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第307回金属反合共同行動

金属機械反合闘争委員会は、9月18日、第307回金属反合共同行動を都内で展開しました。
今回の行動には当日本IBM支部も参加しました。以下に当支部が参加した行動を紹介します。

ノバ・バイオメディカル本社前行動

まず午前のノバ・バイオメディカル本社前行動では、駆けつけた組合の仲間たちが会社に対し労働者の正当な要求を力強く訴えました。
決意表明に立ったJMITUノバ・バイオメディカル支部の射場委員長は、「会社の不当労働行為、不当配転、組合つぶしのいやがらせにより組合員だけでなく非組合員も会社を見限り、この一年だけで40名の会社の中で13名の正社員が退職してしまっています。この争議を勝ち抜いていきたいと思います」と訴え、参加者に支援を呼びかけました。

日本IBM箱崎事業所前行動

続いて午後の行動として、昼休みに日本IBM箱崎事業所前行動が行われました。
行動では、冒頭、同委員会の生熊委員長は主催者挨拶で、中労委で和解協議中の定年後再雇用不当労働行為事件について、「中労委では和解協議が継続されていますけれども、なかなか進みません。この和解の最中に再雇用労働者の賃金が月18万5千円から25万5千円に変更されるので、若干の前進はありました。しかし、新入社員よりいまだに低い、そういう状況です。しかも団体交渉で決めるのではなくて、決めたことを伝えるというだけです。問題はアメリカ本社の承認を得ないと何も進まないというこの労務政策にあります」と述べ、日本IBMの不誠実な姿勢を厳しく批判しました。
この後、決意表明に立った当日本IBM支部の笹目中央執行委員長は、「バンド3のシニア契約社員の給与は10月から月額25万5千円、年収306万円になりますが、それでも新入社員の年収より低く、まともにくらしていける水準ではありません。たたかいはまだまだ続いていきます。最後までたたかいます」と述べ、参加者に支援を呼びかけました。

 

南部地協第37回定期総会
・25秋闘第2次討論集会

JMITU東京地本・南部地協(東京地方本部・南部地区協議会)は、9月13日、第37回定期総会と25秋闘第2次討論集会を品川区中小企業センター(品川区)で開催し、当日本IBM支部をはじめ南部地協に所属する支部が参加しました。
定期大会の午前の部では、小泉・南部地協議長の主催者挨拶、野中・東京地本書記長の激励に続き、25年度活動報告、26年度活動方針と役員体制の提案、25年度決算報告、26年度予算案提案が行われました。
定期大会の午後の部では、午前中の内容が質疑・討論を経て採択されました。討論では、日本IBM支部から定年後再雇用賃金差別争議への支援継続を呼びかけました。
続く25秋闘第2次討論集会では、秋闘の大事さや留意点について認識を共有した上で、各支部が25年秋闘の取り組み状況を報告、質疑・討論を行いました。最後に有馬・南部地協事務局長が討論のまとめを行い、参加者全員で「団結してガンバロー」を三唱して閉会しました。

******* 記事訂正文 ********
かいな2471号(2025年9月16日発行)3面記事「JMITU2025秋闘方針」において、記事本文の最後が「強化しま」で切れていますが、「強化します。」に訂正させて頂きます。

JMITU日本IBM支部25秋闘1次要求書(日本IBM)

組合は9月17日、日本IBMに2025年のJMITU日本IBM支部秋闘1次要求書を提出しました。以下に日本IBM向けの支部秋闘1次要求書を抜粋して紹介します。

争議解決の要求

(1)定年後再雇用賃金差別争議を解決すること

賃上げ要求

(1)2020年9月1日(当時の就業規則が定める給与調整日)に賃上げが実施されなかったために、賃上げが1回分少ない状況は未解決です。その一方、2021年から続く物価高騰で従業員の生活は厳しさを増しています。
これを受け、少ない1回分の賃上げとして2
025年中に賃上げを実施することを要求し
ます。
(2)上記(1)の賃上げは、全従業員(正社員、プロフェッショナル・ブルーを含む)の本給(本俸・月額賃金)を10%引き上げること。
(但し、シニア契約社員の賃上げについては、重点要求12の(3)で要求しています。)

