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日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載②)

再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態が続いており、会社の社会的責任やモラルが問われています。10月からの一年契約も同額の月額18万5千円で更新され、問題が続いています。前号から、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載しています。今号では、シニア契約社員の月額給与18万5千円・年収222万円のマーケット調査方法について会社を追及した内容です。会社の8月21日の文書回答と、同日の団体交渉でのやり取りを以下に紹介します。

会社の8月21日の文書回答(抜粋)

当社は守秘義務を負っているため、マーケット調査の方法、内容、結果等に関する具体的な情報・資料を開示することはできません。説明可能な範囲でシニア契約社員に関するマーケット調査の特徴を説明すると、以下のとおりです。シニア契約社員の給与を決定するにあたって行っている「バンド3相当のサポート業務」に関するマーケット調査においては、IT業界においてバンド3相当のサポート業務を主たる業務としている正社員がいる会社はほとんど存在しないため、マーケット調査の対象は、主に有期雇用社員であり、その中には、単純なサポート業務のみを行っている派遣社員やアルバイトの給与水準が含まれています。

8月21日の団体交渉でのやり取り(抜粋)

組合 マーケット調査というのはいつ行われるのですか。
会社 それは常に出てくるニュースを注視しながらやっておりますし、その都度、得られた情報を持って検討している。特に毎年決まったサイクルとかやっているっていうことではない。

組合 毎年やられているのか、毎年やってるんだけど、1月や10月にやるときもあるよ、ということか。例えばニュースで最賃のニュースが出たから、やらなきゃいけないとか。
会社 情報は、毎年取るようにしています。
組合 国家公務員が、定年再雇用の制度ではなく、定年延長に切り替えていきましょうということで既に始まっており、65歳まで最終的には延長する。(延長された後の)その時の賃金のレベルがいくらかご存知ですか。正社員と比べて、どのくらいの賃金が支払われるか。再雇用の人がどれくらいの賃金を支払われるか。
会社 すみません。その情報は。
組合 国家公務員の正社員と比べて再雇用の人たちが、最初いくらぐらいか、そういう情報を取ってなくて、なぜIBMの再雇用の賃金が決められるんですか。いただいた回答を読む限りは、とにかくバンド3だということで、バンド3相当のマーケット調査をしています、としか書いていません。さっき質問した他社が定年後再雇用あるいは定年延長、つまり60歳から65歳の雇用についてどういう動向にあるかという点のマーケット調査をされていますか。つまり、どれぐらいの企業が定年延長65歳定年であるとか、定年をなくすとか、IBMのように再雇用契約社員とか、あると思いますけど、どれぐらいの会社がどういう制度をとって、バンド3みたいなこういう落とし方をするのか、同じような処遇で再雇用されているのかって、そういう観点の調査ってされてますか。
会社 同業他社か、定年再雇用制度を持っているか否かとか、それがどういう制度で作られているかっていうのを絞って調査しているかというご質問ですか。
組合 賃金水準を含めてですけど。
会社 賃金水準、そこに絞った調査は特に行っていないです。あくまで賃金水準のマーケット調査という形です。
組合 東京南部地区で私は見ている職場、20職場くらいあるんです。日本IBMは再雇用賃金が最低です。一時金もなし、それから各種手当を含むと本当に差がでます。しかも、(日本IBM以外の職場は)日本IBMのように売上・利益を持ってる企業か、とんでもないです。超零細企業ですよ。それでも上回っていますよ。どういう調査をすると、18万5千円が妥当になるのですか。回答でマーケット調査の内容について言えないって書いてあるけど、言えないと思います。まともにやって、この金額が出てくると思えないです。本当にバンド3ありきで、単純業務の市場調査をすれば、それは最低賃金のギリギリの金額になるのは当り前なので、それ以上のことが読み取れないです。問題なのは、シニア制度の調査は、バンド3相当との業務でのマーケット調査しかしてないんです。今、IBMの再雇用の人たちがやってる業務で調べてみてくださいよ。絶対この数字にならないから。日本IBMには、シニア契約社員の方は何名ぐらいおられるかお聞きしていいですか。
会社 人数については申し上げていない。(次回につづく。ご期待ください。

9・19東京地評争議支援総行動&第300回金属反合共同行動

9月19日、東京地評は争議支援総行動を展開しました。またこの行動は金属機械反合闘争委員会が主催する第300回金属反合共同行動としても実施されました。3つのコースに分かれ朝から都内各所で展開された今回の行動には当支部(JMITU日本IBM支部)も参加しました。以下に当支部が参加したコースの主な3箇所の行動を紹介します。

