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相談窓口

退職勧奨めぐりグーグル日本法人を提訴 約6300万円の損害賠償を請求

退職勧奨に応じなかったことを理由に大幅減収になり、不当な扱いを受けたとして、米グーグル(親会社Alphabet)の日本法人で働く6人が1月31日、同社側に約6300万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。原告6人はJMITUAlphabetユニオン支部(以下、JAU)の組合員で30~40代の女性2人、男性4人。グーグルは2023年1月、世界規模で1万2000人の削減を発表。日本でも退職強要が行われ、退職を拒否した労働者は4月、元の部署から望まない部署(いわゆる「追い出し部屋」)に異動させられたり、賞与を減らされたりしました。JAUの執行委員長と提訴した原告の一人からJMITU日本IBM支部にメッセージが寄せられましたので紹介いたします。

JAUの小林佐保執行委員長からのメッセージ

今回の事件は、会社からの退職勧奨を断ったことへの、1人あたり最大2000万円以上、合計5000万円以上にのぼる経済的な被害を伴う報復です。組合として退職勧奨を受けた社員から相談を受ける中で、「退職勧奨を断ったら、追い出し部屋に移された、賞与が減額されたというのは本当ですか。本当は家族の状況などを考えると今転職活動をするのは難しいのですが、そんなぶざまを晒すぐらいなら会社を辞めようと思います」といった相談もありました。退職勧奨を断ることへの見せしめとしての効果を実際に発揮しています。これでは、退職勧奨は社員の自由意志に基づいて合意するという理念が守られません。このまま放置すれば、他社が追従し、日本の法律を、骨抜きの実態にしてしまう可能性も考えられます。このやり方は退職勧奨の枠組みとして認められるものではないと、今回の事件で示さなければならないと思っていますグ 。ーグルは、各国の法律を守るというメッセージを社員に対して発信し、社員も会社を信じています。同僚に、今回の事件の話をしたところ「何かの勘違いか、手違いだよ。社員の声をよく聞くグーグルが、そんなことをするはずない」と言われたことがありました。グーグルは、それだけの社員からの重い信頼を裏切ってしまったのだと私は思います。裁判の結果で会社に誤りを認めさせ、償わせることでしか、再び社員との信頼関係を取り戻す一歩を踏み出すことができないと感じていますグ 。ーグル社員のため、全ての働く人のために、この事件を最後に、生活とキャリアを壊す退職勧奨を断ったことへの報復を繰り返させないよう、全力で原告を支えていきます。

原告からのメッセージ

上司に、株式で支払われる賞与(以下RSU)がゼロになることと、日本円で支払われる賞与も削減されると伝えられたとき、衝撃に打ちのめされました。特にその後、通常評価であるSIの評価を受けたときには、本当に殴られたかのように感じました。グーグルの経営判断に裏切られたという辛さもありましたが、それ以上に家計と家族の未来に直接的なダメージがありました。私の2人の娘はアメリカの大学に通っています。アメリカの学費の負担はあまりにも大きいため、娘達が生まれたときから計画的に貯金をしてきました。近年の円安で、学費の支払いの負担は大きくなっていました。RSUは米ドルに換金されるため、学費の支払いを支える要となっていました。2024のRSUの割り当てがゼロになったため、難しい決断を迫られることになりました。日本に住み続けることを諦めドルで給与が得られるアメリカに移住するか、娘に大学を中退してもらうか、他の解決策を探すかです。アメリカに戻るということは、仕事も、住まいも、子どもたちの学校も、イチから生活を作らなければならないということです。アメリカから日本に引っ越す際、私たちは1年かけて家族のすべての荷物をアメリカから日本に運び、住居と学校の生活環境を整えました。非常に時間がかかり、複雑で、体力も消費する作業であり、やっとのことで東京になじんで幸せな生活を送っていたところだったので、私たちは、到底再びアメリカに戻ろうとは思えません。グーグルは常に、イノベーションを起こして世界を変えるというメッセージを発信し続けてきました。公平・平等を掲げてきた会社が、このような心なく、視野の狭い行為をしたことに失望しています。