専門職手当、副主任手当の廃止の撤回要求

両手当の廃止により、専門職手当をもらっていた人で残業の無い人は708,000円の年収減、副主任手当をもらっていた人で残業の無い人は492,000円の年収減となります。生活に大きなマイナスの影響を与えます。
以上の弊害を取り除くために、専門職手当、副主任手当の廃止を撤回することを要求します。

定年後の労働条件に関する要求

賃下げ無しの65歳までの定年延長の要求が最重要要求ですが、現状のシニア契約社員の処遇改善のため、及び定年延長された時点でシニア契約社員のままとなっている社員の処遇改善のため、以下を要求します。
(1)賃下げなしの65歳までの定年延長の要求
特別支給の老齢厚生年金の段階的引き上げが
完了することに伴い、「賃下げなしの定年引き
上げ」は、職場の切実な要求となっています。
賃下げなしで65歳までの定年延長を要求し
ます。
(2)シニア契約社員の契約上限年齢引き上げの要求
高年齢者雇用安定法の趣旨(70歳までの就
業機会確保の努力義務)に従い、シニア契約社
員の契約上限年齢を70歳に引き上げるこ
と。
さらに、上記(1)の要求が実現した場合は、
65歳の時点でシニア契約社員への移行を選
択できるようにすること。
(3)シニア契約社員の処遇改善の要求
1)パート有期雇用労働法の趣旨(正社員とパートタイム・有期雇用・派遣労働者との間の不合理な待遇差の禁止)に従い、シニア契約社員の年収を、最低でも定年時の年収(賞与込み・残業以外の手当込み)の80%とすること。
但し、シニア契約社員の年収は、初任給(Reference Salary)に副主任手当を足し合わせた年収(*1)を下回らないこと。
なお、専門職手当、副主任手当の廃止の撤回を要求していますので、上記で「副主任手当を足し合わせた」と表記しています。
(*1)初任給(Reference Salary)に副主任手当を足し合わせた年収
初任給・・・①
Reference Salary: 4,902,000円
(本給: 286,000円×12ヶ月
+賞与基準額:1,470,000円)
副主任手当・・・②
月額  41,000円
年額 492,000円
年収・・・①+②
4,902,000円+492,000円=5,394,000円
2)シニア契約社員の年収を上記の通り設定した上で、組合員であるシニア契約社員の具体的な年収は団体交渉によって決定すること。

2025年秋季年末闘争にのぞむ要請書

JMITUが経営者に提出する「2025年秋季年末闘争にのぞむ要請書」の全文を以下にご紹介します。
日本IBM支部は8月29日の南部地協 25秋闘経営事前申し入れ(4面参照)において提出しました。

2025年秋季年末闘争にのぞむ要請書

2025年秋季年末闘争にのぞむにあたってJMITUの立場と考え方について述べ、経営者のみなさんのご理解と誠意ある対応を要請いたします。

(1)人材の確保・定着があらゆる企業の重要な課題となっています。また、少子化対策にとっても若者が安心してはたらき続けられる労働条件と職場環境が求められます。25秋闘でも「奨学金返還支援制度」など若い世代にとって魅力のある職場をめざします。

(2)自由な時間の確保は労働者の基本的人権です。また、性別を問わず育児や介護、家事など家族とともにくらすために必要な時間や人間らしい生活ができる余暇の時間を確保することを求めます。こうした立場から賃下げなしの労働時間短縮を25秋闘の重点課題に位置づけ取り組みます。休日増と引き換えの1日の労働時間延長は反対です。