キンドリルジャパン本社前

行動午前の2番目の行動として、キンドリルジャパン本社前行動が行われました。行動では、月額25万円・年収300万円というキンドリルジャパンのシニア契約社員の給与は生活できない水準だ、これを満足に生活ができる水準に改善し、会社として社会的責任を果たすべきだと訴えました。さらに、賃上げが1回分少ない状況(本来、就業規則通りに賃上げが実施されていれば、賃上げは2020年から2024年までに5回あるべきところ4回)を受けて、年内にもう一度賃上げを実施するよう訴えました。

日本IBM箱崎事業所前行動

続いて午後の1番目の行動として、昼休みに日本IBM箱崎事業所前行動が行われました。行動では、最低賃金よりわずかに高いだけの月額18万5千円・年収222万円という日本IBMのシニア契約社員の給与は生活できない水準だ、これを満足に生活ができる水準に改善し、会社として社会的責任を果たすべきだと訴えました。

ノバ・バイオメディカル本社前行動

昼休みの箱崎での行動の後、午後の3番目の行動として、ノバ・バイオメディカル本社前行動が行われました。ノバ・バイオメディカルは、2019年にJMITUノバ・バイオメディカル支部を結成し、会社から労働者への横暴をやめさせてきた射場執行委員長に対し、不当評価、退職強要、福岡営業所から東京本社さらに豊洲物流センターへの不当配転、営業職の取り上げによる大幅な賃金減額を仕掛け、労使紛争になりました。福岡事業所では営業として第一線で働いてきた射場委員長は、これら一連のいやがらせ、組合つぶしとも言える会社の攻撃に対し、こんな不当で非常識な行為には絶対に負けない、最後までたたかう、と決意表明を行いました。

日本IBM・シニア契約社員の賃金 本当に年収222万円でいいのか(連載①)

日本IBMの定年後再雇用制度であるシニア契約社員の賃金があまりにも低い状態が続いており、会社の社会的責任やモラルが問われています。そこで今回から、日本IBMのシニア契約社員の賃金に関する問題点や労使交渉の模様などをシリーズで連載します。

*****

会社は、2023年10月にシニア契約社員の月額給与(週5日)を17万円から18万5千円に引き上げた根拠について、8月21日に文書回答しました。しかし会社はこの文書回答でその根拠を明らかにしませんでしたので、組合は同日の団体交渉でその根拠を改めてただしましたが、会社は文書回答の内容を繰り返し、依然としてその根拠を回答しませんでした。結局、8月21日の文書回答と団体交渉では、会社はシニア契約社員の賃金を決定するにあたりマーケット調査を実施していることがわかっただけで、

シニア契約社員の月額給与18万5千円・年収222万円の根拠は全くわかりませんでした。

以下に、会社の8月21日の文書回答と、同日の団体交渉でのやり取りを紹介します。

会社の8月21日の文書回答(抜粋)

・当社がシニア契約社員の給与を決定するにあたっては、マーケット調査の結果をベースとしつつ、今後の景気動向、当社の業績予測、関係する業界における人材確保の可否等の諸般の事情を総合考慮して決定しております。なお景気や業績が悪化しても一度上げた賃金を下げることは困難であるため、当社が考慮しているのは短期的な景気動向や短期的な業績ではなく、中長期的な動向を考慮していることにご留意いただけると幸いです。しかし上記のような諸般の事情は補足的に考慮するものであってマーケット調査の結果が基本となっていることに変わりありません。これ以外にも最低賃金等の法令遵守に関する事項は、当然ながら考慮要素に含まれています。・当社は守秘義務を負っているため、マーケット調査の方法、内容、結果等に関する具体的な情報・資料開示することは、申し訳ありませんができません。

8月21日の団体交渉でのやり取り(抜粋)

組合
マーケット調査を実施されていますと。その結果、18万5千円になったとしている。その根拠がわからないです。2012年ですか、65歳まで雇用しなくてはいけなくなったから、経営に多分一番インパクトの少ない形の制度を考えましたと言うことだと理解しました。それが本当に一番低い水準で最低賃金よりちょっとだけ高いバンド3だということになったんだと理解しました。でも、12年も経ってるわけです。ずっとその状態が続いています。マーケット調査では、他のIT業界だとバンド3相当の社員がいないと、事実上おっしゃっていますけど、本当にマーケット調査するのであれば、バンド3相当の正社員がどういう処遇なのかではなくて、他社のIT業界で定年後再雇用の水準がどの程度かというところを調査すべきなんじゃないですか。いきなり最低賃金レベルになる会社がどれくらいあるのですか。

会社
賃金からこの議論が、当時スタートしたというよりは、なかなか読めない業績予測の中でいかに雇用を確保するか、その責任をまっとうするかというところから始まっていますので、その十何年の間変わってないというのは確かに事実としてあるんですけれど、もともと、その賃金からスタートした話ではございません。