25春闘アンケート 生活「苦しい」100%

今回は25春闘アンケートの項目ごとの集計結果を発表します。集計結果は、日本IBMグループ、キンドリルジャパン・グループの、SE系、コンサル、営業系、事務系など幅広い職種の皆さんの、賃上げ、生活、職場に関する要求や思いの反映です。皆さんにご協力頂いた春闘アンケートの結果は、春闘要求書の賃上げ要求額などの具体的な要求づくりのベースとなります。
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25春闘アンケートはまだ回答受付中です。今からでも是非ご回答下さい。

JMITU日本IBM支部ホームページ上部にある「各種アンケート」から「2025年春闘アンケート」をクリックして表示、回答して下さい。

賃上げ要求平均額

賃上げ要求平均額は、49,423円で、依然として5万円付近の高水準となりました。2021年以来、5万円付近、5万円超の高水準が続いています。これは、日本IBM、キンドリルジャパン両社の賃上げが物価高騰に追いついていない「実質賃下げ」という状況の反映です。また、在宅勤務手当(日額)要求平均額は408円で、昨年、一昨年の402円に続き、400円超で高止まりしています。

生活「苦しい」ついに100%に

賃上げ要求の背景にある生活実感は、「かなり苦しい」「やや苦しい」の合計がついに100%となりました。この「苦しい」が100%という数字には、両社における「実質賃下げ」という状況、さらに両社ともに賃上げが1回分少ない状況(2020年から2024年の5年に4回)の中での、従業員の切実な生活実態がはっきりと表れています。

職場の不安・不満

職場の不安・不満は、物価高騰が4年目に入るなか、トップは「賃金」65.6%(3年連続6割超)で4年連続トップ、2位は「雇用・リストラ」40.6%で4年連続2位(5年連続1位か2位)、3位は「査定・評価」31.3%で2年連続3位(5年連続3位か4位)となりました。

組合に加入し、いっしょにたたかいましょう

25春闘では、なんとしても物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げを、ストライキを構えた交渉で勝ち取らなければなりません。従業員の皆さん、今こそ組合に加入し、いっしょにたたかいましょう。組合へのご連絡は3面の「組合なんでも相談窓口」までお願いします。ウェブからは組合トップページ上部にある「ご意見ご相談」をクリックし、記入、送信して下さい

日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載⑨)

キンドリルジャパンは65歳への定年延長を発表

日本IBMの定年後再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いています。組合は、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。
今号の9回目は、キンドリルジャパンと日本IBMがそれぞれ今年1月に発表した定年後の労働条件の違いを紹介します。また、シニア契約社員の収入は賃金と高年齢雇用継続給付金の合計ですが、今年4月1日から給付金の給付率が引き下げられるため、シニア契約社員の賃上げが急務となっています。この問題を取り上げた12月19日の日本IBMとの団体交渉のやり取りを紹介します。

キンドリルジャパンは65歳への定年延長を発表

前号でもお知らせしましたが、キンドリルジャパンは1月6日、キンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKの正社員を対象に、4月1日から賃下げなしで定年を60歳から65歳に延長することを発表しました。今回発表の定年延長は組合の要求通りの内容です。さらに、キンドリルジャパンは1月24日、シニア契約社員の給与を月額25万円(年収300万円)から月額27万5千円(年収330万円)に4月1日から引き上げることを発表しました。

国家公務員も65歳定年

国においても、国家公務員定年年齢を段階的に65歳に引き上げることなどを規定した「国家公務員法等の一部を改正する法律」が令和5年4月1日から施行されました。定年年齢は、令和5年度から2年に1歳ずつ引き上がり、1967年4月2日以降に生まれた方は65歳定年が原則となりました。

日本IBMのシニア契約社員、年収222万円を継続

一方で日本IBMは1月20日、山口社長が「高い専門スキルを持ったシニア層のさらなる活躍を目指して」と称する発表レターを全従業員宛にメール発信し「2021年12月に発表したハイブリッド&パーソナライズされた新しい働き方では、社員一人ひとりが成長し輝ける環境と文化を促進し、より多様な人材を惹きつけ、お客様の成功につながる価値あるイノベーションを起こし続けるIBMになる」ことを目指し、これまで順次施策を展開してきました。一方、日本社会や企業のデジタル変革へのニーズは引き続き高く、人材不足は変わらず大きな課題になっています。このような環境において、人のスキルなどが生かせる場所を企業内外に提供して行くことは、企業の使命の一つであると考えています」と述べています。発表レターで、シニア契約社員の報酬について、固定(年収222万円)と記載されています。組合要求であるシニア契約社員の労働条件の改善や65歳までの定年延長を無視しています。シニア契約社員の現在の処遇を継続することは許せません。