(3)過重労働、ハラスメントの横行、危険で劣悪な職場環境、正規・非正規の不当な格差など、どの職場にも労働者のさまざまな不満・不安がうずまいています。25秋闘では、こうした職場の不満・不安をとりあげ、その改善に取り組みます。人間らしくいきいきと働ける職場環境と労働条件をつくることは、作業の効率化や品質の向上など企業の力をつけることにもつながります。

(4)すでに3割を超える企業で65歳以上の定年延長を実現しています。25秋闘では賃下げなしの65歳までの定年延長と希望する者の70歳までの継続雇用に取り組みます。また、定年後継続雇用者の均等待遇と処遇改善をめざします。

(5)財界・大企業と政府が一体となって「ジョブ型人事」を促進しようとしています。JMITUは「ジョブ型人事」など労働者の雇用と権利の破壊につながる労働法制改悪には反対です。また、賃金体系の変更をはじめあらゆる労働条件の変更には労働組合との事前の協議と合意を求めます。(6)米トランプ大統領による関税政策などの悪影響が懸念されるもと、労働者のくらしをまもることは経営者の責任です。また、労働者・労働組合の要求を正面から受け止めその実現に全力をつくしてこそ、労働者のやる気を引き出し企業の将来展望をつくることができます。25秋闘では、労使が対等な立場から合意し協力できる「合意協力型労使関係」の前進をめざします。

(7)物価高騰からくらしと中小企業をまもる課題は、労使で一致する緊急かつ切実な要求です。25秋闘では、「消費税減税!中小企業と地域経済の再生をめざす署名」に取り組みます。全国で集めた署名は、10月29日の中小企業庁交渉で提出し、中小企業支援を求めます。経営者のみなさんのご理解とご協力を要請します。

(8)年末一時金は、住宅・自動車ローンの返済や月々の生活費の赤字補てんなど、私たちの生活にとって必要不可欠なものです。とりわけ、物価高騰のもとくらしをまもる一時金への期待は切実です。継続雇用者やパート・有期雇用者も正社員と生活するために必要な支出に違いはありません。JMITUは非正規雇用や継続雇用の仲間を含むすべての労働者の生活をまもる一時金闘争に取り組みます。

(9)2025年秋季年末闘争は、次の日程にもとづき、統一した取り組みと行動をすすめるとともに、産業別交渉を強化するなど産業別組織としての対応を強めます。

秋闘要求
統一要求日    9月17日(水)
回答指定日   10月 1日(水)
年末一時金要求
統一要求日   10月22日(水)
回答指定日   11月 5日(水)
以上、2025年秋季年末闘争の取り組みについて、誠意ある対応を要請いたします。

JMITU秋闘統一要求書の紹介

(その2)前号に続き、組合が日本IBM、キンドリルジャパンに提出する秋闘統一要求書の中から「安全・衛生に関する統一要求書」を抜粋して以下に紹介します。
1.安全衛生方針と安全衛生体制の確立
①労働安全衛生法令にもとづく安全衛生方針を作成し、職場に周知徹底すること。安全衛生方針は、派遣など非正規雇用者や関連子会社従業員など、職場ではたらくすべての労働者を対象とすること。安全衛生方針の作成や実施にあたっては、JMITUの意見・要求を反映させること▼②子会社、派遣労働者、請負労働者など様々な雇用形態や指揮系統のもとではたらく労働者が混在する場合は、一体となった安全衛生管理体制を確立すること。

2.職場の総点検
労働安全衛生法令にもとづき、作業環境や労働者の健康状態などについて労使で点検すること。また、JMITUと当該企業代表による安全パトロールを通常6ケ月ないし1ヶ年に1回実施すること。これらの結果にもとづき、違反事項や改善すべき事項をただちに改善すること。