組合
同じ会社で同じ部門の中で働いている人たちの内で、59歳までの人はペイ・フォー・パフォーマンスです。スキルに応じた賃金ですと言われて一生懸命やってる。60歳になった途端に、それ全然関係ありません、一律にバンド3の仕事しかありませんと言うことがモラルとしてどうなのか、人間のですよ、従業員の扱いとしてどうなのかっていう観点で人事としてどうお考えなのか。本当に本質的に経営だけの観点ではなく考えていただきたい。つまり会社は、再雇用制度という制度を作っているけども、決して、労働者が望まない制度を作っておいて、望まないから辞めていってくれるだろうと、再雇用されない制度を作る、再雇用を希望されない制度を作ることによって、2012年の法律を逃れている、と言わざる得ないような(賃金の)低い制度ですよ。ここを本当に反省しないとまずいし、それを改定して、本当にいわゆる儲けを出してくれるための再雇用社員を目指してもらうことによって、私は、会社が損することなんてありえないと思うんです。年内に見直しをすることを検討されている状態なのか、何も今進んでないのか、どういう状態と考えていいですか。会社見直しの可能性はあります。現時点で変えるも変えないも結論は出ておりませんけれども、毎年、マーケット調査を行っていますし、今年もそれを行う予定なので、それを踏まえてどう設定するべきかというのは検討します。(次回につづく。ご期待ください。)

JMITU秋闘統一要求書の紹介

組合が日本IBM、キンドリルジャパンに提出する秋闘統一要求書の中から「労働法制の大改悪に反対し、安心して働ける職場の実現を求める統一要求書」を抜粋して以下に紹介します。

1.労働法制の大改悪に反対し、職場に持ち込ませない要求

(1)政府・厚労省がすすめようとしている労働基準法の大改悪や「無効解雇の金銭解決制度」に反対し、「労働者の雇用と権利をまもる」という経営責任を明確にすること。「裁量労働制」の導入をはじめ労働条件変更や解雇・退職勧奨など雇用に関する施策については、労働組合と事前に協議し同意を得ること。(2)本人の希望にもとづき、有期雇用者・派遣労働者の正社員化を促進すること。正社員化にあたっての賃金・労働条件は労働組合と事前に協議すること。(3)無期転換労働者の賃金・労働条件は正社員と同一とすること。(4)「職務給(ジョブ型人事制度)」など名称にかかわらず、査定・成果主義を持ち込まないこと。賃金制度を導入・改定する場合は、労働組合と事前に協議し同意を得ること。

2.「ジェンダー平等」をすすめ、すべての労働者の均等待遇を実現する要求

(1)賃金・一時金、手当、特別休暇、退職金等の労働条件において、性差、雇用形態、国籍などによる格差をなくし、均等待遇を実現すること。また、格差がある場合、その理由を具体的な根拠を示して説明すること。(2)すべての企業で男女の賃金格差を情報開示し、賃金格差にむけた是正計画を示すこと。(3)「均等待遇」を口実にした正社員の賃金・労働条件の引き下げを行わないこと。(4)ハラスメント防止法を踏まえ、ハラスメント防止のための制裁処分や相談窓口の設置、被害者の救済措置および再発防止などについて労使協議し協定化すること。(5)ハラスメントの温床となっている過重労働と人員不足の解消、過剰なノルマ(目標)の設定や成果・業績主義を改善すること。

3.長時間労働を規制する要求

(1)「自分と家族のための時間」の確保とジェンダー平等を実現するために、1日の所定労働時間を7時間30分(すでに実現している場合は7時間)にまで短縮すること。(2)時間外労働の限度時間を1日2時間・週6時間・月20時間・年間150時間までとすること。臨時的・突発的に、限度時間を超える必要性が生じた場合には、労働組合とその都度、事前協議し36協定を再締結すること。労使の合意のうえ、特別条項を設ける場合であっても、月45時間・年間360時間までとし、限度時間を超える場合は都度、労働組合と事前に協議し同意を得ること。(3)限度時間を超える場合の割増率を50%以上とすること。(4)テレワークや在宅勤務などを導入する場合は、労働組合と事前に協議し同意のうえ行うこと。(5)長時間労働の是正をすすめるために、職場の業務量の実態に見合った人員増をおこなうこと。(6)人手不足を背景にした業務繁忙で年次有給休暇が取得しづらい環境を改善し、年次有給休暇取得の権利を保障すること。そのためにも、職場の有給休暇取得状況を開示して改善に向けた具体的な協議を行うこと。

4.65歳までの定年延長と継続雇用者の賃金・処遇の改善要求

(1)賃金を引下げることなく65歳まで定年を延長すること。(2)定年延長を実現するまでの間も、継続雇用者の賃金について60歳到達時の賃金を維持すること。また、特別休暇や住宅手当・家族手当など正社員との均等待遇をはかること。(3)継続雇用者の無年金期間中の生活と65歳以降の生活に配慮し、60歳到達時の退職金を2,000万円以上に引き上げること。(4)労働者が65歳以降も雇用継続を希望する場合、選別は行わず、賃金・労働条件、労働環境、働く条件を維持したうえで雇用すること。

5.青年の要求

(1)奨学金を返還している労働者について月々の返還金を支援する制度をつくること。(2)結婚一時金・休暇、出産一時金・休暇をはじめ青年の要求に積極的に応え、青年が希望をもって働き続けられる職場をめざすこと

(1面から続く)AI不当労働行為事件都労委で勝利和解!