高年齢雇用継続給付金が下がる

12月19日の団交を紹介する前に高年齢雇用継続給付金について述べます。高年齢雇用継続給付とは、60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の一定の雇用保険一般被保険者に給付金を支給する制度のことです。雇用保険法等の一部を改正され令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率が各月に支払われた賃金の15%から10%に変更になります。

12月19日の団交(抜粋)

組合 シニア契約社員の国からの高年齢雇用継続給付金(の最高給付率)が15%から10%に下がります。現在、(月額賃金の)18万5000円の15%の給付金が国から支払われいてます。日本IBMはあまりにも(定年前よりも)賃金が下がりすぎるためです。この給付金が2025年4月から10%に下がることで、シニア契約社員の給付金が減ります。国は給付金という形で労働者の生活を守ってきましたが、この間に十分に賃金が上がったという判断になりました。この物価高の中でシニア契約社員の給付金は一律に下がります。この件で会社は何か検討されていないのですか。

会社 現時点で検討しているものはないです。今後に向けて何かしら改善できないかということを考えていきます。将来の可能性を否定しないです。

組合 将来の可能性について否定はしませんが、今の時点で何らかの検討がでてないということは、4月からは改善されないと認識をします。さらに物価高の中で生活が苦しくなります。他の会社で月額(賃金)が25万円だとするとその15%の給付金が支払われます。月額が高い会社ほど給付金が高くなる。そのため、(月額賃金が低いと)さらに従業員が追い詰められる。人事施策が後手ではなく、とんでもない制度になっていると思います。
(次回につづく)

 

25春闘アンケート 怒りの声、切実な声、多数

25春闘アンケートにご回答頂いた日本IBMグループ、キンドリルジャパン・グループの従業員の皆さん、ご協力誠にありがとうございます。組合は毎年、春闘アンケートへの皆さんの回答を元に春闘要求を作り、皆さんの声(一言メッセージ)を春闘要求とともに会社に提示しています。

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25春闘アンケートはまだ回答受付中です。今からでも是非ご回答下さい。

JMITU日本IBM支部ホームページ上部にある「各種アンケート」から「2025年春闘アンケート」をクリックして表示、回答して下さい。

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さて、25春闘では、なんとしても物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げを勝ち取らなければならないなか、アンケートには従業員の皆さんの怒りの声、切実な声を多数頂いております。以下にアンケートに頂いた皆さんの声を紹介します。

物価高騰と賃上げについて

・物価高騰の中で賃上げがない。(50代)
・歴史的な円安と物価高の中、会社は昇給しないことに不満を感じております。(30代)
・物価高に対して賃上げが追いついていないように思います。その点が不安です。(30代)
・物価高騰が収まらない状況を踏まえて、会社は真摯に対応してほしい。(50代)
・今年実施して欲しい。(50代)
・好き勝手な回数の変更や、不透明な昇給ロジック、ほとんどやりたい放題で許せない。(50代)
・私は20年まともに賃上げがありません。(シニア契約社員)

1回分少ない賃上げについて

・普通におかしいと思う。遡及して実施して欲しい。(40代)
・会社のやり方がずるいと思います。(30代)
・よき企業市民とは到底いえない。(シニア契約社員)
・ひどい話だ。就業規則にのってることを平気で破ってくる。従業員が破ったら懲戒処分なのに不公平だ。会社も守れなかった事を説明すべき。そしてペナルティを払うべき。(50代)

在宅勤務手当について

・在宅勤務手当が欲しい。(50代)
・水道光熱費が上がっているので、在宅勤務手当を出してほしい。(50代)