3.安全衛生委員会について
①安全衛生委員会を事業場単位に設置し、最低月1回開催すること▼②労働者側委員は民主的な手続で選出すること▼③労働者側委員に日常業務に優先して委員として活動できる時間と権限を与えること。また、講習会への参加など必要な安全衛生教育の機会をつくること▼④労働者側委員に対し、安全衛生について責任者と交渉し、調査や改善を要求する権限を与えること▼⑤新しい工程や機械・設備、また新しい材料や化学物質を導入する場合は、安全衛生委員会で事前に協議すること▼⑥会社は、事業場の安全衛生管理に係るすべての情報を安全衛生委員会に提出すること。

4.安全衛生教育
安全衛生管理者、新入社員や職種変更・配置転換による新入者、一般作業者および特殊作業者のそれぞれに対する安全衛生教育を実施すること。

6.労働時間の適正管理と過重労働の改善
別紙統一要求書にもとづく労働時間短縮要求を前提に、労働者の健康を確保する観点から、
①テレワークや裁量労働制適用者などを含め、労働者の労働時間(出退勤時刻)を客観的な記録を基礎として確認し管理・把握すること▼②時間外労働を含め、終業から次の始業時刻までの時間は最低11時間確保すること(その場合に所定の始業時刻から勤務開始時刻までは勤務したものとみなすこと)▼③やむを得ず、時間外労働が月45時間を越えた場合は、産業医の保健指導など、過重労働に対する健康管理の対策を講ずること。

8.異常気象と自然災害、感染症から労働者の安全をまもる要求
①異常気象などの情報や警報が出された場合には、労働者の安全を最優先し、早めの予防措置をとること。自然災害発生時の対処方法についての方針を定めること。とりわけ、障がいを持つ労働者、妊娠中の労働者、育児・介護などが必要な労働者等については特段の配慮を行うこと▼②災害等による自宅待機や早退・遅刻について、正規・非正規にかかわらず賃金を100%保障すること▼③事業所内の建物の耐震性や危険箇所がないか総点検し必要な措置を行うこと▼④2025年6月1日から労働安全衛生規則が改正され、職場における熱中症対策の強化が義務化されました。気温・湿度調整がされる職場環境を整備するのをはじめ、冷房・送風設備、空調のきいた休憩所の設置、飲料水等の確保、適切な休憩時間等、猛暑による熱中症予防を行うこと▼⑤災害などへの緊急対応として通常業務以外の業務を命じる場合や、時間外・休日労働を行う場合については、労働者の安全性と健康を確保する立場から、労働組合の合意を得ること▼⑥インフルエンザ等の感染症に本人並びに家族が発病し、またPCR検査やワクチン接種などで休業する場合は、賃金を100%補償すること▼⑦職場の労働者を守る観点からワクチン接種を希望する労働者には社内で接種できる機会をつくること。またワクチン接種の全額を会社負担にすること。

