにAさんに業務をアサインせず、面談で精神的苦痛を与える退職勧奨発言をAさんに繰り返し浴びせました。
このような対応や発言はパワハラと取られかねません。

Aさんが知らぬ間に退職者に-会社から退職処理の原因の説明なし

その後、8月10日にAさん宛に住民税の納税通知書が届きました。
ご存じのように、個人住民税の納付方法には特別徴収(給料天引き)と普通徴収(納税通知書で納付)があります。
Aさんは他の従業員と同様、特別徴収で納付していましたので、住民税の納税通知書が届いたことを不思議に思い、Aさんの依頼を受けた家族が区役所で確認すると、職員から「当該人はIBMを退職するため、本人が自分で支払うとした手続きがIBMによってなされている」という驚くべき説明がありました。
つまり、まだ会社に在籍しているAさんが知らぬ間に退職者になっていたのです。
一年間の個人住民税の給与天引きの開始は6月ですから、Aさんの退職処理は5月までには完了していた、つまり、中島担当との面談が行われているさなかにAさんの退職処理は完了していたと思われます。
これは前代未聞の不祥事です。
これを受けて組合は9月25日と10月16日の団体交渉で、Aさんの退職処理が行われていた原因を追及し、その回答を会社に要求しました。
その結果、10月30日に中国・大連の給与部門からAさん宛の社内メールで回答がありました。
回答の要旨は次の通りです▼給与支払プロセス内の手作業の一部で発生した書類の誤記によって、本来特別徴収されるべきところ普通徴収に変更された状態で区役所に連絡が行われてしまったことが判明いたしました。
しかし、「書類の誤記」は原因ではなく結果ですので、この回答は退職処理の原因を一切説明していない不誠実回答です。

会社は退職処理の原因を誠実に回答し謝罪せよ

組合は翌10月31日の団体交渉で、Aさんの退職処理の原因を回答するよう重ねて要求しました。
そもそも会社システムによる従業員の退職処理が可能なのは当該従業員のラインですから、Aさんの退職処理をキックしたのは所属長の中島担当と見るのが自然です
日本IBMはAさんの退職処理の原因を誠実に回答し、退職処理の事実について社長名で謝罪すべきです

 

日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載⑤)

定年後再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いており、社会的責任やモラルが問われています。組合は、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。今回が5回目の連載となります。前号まで4回連続で団交のやり取りを中心に紹介してきましたが、会社の不誠実な対応は紹介した通りです。今号では「シニア契約社員制度に関する情報要求」に対する会社回答を紹介します。今回紹介する会社回答も、東京都労働委員会が今年3月に発した全部救済命令後も依然として不誠実な対応を継続している内容です。

シニア契約社員制度に関する情報要求と会社回答

9月25日の団体交渉で、組合はシニア契約社員制度について質問し、会社はその回答を持ち帰ることになりました。組合は10月31日の団交までに文書での回答を求め、誠実に協議することを求める書簡を提出し、会社が10月30日に回答してきました。以下に情報要求と会社回答を紹介します。
*****
1.現在のシニア契約社員の人数を年齢別に開示すること。60歳の人数61歳の人数62歳の人数63歳の人数64歳の人数
2.シニア契約社員制度が2013年4月にできてから、60歳定年退職を迎えた従業員数とその中でシニア契約社員を選択した実績を年度ごとに開示すること。
3.現在のシニア契約社員の総額人件費を開示すること。(1~3の会社回答)IBMでは従業員の人数を含めて非公開としているため、申し訳ありませんが開示することはできません。
4.シニア契約社員の賃金を決定するための市場調査の方法、内容、結果について、具体的な情報・資料開示すること。