1面から続く)疑義を指摘した場合、当該疑義を解消するために、必要なAlの提案内容を開示する。⑷Alについての賃金評価方法に関して、今後疑義が生じた場合には、日本IBMは労組と誠意をもって協議するものとする。

2この事件は、2019年8月、日本IBMがグループ社員に向けて、賃金査定に自社開発のAl(ワトソン)を導入したと発表したことを受け、労組が、Alに考慮させる項目やAlの上司に対する提案内容の開示などを求めて団体交渉を要求したことに端を発する。日本IBMが開示を拒否したので、労組は、同社の対応が労働組合法7条の禁じる不当労働行為(不誠実交渉、支配介入)に当たるとして、2020年4月、東京都労働委員会に救済を申し立てた。なお、申立て後、日本IBMの一部事業がキンドリルジャパン株式会社(以下、キンドリル)に会社分割されて、労組員の一部はキンドリルに承継されているが、キンドリルは現在はAIを賃金査定には使用していない状況にある。3社会の様々な領域でAlの利用が進む一方、社会に残る差別(人種、性別、国籍etc.)をAlが学習して再現したり、判断過程がブラックボックス化して理解不能に陥るなどの弊害が指摘されている。企業が人事管理にAlを利用する場合、公正性と透明性の確保が課題となるが、法規制は進んでおらず、個々の労働者の努力には限界がある。今回の和解は、賃金査定にあたってAlの評価項目や提案内容を明らかにするという透明性を確保する労使の合意をしたものである。これは労働組合が主体的にAlの利用を監視し、企業に応答責任を課すことで、Alを利用するにあたって労働者の権利と労働条件を守るという労使合意のモデルを提供するものである。職場におけるAlの利用方法は千差万別で今後の動向も流動的であるため、法規制のみには限界があり、この労使合意モデルが今後の出発点になるべきである。今後は、Alの評価によって減額等の疑義が生じた場合のAIの評価(評価根拠・基準、アルゴリズム等)の妥当性・公正性の確保が課題となる。IBMはAIを自ら開発して市場に提供するAlベンダーであるから、今回の和解内容が履行される過程で生じる課題に対する私たちの取組の成果は、同社のAIや同種のAlを利用する他の職場にも波及すると予想される。私たちは日本IBMの従業員が加盟する労働組合としての重い責任を自覚し、労働者・労働組合の先頭に立つ気概を持って、今後とも労働者の権利を守り労働条件の改善に取り組む所存である。以上

別紙

⑴平成30年9月25日付けで締結した和解協定書大3項の規定は、現在も有効であることを確認すること。⑵労働条件・賃金交渉に当たって、組合側が具体的な理由とともに回答根拠の説明や資料開示を求めた場合、日本アイ・ビー・エムは、これに誠実に応じ、資料を開示することができない場合は、その具体的な理由を説明すること。⑶組合ら及び日本アイ・ビー・エムは、日本アイ・ビー・エムが給与調整に当たって使用するAIに関して、別紙1に記載のとおり合意したこと。⑷今後、日本アイ・ビー・エムにおいて、社員に対して給与レンジの上位・中位・下位その他の区分を使用して給与調整を行う場合には、日本アイ・ビー・エムは、組合らに対してそれぞれの具体的な方法(金額幅)を開示すること。⑸日本アイ・ビー・エムは、今後、会社以外の施設を借りて1,000人程度の社員が参加し、社内クラブの参加を記録認めるイベントを開催する場合には一定の場合に所定のイベントへの組合らの参加を認めること。

別紙1

・日本アイ・ビー・エムは、組合らに対し、令和元年及び今後の給与調整に当たって、AIに考慮させた項目全部の標題を開示する。なお、組合らは、本協定に基づき日本アイ・ビー・エムが開示した項目の標題について、みだりに第三者に開示しない。・組合らが、個々の組合員の給与調整について、減額、昇給ゼロ、低評価などの具体的な理由とともに疑義を指摘した場合は、日本アイ・ビー・エムは、当該疑義を解消するために、必要なAIの提案内容を提示し、当該内容を誠実かつ具体的に説明する。・日本アイ・ビー・エムは、AIに考慮させる項目について、格付規程第5条に定める要素との関連性を説明する。・AIについての賃金評価方法に関しては、今後疑義が生じた場合には、組合らと日本アイ・ビー・エムは、誠意をもって協議するものとする

AI不当労働行為事件都労委で勝利和解!


AI不当労働行為事件都労委で勝利和解!