定年後の労働条件について

・シニア雇用の給与を上げてほしい。(シニア契約社員)
・シニアの年収が低すぎる。これでは再雇用のカテゴリでは残らない選択をとらざるを得ない人がたくさん出るのではないですか。(50代)
・中途入社が沢山入社してきた。一度IBMを退職した人達を再入社させるのは、いかがかと思う。それよりもシニア雇用をプロフェッショナルブルーに変更すべきである。(シニア契約社員)
・担当の正社員は何も対応していないのに昇進、昇給、HPCと良い思いをしているが、裏で働いているシニア雇用は残業も付けず昇給、昇進もない。(シニア契約社員)
・正社員の時と変わらない仕事量なのに、シニア雇用のために給与が下がってしまった。プロフェッショナルブルーに変更してほしい。TLSでは、シフト勤務や残業など、シニア雇用前と変わらない仕事をしている技術員もいます。また、正社員のクレーム対応をシニア雇用が対応しています。(シニア契約社員)

リストラ、退職勧奨、PIP、パワハラについて

・成果を出した人に報いていない。コスト削減が最優先で海外のやすい人材に投資し日本の社員はリストラを行っている。(50代)
・給与が安く雇用が不安定。会社は黒字で部門も定められた目標クリアしている。しかし、正社員なのに毎年リストラに怯えるとか意味不明な会社だ。(50代)
・日本IBMグループは基本的に従業員に厳しく、PIP等を利用し、所属長のパワハラ、退職勧誘などがストレスになります。(30代)
・退職勧奨やその後も減給
・降格を前提とした改善活動を強いられている。(50代)
・職場で現在困っていること、悩みは、パワハラ、いじめ。(50代)・TLSは、昔からパワハラが多く、その風土は変わらない。(シニア契約社員)

日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載⑧)

今号1面で紹介した通り、キンドリルジャパンは60歳から65歳への定年延長を発表しました。一方で日本IBMの定年後再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いています。組合は、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。今号の8回目は労使間の情報開示要求の書簡のやり取りをお伝えします。

シニア契約社員制度に関する書簡のやりとり

組合は、昨年9月25日と10月16日の団交で会社が持ち帰った組合の質問事項を、それぞれ10月1日書簡「シニア契約社員制度に関する情報要求」、10月22日書簡「シニア契約社員制度に関する情報要求(2)」にて提出、10月30日に得た両書簡に対する会社回答(2通)が賃金交渉ができる内容ではないため、組合は翌31日の団交で不誠実回答であると抗議しました。前記2通の会社回答のうち、10月1日書簡への会社回答はかいな2455号と2456号で紹介しましたので、今回は10月22日書簡への会社回答を抜粋して紹介します。

「シニア契約社員制度に関する情報要求(2)」と会社回答

質問1
会社は、「『2024年JMITU日本アイビーエム支部日本IBM秋闘1次要求』への回答2」において、「IBMは、シニア契約社員の業務内容について、これまで社外に委託していた仕事や部門で発生するサポート業務などを切り出して、新たにシニア契約社員の業務を創出することにしましたが、かかる方法によって十分な分量の業務を確保できると見込めた業務がバンド3相当のサポート業務でした。このため、シニア契約社員をバンド3に位置付けております。」と説明している。しかし、実際には、定年前の業務を継続する必要があり定年前の業務を継続しているシニア契約社員がいるし、業務アサイン待ちで業務が無いシニア契約社員もいる。このようにシニア契約社員の業務の創出が破綻している実態があるのに、シニア契約社員をバンド3に位置付けるシニア契約社員制度をなぜ変えずに続けてきたのか。
(会社回答)
ご指摘のような状況が常態化している事実は把握しておりません。今後も、適切に制度運用がなされるようサンプリング調査を継続して参りますが、人事部の人数が限られており既存の業務で手一杯である関係上、全員についての網羅的な調査は困難であるため、組合で把握している具体的な部署名や個人名についてご教示いただければ確認いたします。
質問2
バンド3にも給与レンジがあるはずなのにシニア契約社員にはなぜ無いのか。(シニア契約社員の給与はなぜ固定になっているのか。)
(会社回答)
10月30日付「シニア契約社員制度に関する情報要求への回答」項番8に対する回答に記載の理由によりシニア契約社員の担当業務はバンド3相当のサポート業務になっていますが、このようなサポート業務は、正社員が担当する業務とは異なり、高度なスキルを必要とするものではなく、スキルを伸ばしてより専門的な業務を可能にしていくという性質のものではありません。また、シニア契約社員は最大5年の有期雇用契約であるため、数十年の在籍が期待されている正社員のようにIBM内でスキルを伸ばしていただき、その努力に応じて高い賃金を支払うペイ・フォー・パフォーマンスに馴染みにくいものです。このため、ペイ・フォー・パフォーマンスによる変動給与が適用されている正社員とは異なり、シニア契約社員では固定給を採用しています。
質問5
バンド3の業務とは具体的にどういう業務か。
(会社回答)
バンドは業務の重要度・困難度を示す指標ですので、同じバンド3でもジョブファミリーによって業務の内容は異なることもあります。また、シニア契約社員については、実際に所属している部署のサポート業務を担当していただいているため、同じジョブファミリーであっても、所属している部署によって担当している業務の内容は大きく異なることもあります。(省略)したがって、バンド3の業務を網羅的に説明することは困難です。
質問6
シニア契約社員制度を変更(改善)する考えはあるのか。
(会社回答)
日本はバブル崩壊後の長引くデフレ状態によって給与水準も大きな変更がないまま長い年月が経過していましたが、最近になって様々な経済情勢の変動があり、今後もさらなる変動が予想されますので、当該情勢を踏まえて変更等を検討していくことになります。このため、将来的には変更する可能性があります。しかし、以前も説明させていただきましたとおり、一度変更した制度や引き上げた条件を引き下げる方向に再変更することは容易ではないため、短期的な経済情勢の変更を踏まえてすぐに制度変更や条件の引き上げを行うことはできないことについてご理解いただけると幸いです。(次回につづく)