JMITU秋闘統一要求書の紹介

組合が日本IBM、キンドリルジャパンに提出する秋闘統一要求書の中から「労働法制の大改悪に反対し、安心して働ける職場の実現を求める統一要求書」を抜粋して以下に紹介します。
1.労働法制の大改悪に反対し、職場に持ち込ませない要求
(1)政府・厚労省がすすめようとしている労働基準法の大改悪や「無効解雇の金銭解決制度」に反対し、「労働者の雇用と権利をまもる」という経営責任を明確にすること。「裁量労働制」の導入をはじめ労働条件変更や解雇・退職勧奨など雇用に関する施策については、労働組合と事前に協議し同意を得ること。
(2)本人の希望にもとづき、有期雇用者・派遣労働者の正社員化を促進すること。正社員化にあたっての賃金・労働条件は労働組合と事前に協議すること。
(3)無期転換労働者の賃金・労働条件は正社員と同一とすること。
(4)「職務給(ジョブ型人事制度)」など名称にかかわらず、査定・成果主義を持ち込まないこと。賃金制度を導入・改定する場合は、労働組合と事前に協議し同意を得ること。
2.「ジェンダー平等」をすすめ、すべての労働者の均等待遇を実現する要求
(1)賃金・一時金、手当、特別休暇、退職金等の労働条件において、性差、雇用形態、国籍などによる格差をなくし、均等待遇を実現すること。また、格差がある場合、その理由を具体的な根拠を示して説明すること。
(2)すべての企業で男女の賃金格差を情報開示し、賃金格差にむけた是正計画を示すこと。
注)「女性活躍推進法」では、従業員301人以上の企業に対し、「男女の賃金の差異」を公表することを義務付けています。さらに、300人以下の企業についても開示義務を拡張することが検討されています。
(3)「均等待遇」を口実にした正社員の賃金・労働条件の引き下げを行わないこと。
(4)ハラスメント防止法を踏まえ、別紙「協定モデル」にもとづき、ハラスメント防止のための制裁処分や相談窓口の設置、被害者の救済措置および再発防止などについて労使協議し協定化すること。
(5)ハラスメントの温床となっている過重労働と人員不足の解消、過剰なノルマ(目標)の設定や成果・業績主義を改善すること。
3.長時間労働を規制する要求
(1)「自分と家族のための時間」の確保とジェンダー平等を実現するために、1日の所定労働時間を7時間30分(すでに実現している場合は7時間)にまで短縮すること。
(2)時間外労働の限度時間を1日2時間・週6時間・月20時間・年間150時間までとすること。臨時的・突発的に、限度時間を超える必要性が生じた場合には、労働組合とその都度、事前協議し36協定を再締結すること。労使の合意のうえ、特別条項を設ける場合であっても、月45時間・年間360時間までとし、限度時間を超える場合は都度、労働組合と事前に協議し同意を得ること。
(3)限度時間を超える場合の割増率を50%以上とすること。
(4)テレワークや在宅勤務などを導入する場合は、労働組合と事前に協議し同意のうえ行うこと。
(5)長時間労働の是正をすすめるために、職場の業務量の実態に見合った人員増をおこなうこと。
(6)人手不足を背景にした業務繁忙で年次有給休暇が取得しづらい環境を改善し、年次有給休暇取得の権利を保障すること。そのためにも、職場の有給休暇取得状況を開示して改善に向けた具体的な協議を行うこと。
4.65歳までの定年延長と継続雇用者の賃金・処遇の改善要求
(1)賃金を引下げることなく65歳まで定年を延長すること。
(2)定年延長を実現するまでの間も、継続雇用者の賃金について60歳到達時の賃金を維持すること。また、特別休暇や住宅手当・家族手当など正社員との均等待遇をはかること。
(3)継続雇用者の無年金期間中の生活と65歳以降の生活に配慮し、60歳到達時の退職金を2,000万円以上に引き上げること。
(4)労働者が65歳以降も雇用継続を希望する場合、選別は行わず、賃金・労働条件、労働環境、働く条件を維持したうえで雇用すること。
5.青年の要求
(1)奨学金を返還している労働者について月々の返還金を支援する制度をつくること。
(2)結婚一時金・休暇、出産一時金・休暇をはじめ青年の要求に積極的に応え、青年が希望をもって働き続けられる職場をめざすこと。