東京都労働委員会において、8月1日、JMITU、JMITU東京地本、JMITU日本アイビーエム支部は、日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)との間で、給与調整(賃金査定)におけるAI(人工知能)の利用について和解が成立しました。AI不当労働行為事件の背景は、2019年8月に日本IBMがAI(ワトソン)を賃金査定に導入すると発表したことに対して、組合が、AIに考慮させるデータの項目やAIの上司に対する提案内容の開示などを求めて団交で要求しました。しかし、日本IBMが開示を拒否したため、不当労働行為(不誠実交渉、支配介入)に当たるとして、2020年4月、東京都労働委員会に救済申立を行っていました。以下に声明を紹介します。

勝利和解にあたっての声明

JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)JMITU東京地方本J部MITU日本アイビーエム支部JMITU日本アイビーエム支部弁護団1東京都労働委員会において、2024年8月1日、私たち労働組合(以下、労組)と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)との間で、給与調整(賃金査定)におけるAl(人工知能)の利用について次の合意を含む内容の和解が成立した(別紙)。⑴日本IBMは、労組に対し、賃金査定でAlに考慮させる項目全部の標題を開示する。⑵日本IBMは、労組に対し、⑴の項目と賃金規程上の評価項目との関連性を説明する。⑶日本IBMは、労組が組合員の賃金査定について昇給ゼロ、減額、低評価などの具体的な理由とともに(2面に続く)

AI不当労働行為事件勝利和解

東京都労働委員会において、8月1日、JMITU、JMITU東京地本、JMITU日本アイビーエム支部は、日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)との間で、給与調整(賃金査定)におけるAI(人工知能)の利用について和解が成立しました。AI不当労働行為事件の背景は、2019年8月に日本IBMがAI(ワトソン)を賃金査定に導入すると発表したことに対して、組合が、AIに考慮させる項目やAIの上司に対する提案内容の開示などを求めて団交で要求しました。しかし、日本IBMが開示を拒否したため、不当労働行為(不誠実交渉、支配介入)に当たるとして、2020年4月、東京都労働委員会に救済申立を行っていました。

 

声 明 (AI不当労働行為事件の和解成立にあたって)

2024年8月1日
JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)
JMITU 東京地方本部
JMITU 日本アイビーエム支部
JMITU 日本アイビーエム支部 弁護団

 

 

1 東京都労働委員会において、2024年8月1日、私たち労働組合(以下、労組)と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)との間で、給与調整(賃金査定)におけるAI(人工知能)の利用について次の合意を含む内容の和解が成立した(別紙)。
⑴ 日本IBMは、労組に対し、賃金査定でAIに考慮させる項目全部の標題を開示する。
⑵ 日本IBMは、労組に対し、⑴の項目と賃金規程上の評価項目との関連性を説明する。
⑶ 日本IBMは、労組が組合員の賃金査定について昇給ゼロ、減額、低評価などの具体的な理由とともに疑義を指摘した場合、当該疑義を解消するために、必要なAIの提案内容を開示する。
⑷ AIについての賃金評価方法に関して、今後疑義が生じた場合には、日本IBMは労組と誠意をもって協議するものとする。

2 この事件は、2019年8月、日本IBMがグループ社員に向けて、賃金査定に自社開発のAI(ワトソン)を導入したと発表したことを受け、労組が、AIに考慮させる項目やAIの上司に対する提案内容の開示などを求めて団体交渉を要求したことに端を発する。日本IBMが開示を拒否したので、労組は、同社の対応が労働組合法7条の禁じる不当労働行為(不誠実交渉、支配介入)に当たるとして、2020年4月、東京都労働委員会に救済を申し立てた。なお、申立て後、日本IBMの一部事業がキンドリルジャパン株式会社(以下、キンドリル)に会社分割されて、労組員の一部はキンドリルに承継されているが、キンドリルは現在はAIを賃金査定には使用していない状況にある。

3 社会の様々な領域でAIの利用が進む一方、社会に残る差別(人種、性別、国籍etc.)をAIが学習して再現したり、判断過程がブラックボックス化して理解不能に陥るなどの弊害が指摘されている。企業が人事管理にAIを利用する場合、公正性と透明性の確保が課題となるが、法規制は進んでおらず、個々の労働者の努力には限界がある。
今回の和解は、賃金査定にあたってAIの評価項目や提案内容を明らかにするという透明性を確保する労使の合意をしたものである。これは労働組合が主体的にAIの利用を監視し、企業に応答責任を課すことで、AIを利用するにあたって労働者の権利と労働条件を守るという労使合意のモデルを提供するものである。職場におけるAIの利用方法は千差万別で今後の動向も流動的であるため、法規制のみには限界があり、この労使合意モデルが今後の出発点になるべきである。今後は、AIの評価によって減額等の疑義が生じた場合のAIの評価(評価根拠・基準、アルゴリズム等)の妥当性・公正性の確保が課題となる。IBMはAIを自ら開発して市場に提供するAIベンダーであるから、今回の和解内容が履行される過程で生じる課題に対する私たちの取組の成果は、同社のAIや同種のAIを利用する他の職場にも波及すると予想される。私たちは日本IBMの従業員が加盟する労働組合としての重い責任を自覚し、労働者・労働組合の先頭に立つ気概を持って、今後とも労働者の権利を守り労働条件の改善に取り組む所存である。