25春闘 引き続き物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げをめざします

従業員の皆様、新年あけましておめでとうございます。久しぶりの年末からの9連休は、ゆっくり過ごされるなどしながら英気を養われたことと思います。年頭にあたり本年が幸福で素晴らしい一年になりますようお祈り申し上げます。
昨年の世界を振り返ると、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・ハマス紛争が依然続く中、政治に大きな動きがありました。日本では衆議院が解散、10月の総選挙で与党が少数与党に転落し、アメリカでは11月の大統領選挙で民主党から共和党への政権交代がありました。ヨーロッパでもイギリスでは議会が解散、7月の総選挙で保守党から労働党に政権交代、フランスでは議会が解散、6月~7月の総選挙の結果、連立政権の組み替えがあり、ドイツでは連立政権が崩壊、12月に議会が解散され今年2月に総選挙が行われます。このように昨年は、世界がかつてないような混乱と激動、そして今なお続く物価高騰に直面した一年でした。

25春闘を取り巻く情勢

帝国データバンクの調査では、主要食品の値上げは、22年14%、23年15%、24年17%となっています。また、昨年夏のコメ不足に端を発したコメの大幅値上がりはいまだに収まっていません。
こうした異常な物価高騰が止まらない中、実質賃金はこの30年近く下がり続けています。厚労省の調査によると、実質賃金指数(2020年100)はピークだった96年に116.5でしたが、23年には97.1(96年の83%)にまで低下、世界と比較しても日本は実質賃金でOECD39カ国中24位(23年)で、「賃金のあがらない国・ニッポン」の異常さはますます際立っています。一方、24年3月末現在、大企業の内部留保は539.3兆円、経常利益は76.3兆円、株主への配当は32.5兆円とそれぞれ過去最高を更新した中、大企業の労働分配率(労働者がはたらくことによって生み出した価値[付加価値]と人件費の比率)は過去最低です。

政府・財界頼みではだめ、組合に加入しよう

こうした情勢の中、25春闘では、組合は24春闘から引き続き「賃金のあがる国」への転換をめざし、物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げをめざします。政府が指針を発表した「三位一体の労働市場改革」は、ジョブ型人事(職務給)の導入を含み、ジョブ型人事の導入はPIPを含んでいます。政府はこの改革を行うことで「構造的賃上げ」の仕組みを作っていくと言っていますが、リストラを伴うこのような経済政策を推進する政府・財界頼みでは持続的な賃上げは実現しません。企業にも政府にも忖度なくはっきりと物を言えるのは労働組合だけです。日本IBMグループ、キンドリルジャパン・グループの従業員の皆さん、ぜひ組合に加入して25春闘でいっしょに大幅賃上げを勝ち取りましょう。組合員数の拡大は交渉力の拡大となります。

日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載⑦)