(会社回答)
これまでも何度か説明しているとおり、当社はマーケット調査に関して外部から取得した情報について守秘義務を負っているため、マーケット調査の方法、内容、結果等に関する具体的な情報・資料を開示することは、申し訳ありませんができません。但し、以前も説明しておりますが、説明可能な範囲でシニア契約社員に関するマーケット調査の特徴を説明すると以下のとおりです。まず、バンド6以上のマーケット調査においては、原則として同種市場における他社において同種の業務(バンド及びジョブファミリーの近い業務)に従事している正社員の給与水準について、主に同業他社と守秘義務契約を締結した上で相互に情報を開示し合う方法(補助的に外部の調査会社に委託する方法)によって調査していますが、シニア契約社員の給与を決定するにあたって行っている「バンド3相当のサポート業務」に関するマーケット調査においては、IT業界においてバンド3相当のサポート業務を主たる業務としている正社員がいる会社はほとんど存在しないため、マーケット調査の対象は、主に有期雇用社員であり、その中には、単純なサポート業務のみを行っている派遣社員やアルバイトの給与水準が含まれています。5.IT業界の他社で定年後再雇用の賃金水準がどの程度かいう点をなぜ市場調査しないのか回答すること。(会社回答)マーケット調査は当該業務の市場水準を調査するものであって、担当している業務とは無関係に定年後再雇用の給与水準を調査するものではないためです。6.2024年の市場調査を実施しないで、どのようにシニア契約社員賃金(月額賃金18万5千円) を決定し、2024年10月1日からの契約更新(1年)をしたのか回答すること。(会社回答)マーケット調査は毎年行っています。また、シニア契約社員の調査は正社員とは少しサイクルが異なり、特定の時期だけに行っているものではなく継続的に情報を収集しており2024年も情報を収集しています。7.シニア契約社員の賃金は、60歳以降社員が受け取る企業年金や公的補助、厚生年金を配慮して決定されていた。どのように配慮されているか回答すること。(会社回答)制度導入時においても、シニア契約社員の賃金は、専ら担当業務の市場調査の結果によって決定されていたものであり、年金等を主たる要素として決定された賃金が決定された訳ではありません。専ら市場調査の結果によってシニア契約社員の賃金を決定した後に、年金等について補助的・参考的に考慮した結果となります。したがって、市場調査によって決定された給与水準にさらに年金等の金額を追加することが必要と考えていた訳ではありません。項番8以降は次号で紹介します。(次回につづく)

IBM/キンドリル従業員代表選挙組合推薦候補に投票を

IBM/キンドリル従業員代表選挙組合推薦候補に投票を

日本IBM、キンドリルジャパンで11月1日に従業員代表選挙が公示されました。
今回の従業員代表選挙には、左表の組合推薦候補が左趣意書を提出して立候補しています。(キンドリルジャパンでは11月8日時点で立候補受付は開始前です。)従業員代表は「時間外および休日労働に関する協定書」(36協定)などの労使協定の締結、ならびに就業規則の一部改定についての意見聴取の役割を担います。任期は今年12月1日から来年11月30日までの1年間です。両社で従業員代表選挙が行われるのは、労働基準法が、労使協定の労働者側の締結当事者を、労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者と定めているためです。よって、両社は労使協定を従業員代表と締結しているのです。

会社のYESマンの従業員代表の恐ろしさ

組合推薦でない候補者は、会社のYESマンの可能性があり、立候補趣意書の推薦人欄にラインマネジャーの名前の記載がある、つまり会社側の人から推薦されているケースが散見されます。会社のYESマンの従業員代表は、労働条件の不利益変更が含まれていても、会社からの制度変更提案になんでも同意しかねない恐ろしさがあります。会社はこれまで、会社のYESマンの従業員代表の同意を得て、組合との事前協議も十分に行わずに諸制度の改悪を強行してきました。実際に行われた制度改悪の象徴が、賃下げを可能にする格付規程の改悪です。その結果が、会社がパワハラ4点セット(低評価、PIP、賃下げ、降格)を使って行ってきた人員削減と人件費削減なのです。

組合推薦候補に投票を

従業員の皆さんにとって利益になるのは組合推薦候補の当選です。組合推薦候補は、上趣意書のとおり、労使協定の締結や就業規則等の改定に際し、必ず従業員の利益、労働条件の向上になるよう会社に意見することをお約束します。ぜひ、組合推薦候補者への投票をお願いします