以上

別紙は以下リンクより参照願います

AI不当労和解成立にあたっての声明

 

JMITU Statement on settlement of the case for unfair labor acts(misuse of artificial intelligence)
Aug. 1, 2024

JMITU (Japan Metal, Manufacturing, Information and Telecommunication Workers’ Union)
JMITU Tokyo
JMITU IBM Japan
JMITU IBM Japan, legal team

JMITU (Japan Metal, Manufacturing, Information and Telecommunication Workers’ Union)
JMITU Tokyo
JMITU IBM Japan
JMITU IBM Japan, legal team

1. A settlement with regard to applying AI to salary adjustment (salary review process) was reached between JMITU and IBM Japan, Ltd.(IBM Japan) at Tokyo Metropolitan Government Labor Relations Commission on Aug. 1, 2024 which Includes following article.
(1) IBM Japan will disclose to JMITU about all the factors which are dealt with AI during salary review process.
(2) IBM Japan will explain to JMITU about relationship between evaluation items in wage regulations and the factors as mentioned above (1).
(3) When JMITU pointed out any question about its salary review process with specific reason like no pay raise, wage reduction and low evaluation, to remove all doubts IBM Japan will disclose AI’s proposals as required.
(4) When any question about AI’s wages evaluation method arise in the future, IBM Japan will negotiate with JMITU about the issue with sincerity.

2. This incident was attributed to IBM Japan’s introduction announcement of home-grown AI system(IBM Watson) for salary review process of IBM group employees on Aug.2019, and in response to this, JMITU demanded collective bargaining to disclose all the factors which are used by AI and AI’s suggestions for employee’s manager. However, IBM Japan refused the disclosure, so JMITU filed a request to the commission on Aug.2019 its assistance on the violation of Article 7 of the Labor Union Act(dishonest negotiation, intervention by employer)
And making further reference, after the petition, some part of IBM Japan’s department were divided as Kyndryl Japan KK and JMITU’s member transferred to the company that doesn’t apply AI system for salary review process currently.

3. Although AI has been applied various field, AI is pointed out that there is a danger of learning discrimination (racial, gender, nationality…etc) which still remain in our society, or hard to understanding due to its decision making process will be kept under wraps. It is likely to be an issue to assure its transparency when corporations apply AI to HR management. However, there are limitations to self-help efforts by each employees, due to lack of laws and regulations.

The settlement of this case between labor and management reached agreement on assuring transparency of salary assessment that will done by AI’s proposals and parameters that are used.
And this agreement also provide a role model to assure employee’s right and labor condition by monitoring corporation’s AI usage and holding them accountable. Moreover, this role model should be accepted as a starting point since AI usage is likely to vary from corporation, foreseeing future trends is uncertain and applying legal restraints are limited.
From now on, the challenge is to evaluate AI system (basis, criterion, algorism) and assure its adequacy and fairness when a question about wage reduction which related to AI arise.
Especially IBM is home-grown AI developer and supplier of the product to the market, the results of our efforts to address the issues that will arise in the process of settlement of this case, will affect other corporations who are considering to apply AI(IBM Watson or similar one) to HR management.
We JMITU branch of IBM Japan acutely conscious of taking a heavy responsibility with a lot of grit and determination to lead employee and labor union, continuing to assure employee’s right and improve labor condition.

That’s about it.

 

労基法解体を許さない緊急集会 労働基準関係法制研究会議論の危険性を暴く

6月26日夜、全労連・春闘共闘・労働法制中央連絡会は「労基法解体を許さない緊急集会~労働基準関係法制研究会議論の危険性を暴く~」を全労連会館で開催しました。労働基準関係法制研究会(以下、研究会)は政府・厚生労働省が立ち上げた労働基準関係法の改正を検討する研究会で、日本経団連の意向に沿った内容で労働基準法の大幅な改悪を進めようとしています。

研究会はすでに検討のまとめに入りつつあり、報告書を年内に発表する予定です。報告書を受けて政府は来年早々から労働政策審議会での審議を開始する予定で、2026年の通常国会での成立を目指しているとされています。