日本IBMの定年後再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いており、社会的責任やモラルが問われています。組合は、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。前号までの6回の連載では会社の団交や文書回答での不誠実な対応をお伝えしてきましたが、今号の7回目はその後の労使間のやりとりをお伝えします。

シニア契約社員制度に関する書簡のやりとり

組合は10月31日の団交で、2通の組合書簡「シニア契約社員制度に関する情報要求」(質問10項目)と「シニア契約社員制度に関する情報要求(2)」(質問6項目)に対する会社の文書回答が不誠実回答であると抗議し、再回答を要求しました。これに対し会社は、再検討すると持ち帰り、11月27日に文書で再回答しましたが、この再回答は前回から全く前進がありませんでしたので、組合は翌28日の団体交渉で再抗議しました。以下に11月27日の会社再回答と、翌28日の団体交渉の模様を紹介します。いずれも、東京都労働委員会が今年3月に発した全部救済命令後も会社が依然として不誠実な対応を継続している内容です。

11月27日の会社再回答

前回の団体交渉で開示できない旨を回答している質問事項については、いずれも当社の従業員にも開示していない内部情報であって、申し訳ありませんが組合に対しても開示はできません。この点、貴組合には当社の従業員でない方が含まれているものの、当社としては、これまで、従業員に開示している情報については可能な範囲で組合にも開示するようにして参りました。しかしながら従業員に対しても開示していない情報を開示することはできませんので、ご理解いただけると幸いです。その他の質問事項についても、前回の回答から変更はありません。

11月28日の団体交渉でのやり取り(抜粋)ー回答できない理由を説明しない会社

組合 提出させていただいた(2通の)書簡について、1回目の(会社)回答をいただいて、今回2回目の回答をいただいて、これで確定されるという認識をしています。それであっていますか。
会社 前回の団交のところで、これが本当に最終回答かということがありましたので、あらためて持ち帰って検討した結果です。あっています。
組合 従業員にも開示してない情報だから組合にも開示しないというのでは、賃金交渉が成り立たなくなってしまうと考えていますので、この(回答)書面について抗議いたします。再回答はない、最終回答だということなので、中央労働委員会にも影響が出るような内容だと思っています。会社の姿勢としてはそういう姿勢を示されたと考えています。組合回答できない理由をしっかり説明してくれるように前回言ったと思うのですが全然伝わらないですね。なぜ回答できないのですか。それは会社が回答しないと決めていることだから、のようなことでは意味がない。一般的にこのようなものが労使関係の中で開示され、それをもとに協議するのが当たり前になっているのに、なぜ日本IBMはこれが開示できないのか。労使関係の場でも開示できないことについて説明して下さいと言いましたけど、その説明をしない、ということは、不誠実団交に対して解決をしようということで中労委が動いているけれども、その前提にある情報開示が、こんなにお粗末だったら(解決)できるはずがない。これでどうやって組合と解決しようと考えているのか不思議でならない。これは人事担当に答えられる内容ではない、もっと上の組織の人間が情報開示してはならない、と言っただけで、なぜ(開示しては)ならないか説明させてくれない状況なのだろうと思います。その姿勢がまともな労使関係を作ろうと言うつもりがないことの表れであると、そこが一番の原因だろうと思っています。会社が今回の回答で少しでも誠実さを見せれば、中央(労働委員会)でも会社が前進しようとしてるのではないだろうか、そういう判断をするかもしれなかった。全くゼロ回答ということを表明された。それがどういう結果になるかについて、人事担当として想像がつくのではないかと思います。(次回につづく)

日本IBM従業員代表選挙 組合推薦候補へのご支持ありがとうございました

今年の日本IBMグループの従業員代表選挙は、組合推薦候補が左表の2選挙区に立候補しました。投票は11月26日に締め切られ、箱崎第2ブロックで再選挙にもつれ込みました。再選挙は12月5日に投票が締め切られ、最終結果は上表の通り、組合推薦候補は日本IBM箱崎第2ブロックで当選させて頂くことができました。従業員の皆様の組合推薦候補へのご支持に御礼申し上げます。

組合推薦候補は善戦

今回の選挙では、箱崎第2ブロックの組合推薦候補は、対有効投票得票率が一回目は43.4%、二回目は39.1%と、相手候補にだいぶ迫りました。過去の選挙での組合推薦候補の対有効投票得票率は、高い時で30%台前半でしたので、今回はそれを上回るところまで押し上げて頂きました。