日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載④)

再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いており、会社の社会的責任やモラルが問われています。10月1日から一年間の契約も同額の月額18万5千円で更新されました。組合は、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。今回が4回目の連載となります。

東京都労働委員会命令

前号まで3回連続で団交のやり取りを中心に紹介してきましたが、会社の不誠実な対応は紹介した通りです。東京都労働委員会は、今年3月18日に日本IBM(シニア契約社員制度)事件において発した命令において、シニア契約社員の給与を議題とする団体交渉における日本IBMの対応は、次の理由で不当労働行為に当たると認定しています。・組合らは、長年にわたりシニア契約社員の処遇改善を会社に要求し、社会情勢や定年後再雇用を取り巻く環境の変化に応じて、会社に改善すべき根拠を示してきた。・組合らは、団体交渉においても、シニア契約社員の給与が低いことなどについて根拠を示した上で、パートタイム・有期雇用労働法の説明義務に基づく具体的な説明を求めていた。・これに対し、会社は、組合らの質問に応じた具体的な説明や回答を行わず、従前と同様の抽象的な回答を繰り返していたのであるから、シニア契約社員の給与を議題とする団体交渉における会社の対応は、不誠実な団体交渉に当たるといわざるを得ない。

バンド3とは何か

日本IBM日本では、新入社員は、入社後のトレーニングが終わればバンド6に位置づけられ、これがスタートとなります。日本IBMにおいてはバンド3やバンド4に相当する職務は、過去に運転手やマッサージ師などがありましたが、現在はバンド3やバンド4に相当する職務は存在せず、シニア契約社員以外にはバンド3に位置づけられる職務はありません。従業員が所属するバンドに対応して給与レンジ(上限・下限)が決められており、給与レンジの幅の中で人事評価により賃金額が決定されるシステムとされています。そのためシニア契約社員の給与水準を交渉するためには、個々のシニア契約社員が担当する職務の分析・評価について情報、及び職務ごとに競合他社等の給与水準の調査結果、調査方法等の情報の開示が必要不可欠です。これらの情報を会社が開示して交渉を進めて初めて実のある団体交渉が可能となります。

シニア契約社員制度に関する情報要求(組合書簡)

組合は9月25日の団体交渉でシニア契約社員制度について会社に質問し、会社は質問を持ち帰ることになりました。組合は10月1日の書簡でそれらの質問事項を会社に提示し、10月31日の次回団体交渉までに文書回答し、誠実に協議することを要求しました。10月1日の書簡で会社に提示した質問事項は次の通りです。1.現在のシニア契約社員の人数を年齢別に開示すること。60歳の人数 61歳の人数 62歳の人数 63歳の人数 64歳の人数 2.シニア契約社員制度が2013年4月にできてから、60歳定年退職を迎えた従業員数とその中でシニア契約社員を選択した実績を年度ごとに開示すること。3.現在のシニア契約社員の総額人件費を開示すること。4.シニア契約社員の賃金を決定するための市場調査の方法、内容、結果について、具体的な情報・資料開示すること。5.IT業界の他社で定年後再雇用の賃金水準がどの程度かいう点をなぜ市場調査しないのか回答すること。6.2024年の市場調査を実施しないで、どのようにシニア契約社員賃金(月額賃金18万5千円) を決定し、2024年10月1日からの契約更新(1年)をしたのか回答すること。7.シニア契約社員の賃金は、60歳以降社員が受け取る企業年金や公的補助、厚生年金を配慮して決定されていた。どのように配慮されているか回答すること。8.定年までペイ・フォー・パフォーマンス、スキルに応じた賃金だと言われて、60歳になるとなぜ一律にバンド3の仕事しかありませんという制度になるのか回答すること。9.「シニア契約社員の職務は、外注していた業務等を一部中止して新たに創出したもの」と断定しているが、シニア契約社員のすべての業務を確認した調査方法、結果を開示すること。10.業務のアサインがまったく無いシニア契約社員がいるかどうか、業務のアサインが勤務時間の50%未満というシニア契約社員がいるかどうか、を回答すること。また、そのようなシニア契約社員が組合員の中にいるかどうか、を回答すること。(次回につづく)

