日本IBMの定年後再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いており、社会的責任やモラルが問われています。組合は、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。前号までの6回の連載では会社の団交や文書回答での不誠実な対応をお伝えしてきましたが、今号の7回目はその後の労使間のやりとりをお伝えします。
シニア契約社員制度に関する書簡のやりとり
組合は10月31日の団交で、2通の組合書簡「シニア契約社員制度に関する情報要求」(質問10項目)と「シニア契約社員制度に関する情報要求(2)」(質問6項目)に対する会社の文書回答が不誠実回答であると抗議し、再回答を要求しました。これに対し会社は、再検討すると持ち帰り、11月27日に文書で再回答しましたが、この再回答は前回から全く前進がありませんでしたので、組合は翌28日の団体交渉で再抗議しました。以下に11月27日の会社再回答と、翌28日の団体交渉の模様を紹介します。いずれも、東京都労働委員会が今年3月に発した全部救済命令後も会社が依然として不誠実な対応を継続している内容です。
11月27日の会社再回答
前回の団体交渉で開示できない旨を回答している質問事項については、いずれも当社の従業員にも開示していない内部情報であって、申し訳ありませんが組合に対しても開示はできません。この点、貴組合には当社の従業員でない方が含まれているものの、当社としては、これまで、従業員に開示している情報については可能な範囲で組合にも開示するようにして参りました。しかしながら従業員に対しても開示していない情報を開示することはできませんので、ご理解いただけると幸いです。その他の質問事項についても、前回の回答から変更はありません。
11月28日の団体交渉でのやり取り(抜粋)ー回答できない理由を説明しない会社
組合 提出させていただいた(2通の)書簡について、1回目の(会社)回答をいただいて、今回2回目の回答をいただいて、これで確定されるという認識をしています。それであっていますか。
会社 前回の団交のところで、これが本当に最終回答かということがありましたので、あらためて持ち帰って検討した結果です。あっています。
組合 従業員にも開示してない情報だから組合にも開示しないというのでは、賃金交渉が成り立たなくなってしまうと考えていますので、この(回答)書面について抗議いたします。再回答はない、最終回答だということなので、中央労働委員会にも影響が出るような内容だと思っています。会社の姿勢としてはそういう姿勢を示されたと考えています。組合回答できない理由をしっかり説明してくれるように前回言ったと思うのですが全然伝わらないですね。なぜ回答できないのですか。それは会社が回答しないと決めていることだから、のようなことでは意味がない。一般的にこのようなものが労使関係の中で開示され、それをもとに協議するのが当たり前になっているのに、なぜ日本IBMはこれが開示できないのか。労使関係の場でも開示できないことについて説明して下さいと言いましたけど、その説明をしない、ということは、不誠実団交に対して解決をしようということで中労委が動いているけれども、その前提にある情報開示が、こんなにお粗末だったら(解決)できるはずがない。これでどうやって組合と解決しようと考えているのか不思議でならない。これは人事担当に答えられる内容ではない、もっと上の組織の人間が情報開示してはならない、と言っただけで、なぜ(開示しては)ならないか説明させてくれない状況なのだろうと思います。その姿勢がまともな労使関係を作ろうと言うつもりがないことの表れであると、そこが一番の原因だろうと思っています。会社が今回の回答で少しでも誠実さを見せれば、中央(労働委員会)でも会社が前進しようとしてるのではないだろうか、そういう判断をするかもしれなかった。全くゼロ回答ということを表明された。それがどういう結果になるかについて、人事担当として想像がつくのではないかと思います。(次回につづく)