日本IBMの手当廃止は不利益変更か~7月30日、団体交渉で協議

日本IBMの 2025 年 7 月 1 日付の報酬制度改定で、専門職手当、副主任手当が廃止されました。専門職手当は月額 59,000 円、副主任手当は月額41,000 円で、両手当は残業をしなくてももらえていたわけですから、両手当の廃止により、専門職手当をもらっていた人で残業の無い人は 708,000 円の年収減、副主任手当をもらっていた人で残業の無い人は 492,000 円の年収減となります。残業の無い人には主に二通りの人がいます。業務を効率的に行っていて残業をする必要がない人と、仕事外しというパワハラにあっていて業務のアサインが何もない人です。
このように年収が 70 万円とか 50 万円の規模で減少する、これは従業員の生活に大きなマイナスの影響を与えるにもかかわらず、日本IBMはなぜこのような手当廃止を実施したのか、かなりの違和感があります。ちなみに、キンドリルジャパンは、月額 59,000 円の専門職手当、月額 41,000 円の副主任手当を維持しており、従業員の生活への配慮が見られます。
一方で、両手当の廃止後も両手当の金額に相当する残業代がある人の年収は維持されますが、残業時間は人によって異なりますので、専門職手当、副主任手当の廃止によって従業員は年収減になる人とならない人に分かれます。あるいは今は残業代があって年収減になっていない人も、将来残業代が無くなるか減ることで年収減になる可能性があります。残業をしなくてももらえていた手当が突然消えてしまったことで、人によって年収減の有無や規模が異なるという理不尽な格差が生まれています。
組合は、この問題を 7 月 30 日の日本IBMとの団体交渉で協議しました。この日の団交のやり取り(要旨)を以下に紹介します。

7月30 日団交のやり取り(要旨)

組合
専門職手当、副主任手当は、元々はそれぞれバンド7、バンド6という職責に対して支払われていた手当だ。つまりバンド7、バンド6という残業が発生する職務を前提としている手当だ。結果的に残業にならなかったとしても、それは本人が効率的に業務を実施した結果だから、もらって当然の手当だ。この手当の廃止は撤回してほしい。

会社  特に前回お伝えした内容から変更はない。賞与を本給に組み込むことによって時間割賃金そのものがけっこうな割合で増える。

組合 効率的に品質のいい業務をして、それが残業にならなかった人というのは、この手当廃止のマイナスの影響を被ってしまう。損じゃないか。見なし残業代を一方的に削るということは違法性が高い。実際にはこれ世間的にも認められている。そういう例は実際にはある。

会社  この一連の制度改定っていうのはトータルでやっぱり見る必要がある。つまり、今回やろうとしている変更が3つないし5つほどあるので、それら全部を踏まえて収入が、現状と比べて増えるのか否かっていうので見る必要がある。それら全部を含めると基本的には不利益になる社員はいないというのが私たちのスタンスで、よってこれはトータルで見れば不利益な変更とは考えてはいない。

組合 手当を無くしたことによって残業ゼロベースの人であっても年収は下がらないと会社は断定できる計算をしたのか。

会社 基本的には現状維持以上になるという試算。

組合 そこはやったと言い切っているということか。

会社 アセスしたのは事実だ。数字は確認する。

組合 具体的に言うと、残業していない人について制度変更前後の年収比較の数字を確認する、これを持ち帰って次回回答して頂くと。その数字を次回お見せ頂くということで、よろしくお願いします。

JMITU第20回定期大会開催 力強い団結と決意あふれる場に

7月5日JMITUは、第20回定期大会をラパスホール(東京都豊島区)にて開催しました。JMITU役員をはじめ、地本を代表する代議員、傍聴者など約80人が参加しました。大会では25春闘をはじめとする一年間のたたかいを総括するとともに、26年の運動方針を確立しました。

大幅賃上げ実現こそ物価高への最大の対抗策

大会冒頭、三木委員長は、26年度に向けた運動の柱となる重点課題について、参加者に向けて次のように力強く訴えましたま 。ず最初に取り上げたのは、長引く物価高への対応についてです。三木委員長は、「ここ数年の急激な物価高騰に対し、政府の実効性ある対策は見られません。私たちは引き続き、消費税の5%への減税を求めていきます。そして何より、春闘を通じて大幅な賃上げを実現することこそが、物価高から労働者・国民のくらしを守る最大の対抗策です。26春闘では、すべての仲間に大幅賃上げをというスローガンを掲げ、全力でたたかい抜きましょう」と述べ、賃上げこそが生活を守る最も有効な手段だと強調しました。さらに三木委員長は、「若年層の初任給は上がっている一方で、40〜50代のベテラン層の賃金は据え置かれ、深刻な頭打ち状態です。私たちは、すべての世代に対する公平な賃上げを徹底的に追求していきます」と述べ、世代間で広がる賃金格差の是正を目指すべきだと訴えました。