会社のYESマンが従業員代表になることの恐ろしさ

会社がこれまで会社都合を反映し実施してきた諸制度の変更で明らかなように、会社のYESマンの従業員代表は、労働条件の不利益変更が含まれていても会社からの制度変更提案に同意してしまいますので、その不利益は当該事業所の全従業員に及ぶという恐ろしさがあります。会社はこれまで、会社のYESマンの従業員代表の同意を得て、組合との事前協議も十分に行わずに諸制度の改悪を強行してきました。実際に行われた制度改悪の象徴が、賃下げを可能にする格付規程の改悪です。その結果が、会社がパワハラ4点セット(低評価、PIP、賃下げ、降格)を使って行ってきた人員削減と人件費削減なのです。

不正行為の情報提供を

今回の日本IBMグループ、キンドリルジャパン・グループの従業員代表選挙で、ラインマネジャーからの立候補依頼、特定候補者への投票依頼などにあわれた従業員の方は、是非、組合トップページ(JMITUIBMで検索) の上部にある「従業員代表選挙不正行為通報」ボタンを押して、情報をご提供下さい。組合推薦候補へのご支持を組合推薦候補は、労使対等原則(労働基準法第二条第一項)の立場に立ち、従業員代表に選ばれれば、会社提示の就業規則改定案に関する事柄だけではなく、就業規則全般について従業員の利益、労働条件の向上になるよう会社に意見することをお約束します。今後とも従業員代表選挙では、ぜひ組合推薦候補をご支持下さい。

日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載⑥)

日本IBMの定年後再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態(月額給与18万5千円・年収222万円)が続いており、社会的責任やモラルが問われています。組合は、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。今回が6回目の連載となります。前号まで5回連続で団交のやりとりを中心に紹介してきましたが、会社の不誠実な対応は紹介した通りです。今号でも、前号で紹介した「シニア契約社員制度に関する情報要求」に対する会社回答の続き(項番8から)を紹介します。今回紹介する会社回答も、東京都労働委員会が今年3月に発した全部救済命令後も依然として不誠実な対応を継続している内容です。

シニア契約社員制度に関する情報要求と会社回答

9月25日の団体交渉で、組合はシニア契約社員制度について質問し、会社はその回答を持ち帰ることになりました。組合は10月31日の団交までに文書での回答を求め、誠実に協議することを求める書簡を提出し、会社が10月30日に回答してきました。以下に項番8からの情報要求と会社回答を紹介します。
(前号の続き)
8.定年までペイ・フォー・パフォーマンス、スキルに応じた賃金だと言われて、60歳になるとなぜ一律にバンド3の仕事しかありませんという制度になるのか回答すること。
(会社回答)
改正高年齢者雇用安定法の施行により60歳定年退職後に雇用継続を希望する社員全員に雇用機会を提供する必要性が生じたところ、IBMにおける顧客からの受注件数・受注額自体に大きな変化がない中で、新規採用等の会社全体の運営や従業員の年齢分布に影響が出ないようにするためには、定年再雇用者向けの新たな仕事を創出する必要がありました。このため、IBMは、シニア契約社員の業務内容について、これまで社外に委託していた仕事や部門で発生するサポート業務などを切り出して、新たにシニア契約社員の業務を創出することにしましたが、かかる方法によって十分な分量の業務を確保できると見込めた業務がバンド3相当のサポート業務だったためです。
9.「シニア契約社員の職務は、外注していた業務等を一部中止して新たに創出したもの」と断定しているが、シニア契約社員のすべての業務を確認した調査方法、結果を開示すること。
(会社回答)
シニア契約社員の業務については、契約開始時および契約更新時にマネージャーが業務アサインチェックリストを用いてバンド3相当の業務を検討し、事前にオファー内容について社員に確認をとっています。業務アサインに際しては、社員の申し込み内容や健康状態も配慮しています。
10.業務のアサインがまったく無いシニア契約社員がいるかどうか、業務のアサインが勤務時間の50%未満というシニア契約社員がいるかどうか、を回答すること。
(会社回答)
現時点でそのような実態は把握しておりません。、なお、一時的に担当業務がなくなることは正社員であってもしばしば発生する事態であり、サポート業務のみに従事しているシニア契約社員については同様の事態がより発生しやすいとは思いますが、少なくとも大多数のシニア契約社員についてご指摘のような状況が常態化していることは無いと認識しております。今後も適切に制度運用がなされるようサンプリング調査を継続して参りますが、人事部の人数が限られており既存の業務で手一杯である関係上、全員についての網羅的な調査は困難であるため、組合で把握している具体的な部署名や個人名についてご教示いただければ確認いたします。