緊急集会の目的

労働基準法には、労働者保護の拡充を求める労働組合の立場からすると改正すべき点がありますが、研究会の議論はそれとはかけ離れた方向へ進んでいます。研究会では、労働者のニーズと言いながら、実際には使用者側の要望に沿っていると思われる議論がされていますこ 。うした情勢を踏まえ、研究会での議論の危険性を学習し、職場・地域から労働法制改悪に反対する世論と運動をつくりあげることを目的に、この緊急集会が開催されました研 。究会が検討中の労働基準法の改正における様々な問題の中から、労働時間規制のデロゲーションと労使コミュニケーションについて解説します。

労働時間規制のデロゲーションと労使コミュニケーションについて

研究会では、長時間労働の是正をとなえながら、一方で、現行の労働基準法は画一的な規制だとして、労働者のニーズと企業の実態を踏まえ柔軟な働き方を実践・実現する必要があるという議論がされています。そのために労働時間規制のデロゲーションの範囲を拡大することが必要だと話し合われています。デロゲーションとは、法律や規制を逸脱する行為、または逸脱することを許可する行為です。さらに、現在の従業員の過半数代表者が機能不全に陥っていることが共通認識となっており、過半数労働組合がない場合の新しい労使コミュニケーションの場として「労使協創協議制」を設けようしています。つまり、労働時間規制のデロゲーションを、労使間合意の有無があいまいな労使コミュニケーション=労使協創協議制という方法で既成事実化しようという意図が見え隠れしているのです。これでは、労働基準法が使用者に課している規制が形骸化される懸念があり、労働者保護の拡充を求める労働組合の立場からは認めることはできません。このような労働基準法の改悪に反対する役割は労働組合にしか担えません。

労働時間の上限規制の意義

研発会では、労働時間の上限規制の意義は、過労死防止や健康確保に限られている、という意見があったとされています。しかし、厚生労働省の「所定外労働削減要綱」(平成13年)は、長時間労働の規制の意義は、過労死防止や健康確保に留まらず、個人の自己啓発、家庭生活の充実、社会参加の促進などの意義も含んでいるとしています。すなわち、労働時間の上限規制の目的は過労死防止や健康確保に限定してはならないということです。もし、過労死防止や健康確保に限定すると、過労死しない限り、または健康を害さない限り、長時間働かせてもよいという発想を招きやすくなります。厚生労働省は従来の見解を堅持し、さらに強化すべきです

JMITU第18回定期大会

7月6日・7日の2日間、JMITUは、第18回定期大会を静岡県熱海市で開催しました。大会には、役員と地本を代表する代議員、傍聴者など約80人が参加しました。1日目は、冒頭、JMITUの三木委員長が挨拶しました。続いて三木委員長が議案として2024年度活動報告・2025年度運動方針案、24秋闘方針案を提案、活発な討論を呼びかけました。このあと代議員が議案について討論を行いました。2日目は、前日からの代議員による討論が続けられ、討論終了後、議案が代議員により採択されました。最後に代議員が大会宣言を確認、続いて参加者全員が「ガンバロー」を三唱して散会しました。今回の定期大会の基調となる三木委員長挨拶の要旨を以下に紹介させて頂きます。

三木委員長挨拶(要旨)

本大会の任務は24春闘をはじめとするこの一年間の運動を総括し、その中から新年度の運動方針並びにその最初の実践の場である24秋闘の方針を決定することです。

25年度運動方針案のキーワードは未来をつくるということです。メインスローガンは『みんなで力をあわせ、組織の拡大・強化を推進し、くらし、職場、社会の明るい未来をつくろう』と提案致しました。また、運動方針案の冒頭では2025年度を『未来をつくる年』としようと訴えました。私は改めて、くらしの未来、職場の未来、日本の未来、そしてなんと言ってもJMITUの未来をつくろうということを強く訴えたいと思います。24春闘はJMITUとして93春闘以来31年ぶりに(賃上げ回答の)全国平均が5桁を超えました。しかしそれでも今の物価高騰にはまったく追いついておりません。そもそも日本の労働者の年収は1997年をピークに下がり続けています。こうした賃金の下がり続ける国から賃金の上がる国への転換をめざすという課題はまだ始まったばかりです。マスコミなどではよく失われた30年と言われます。失われた30年とは日本の経済が止まってしまった30年、そういう意味で言われることが多いのですが、しかし実際にはその失われた30年の間に企業の内部留保、つまりため込み利益は30年前の140兆円余から550兆円くらいと4倍も増えています。つまり、失われた30年は、国民が稼ぎ出した富を大企業に献上して、労働者、国民には貧困と格差が押し付けられてきた、そうした30年と言っていいと思います。今年の春闘ではたしかに一定の賃上げが実現をしました。しかし大企業・財界は労働者をいかに働かせ利潤を上げるかということを必死に考えています。大企業は物価が上がって労働者も大変だろうなどと恩給の面から賃上げを容認したのではありません。そればかりか24春闘のたたかいから見えてくるのは財界・大企業の新たな計画です。例えば大企業における賃上げは、賃金が上がった人とそうでない人にものすごい格差が生じています。その背景にはいわゆるジョブ型賃金、つまり成果主義賃金があります。大企業は一定の賃上げを容認する代わりに成果主義賃金の導入を進め、労働者間に格差と分断を広げてきております。是非、活発なご議論をお願いしたいと思います。