JMITU日本IBM支部24秋闘二次要求書の紹介 重点要求以外の要求より

10月23日、組合は日本IBM、キンドリルジャパンに2024年のJMITU日本IBM支部秋闘二次要求書を提出しました。

回答指定日は11月6日です。この支部秋闘二次要求書は、重点要求のみ掲載した支部秋闘一次要求書に、職場のさまざまな労働条件の改善を求める詳細要求を追加掲載した要求書です。以下に支部秋闘二次要求書から詳細要求を抜粋して紹介します。

(IBM向け)労働条件の改善に関する要求

1.恒常的な仕事をしている臨時雇用者や、1年以上の継続勤務をしている派遣労働者については、本人が希望する場合は正社員化を検討すること。2.社員食堂について(1)箱崎事業所の社員食堂は再オープンする予定はあるのか回答すること。(2)箱崎事業所の社員食堂が再オープンしないことが決まっている場合は、箱崎事業所の従業員に食費補助金を出すこと。(3)箱崎以外の事業所の、社員食堂が利用できない従業員には食費補助金を出すこと。6.傷病休職に関する要傷 求病休職期間中は、現行制度では最初の3ヶ月(短期休職期間)は賃金が支払われ、その後は傷病手当金(本給より低い金額)が支払われるが、この制度を2014年の就業規則改定前までの最長3年まで賃金を支払う制度に戻すこと。10.物価高騰を受け、各種出張手当を一律1000円増額すること。11.2時間以上の時間外労働をした際に支給される食事手当を500円にすること。

福利厚生に関する要求

3.未就学者までになっている育児早退の対象を、小学校卒業までに延長適用すること。4.借り上げ社宅制度の廃止を撤回すること。5.住宅費補助の廃止を撤回すること。

健康及び安全衛生に関する要求

6.定期健康診断において眼圧・眼底検査を40歳以上の社員の無料必須検診項目として追加すること。8.インフルエンザの無料予防接種を以下の内容で実施すること。(1)従業員が接種しやすい場所(例:箱崎ならば箱崎健康増進センター)で、最初から無料で(自己負担後に補助金を支給する方法ではなく)、予防接種を実施すること。(2)上記の無料予防接種の適用者に、被扶養者を含めること。(3)また、外部医療機関で受けた予防接種については全額を補助対象とすること。(4)平日のインフルエンザ予防接種にかかる時間を業務時間扱いとすること。

(キンドリル向け)労働条件の改善に関する要求

1.社員食堂が無い事業所に出勤している従業員には食費補助金を出すこと。2.物価高騰を受け、各種出張手当を一律1000円増額すること。3.2時間以上の時間外労働をした際に支給される食事手当を500円にすること。

福利厚生に関する要求

2.借り上げ社宅制度を創設すること。3.住宅費補助を創設すること。

健康及び安全衛生に関する要求

1.定期健康診断において眼圧・眼底検査を40歳以上の社員の無料必須検診項目として追加すること。2.インフルエンザの無料予防接種を以下の内容で実施すること。(1)従業員が接種しやすい場所(例:箱崎健康増進センター)で、最初から無料で(自己負担後に補助金を支給する方法ではなく)、予防接種を実施すること。(2)上記の無料予防接種の適用者に、被扶養者を含めること。(3)また、外部医療機関で受けた予防接種については全額を補助対象とすること。

日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載③)