不誠実団交をやめろ

東京都労働委員会は、今年3月に日本IBM(シニア契約社員制度)事件において発した命令において、シニア契約社員の給与を議題とする団体交渉における日本IBMの対応は、次の理由で不当労働行為に当たると認定しています。
・組合らは、長年にわたりシニア契約社員の処遇改善を会社に要求し、社会情勢や定年後再雇用を取り巻く環境の変化に応じて、会社に改善すべき根拠を示してきた。
・組合らは、団体交渉においても、シニア契約社員の給与が低いことなどについて根拠を示した上で、パートタイム・有期雇用労働法の説明義務に基づく具体的な説明を求めていた。
・これに対し、会社は、組合らの質問に応じた具体的な説明や回答を行わず、従前と同様の抽象的な回答を繰り返していたのであるから、シニア契約社員の給与を議題とする団体交渉における会社の対応は、不誠実な団体交渉に当たるといわざるを得ない。
このような都労委命令を受けながら日本IBMは今も上記のような不誠実な回答を続けています。
組合は会社の不誠実な対応とは一貫してたたかいます。次号では次回の日本IBMとの団交について紹介します。
(次回につづく)

JMITU冬ボーナス回答速報 組合員平均、昨年を3万7375円上回る

物価高騰が依然として続いている中、JMITUの24年末一時金闘争は、11月14日現在、81支部分会が回答を引き出しています。また、上積み回答を求めて奮闘する支部分会が広がり、上積み回答を引き出したところは、15支部分会にのぼります。

JMITU主要企業の支部・分会は昨年冬に続き堅調で、左表の通り90万円を超える回答を引き出しています。全体としても昨年冬の水準を上回っています。JMITUの組合員平均(加重平均)は、昨年同時期との比較で+3万7375円(+0.07ヶ月)となっています。昨年同時期の伸び(一昨年同時期との比較)は+3万3194円(+0.12ヶ月)でしたので、今年は昨年を上回る伸びを示しています。支部別では次のような成果を上げています

埼玉地本では、日信工業支部が3次回答72万円(2.25ヶ月+2万円)を引き出したほか、東鋼業支部でも65万円(1.95ヶ月)の2次回答を引き出しました。東京東部では、小坂研究所支部は2次回答70万円(2.31ヶ月)を引き出しました。東京西部では超音波工業支部が二次回答で100万円の大台にのせ、アジアエレクトロニクス支部が二次回答で47万1,902円(1.30ヶ月)を引き出しました。東京北部では鈴木シャッター支部が2次回答71万円(2.50ヶ月)を引き出しました。長野地本では日酸TANAKA支部が2次回答68万5373円(2.20ヶ月)を引き出しました。愛知・川本製作所支部では3次回答120万4500円(3.95ヶ月+5万円)を引き出しました。京滋地本ではカシフジ支部が2次回答109万円(3.42ヶ月)を引き出ました。大阪地本では、少数組合である電業支部で2次回答62万円(2.16ヶ月)を引き出しています。

IBM・キンドリルの状況

上表の通り、日本IBMの組合推定平均支給額は、賃上げ日が5月1日のため、夏ボーナス時と同額の100万5千円(2.22ヶ月)で、昨年より7万9千円アップでした。また、キンドリルジャパンの組合推定平均支給額は、賃上げ日が7月1日のため、夏ボーナス時より1万8千円アップの96万6千円(2.12ヶ月)で、昨年より5万円アップでした。

昨年よりアップも不十分

このように日本IBM、キンドリルジャパンを含め多くの支部分会で回答は昨年実績を上回っているものの要求に届かず、物価高騰を補うにはまだ不十分な水準です。まだ多くの支部分会が大幅上積みを求めて闘争を継続しています

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