レイバーノーツ大会に参加して

かいな2446号でご紹介したレイバーノーツ大会に参加した生熊茂美JMITU特別顧問の手記の続編です。
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最も印象に残ったこと

4月18日から24日の日程で、シカゴで開催された「レイバー・ノーツ大会」に参加してきたが、最も印象に残ったことは、資本主義の最先端であるアメリカでの労働運動、階級闘争の生きた姿を見たということである。
前提として共有しておきたいことは、アメリカでは労働者の30%の賛同で、労働組合結成の認証選挙をおこなうことができ、過半数の支持を得て公式の団交権、労働協約締結権が獲得できるという法制度となっていることがある。また最近の前進の典型として、昨年秋からたたかわれたUAW(全米自動車労組・「改革派」が執行部を占めた)による、三大自動車(GM、フォード、ストランティスー旧クライスラー)の工場においてストライキでたたかい、4年半で25%の賃上げ、「二階層賃金」(リーマンショック以降雇用された労働者の差別的低賃金)廃止などをかちとった経験がある。この前進に励まされ、労働組合の組織化が困難で過去2回労働組合結成に失敗していた南部テネシー州のVW工場での労働組合結成に成功した。三大自動車労組のメンバーからの具体的な報告などを聞いて、私は、アメリカの労働組合運動の要求実現の基本的な力はストライキであって、「力と力のぶつかりあい」が勝負を決めるという感想を持った。アメリカでは、要求を実現するまで「無期限ストライキ」でたたかう。私の参加したワークショップでは「1日や象徴的なストライキは遊びだ」という発言もあった。また「恐怖をどうはねのけるか」というテーマのワークショップもあった。それはストライキを行なえば、経営者の対抗策で職を失う恐れがあるからだという。つまり、ストライキに入れば「勝つか負けるかの力勝負」なのである。だから、勝つための「パワー」は何か、それをどう獲得するかという真剣な議論が中心的なテーマのひとつになっていた。ストライキでは、工場の操業を止める(すべての門にピケットをはる)ことができるだけの組合員の数と団結、ストライキ中の生活を補てんする財政力(今回のストでの生活補償はフォードで週500ドル、これでは生活が大変だった、やっと乗り切ったという発言があった)、世論の支持・連帯、政権・政治の動向(バイデン大統領もトランプもストライキ「支持」を表明、この秋の大統領選挙で労働者の票がほしいという動機もあるだろう)、これらのすべてが「パワー」という認識で、この「パワー」をどうつくるかが「戦略」となっている。

パワーの源泉である「組合員拡大が命」を学んだ

アメリカの労働運動が「組合員が組合員を増やす」運動への転換、「サービス提供モデル」から「組織化モデル」への転換によって前進したと言われている。この「組合員を増やせる組合員の育成」、そのための「交流と学校」が「レイバー・ノーツ大会」だ。大会といっても方針を決めることはない。大会の規模は、会場参加者が2,000人ぐらいだと思う。このような交流集会と元気な決起集会が一つのパターンだった。ジェンダー視点で言えば、女性が運営・発言でも主導的な役割を果たしていた。もう一つは、毎日30~40もあるテーマごとの「ワークショップ」(規模は数十人)、これは学校の教室のようなものだ。報告・問題提起の後に、数人での討論、あるいは隣に座った人と感じたことを話させるなど、「とにかくお客さんにしない、ガヤガヤして聞き取れないが、口を開かせて参加意識を持たせる、考えさせる」、これも「コミュニティ・オーガナイジング」の一つなのだと思った。「組合員を増やせる組合員の育成」を最大の獲得目標としているから、「秘密のレシピ」や「コミュニティ・オーガナイジング」などのノウハウやスキルが生みだされ、活用されているのだと感じた。「みんなが発言し、みんなが参加する元気な運動」、無関心な人に働きかけることについても、「労働組合には無関心でも、自分の働き方や労働条件に無関心な人はいない」ということだ。「よく知らない人とも話をするには」、「まず自分のことから話すこと」、「コミュニティ・オーガナイジング」でも「自分のストーリーを話す」とか表現されるが、私が「要求討議を前進させるには、討議をすすめる側が自らの生活、要求を語れ」と言い続けていることと同じように思う。アメリカの経験をまねできるわけではないが、なぜ元気に組合員を増やせているのか、よく使われる「トラブルメーカー」という標語には、何が示されているのだろうか。職場でおかしなことや要求があったら、「声を上げる」、「問題を提起する、問題を起こす」、「みんなで考えるようにする」、それが「トラブルメーカーズ・スクール」ではないかと感じた

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