再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いており、会社の社会的責任やモラルが問われています。10月からの一年契約も同額の月額18万5千円で更新されました。前々号から、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。今号では、今年3月に日本IBMシニア契約社員の労働条件交渉事件に関して、日本IBMの対応が誠実団体交渉義務に違反する不当労働行為に該当するとして、都労委から全部救済命令が出ました。会社はこの命令を不服として再審査申し立てを中労委に行っています。中労委に会社が提出した準備書面(令和6年8月20日)の内容と8月21日団体交渉でのやり取りを以下に紹介します。

会社の中労委宛・再審査申立人準備書面(1)(抜粋)

・(シニア契約社員の給与について)一度引き上げた賃金の引き下げは困難であるため、短期的な社会情勢の変化に応じて直ちに賃金を引き上げることはできず、中長期的な情勢を踏まえて内容を検討せざるを得ないからである。なお再審査申立人はその後の情勢も踏まえて昨年シニア契約社員の給与を一度引き上げているが、昨年末以来の情勢を踏まえてさがさらなる引き上げの必要性を検討しているところである。・別件訴訟で詳細に説明している通り、シニア契約社員の職務は外注していた業務などを一部中止して新たに創出したものである。

8月21日の団体交渉でのやり取り(抜粋)
組合 ここで言う(賃金引き上げの)必要性について、何をもって必要性があると判断しているのかということと、その必要性の今の検討状況はどうなっているか、ということ、二点お伺いますがどうでしょうか。

会社 世の中の動向です。賃金動向というのは必ず入れるようにしています。それから、定年再雇用制度は、希望した人を65歳まで雇用をする。仮に極端な話、定年を迎えられる方々みなさんが残った場合に賃金の支払い続けられるのか、というのは当然検討しているところです。(全員が残ることは)可能性としては考慮しなければいけない。

組合 「みなさん」というのは、100%シニア契約社員での雇用を希望したということですか。。

会社 100%希望されたら雇用する義務があるわけです。賃金の支払い続けられるのかっていうのは当然かもしれない。それから、その人口ピラミッドですよね。その高齢者層、いわゆるシニアなベテランの方々の層が厚くなればなるほど、この先10年、15年というところで、事業継続性のリスクも当然高まっていくわけですから、継続的に若年層の採用というのをしっかりしていかなければいけない。そういった全体の人口ピラミッドに対する影響というのも当然考慮しなければいけないところであって、その経営の継続性とかそういうところも見ていただいて、などですね。

組合 それが必要性の判断か。

会社 引き上げをすべきであるか否かっていうのを決定する一つの要因になっています。

組合 現在のこの引き上げの必要性の検討の状況とはいかがでしょうか。

会社 引き上げするしないという結果についてはまだ何も結論ないという状況です。全員がもし(再雇用を)希望されたらどうなるのだろうかっていう観点で、どうしても賃上げいうのは、ある程度、保守的にならざるをえない。

組合 全員と言ってるけど、全員再雇用したところで18万5千円のレベルの稼ぎ(業務)かと言えば、全然違うじゃないかと言いたくなります。日本IBMの年間利益いくらですか。生活できる賃金が必要です。それが社会的責任。

組合(外注していた業務などを一部中止して新たに創出したものという会社の主張について)シニア契約社員の職務は外注していた業務などを一部中止して新たに創出したものであるというこの表現なんですけど、現実、シニア契約社員というのは59歳までにやっていた業務を60歳・シニア契約社員になっても継続。新たに創出という表現は当たらないのではないかと思います。この事実があるとすれば、どの業務の何をやめて、誰に当てがったか言えますか。

会社 これまで派遣やアルバイトでお願いしていた業務をシニア契約社員用に契約社員として雇用した場合にアサインする業務として作ったということをここで感じる。

組合 これは調査された結果をここに書かれているのか。調査しないで書いているなら極めて悪質な書面。これは、ほとんどこういう業務をアサインしてますよ、っていうふうに印象づける文章です。逆に、今この例を言ってくださいって言えないんですよ。だから(創出したものは)稀なケースと思います。派遣社員の方ももっとレベルが高い仕事をされたのではないか。事実があるとすればぜひ紹介していただきたい。(次回につづく)

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