雇用と職場を守るたたかい

次に三木委員長は、企業によるリストラの動きが広がる中で、労働者の雇用を守るたたかいの重要性が語られました。「トランプ政権の関税政策以降、世界経済は混乱を深め、大企業ではリストラの動きが広がっています。しかし、どれだけ企業環境が変化しても、そのツケを労働者に押しつけるようなやり方は断じて許されません。私たちは、現場の声に根ざしながら、雇用と職場を守り、希望ある労使関係を築くたたかいを続けていきます」と強く訴えました。

労働法制改悪を許すな

続けて三木委員長は、現在進行中の労働法制見直しの動きについて危機感を表明し、その阻止に向けたたたかいを訴えました。「現在、厚生労働省では労働基準法の抜本的見直しが進められています。その方向性は、最低限の規制だけを残し、企業が過半数代表との労使協定を結べば、労働条件を自由に決められるようにするという、極めて危険なものです。実質的には企業の都合を最優先にし、労働者保護を骨抜きにしようとしているのです。私たちはこうした労働法制改悪の動きに対し、断固として反対し、全力で取り組みを強化していきます。」

組織拡大を実現しよう

最後に三木委員長は「これらの課題を確実に前進させていくためには、組織の拡大と団結の力こそが鍵です。仲間を増やし、現場の声を広げ、強くて大きなJMITUの実現をめざして、全力で進んでいきましょう」と協調しました。

キンドリルジャパンでシニア・プロフェッショナル社員が正社員に転換、65歳定年に

キンドリルジャパンが2025年4月1日から賃下げ無しで定年を65歳に延長したことは、かいな2458号(2025年1月20日号)1面、2462号(2025年3月17日号)3面でお伝えしましたが、その後、キンドリルジャパンでシニア・プロフェッショナル社員(以下「SP社員」という)が2025年3月1日付で正社員に転換し、65歳定年制が適用されていたことがわかりましたので、その詳細をお伝えします。

SP社員の正社員転換が判明

まず2025年1月6日の65歳への定年延長の発表は、生年月日が1965年4月1日以降のキンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKの正社員を対象に、2025年4月1日付で定年を60歳から65歳に変更するというものでした。つまり、この発表によれば、2025年3月31日時点で59歳以下のこれら3社の正社員だけに同4月1日から65歳定年制が適用されることになります。ところが、キンドリルジャパンのSP社員の組合員が2025年3月1日付で正社員に転換し、同4月1日から65歳定年制が適用されていたことが判明しました。

正社員転換者の賃金差額をバックペイ、DC拠出金を是正

そこで組合は会社にSP社員の正社員転換について2025年5月29日の団体交渉で確認、さらにその後も追加で確認しました。これに対して以下の会社回答がありました。

■会社回答(要旨)

2025年3月31日時点で59歳以下の、キンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKのSP社員について、全員に正社員転換を希望するかどうかを確認した上で、希望する人全員を2025年3月1日付で正社員に転換させた。正社員転換者の賃金、DC拠出額について以下を実施した。
(1)SP社員賃金と、SP社員になる直前の正社員賃金との差額をバックペイした。
(2)SP社員だった期間のDC拠出金相当額を現金払いした(これはDCに拠出金として入れることはできないので現金で渡した)。
(3)キンドリルジャパンのSP社員のみ、正社員転換日の2025年3月1日に、SP社員になる直前の正社員賃金より2%昇給した。これは、キンドリルジャパンのSP社員が正社員に転換した場合、DC拠出率が従前の8%から(2022年9月以降入社の正社員に適用される)6%に下がるため、年間DC拠出金の減少額をリファレンスサラリーの2%の昇給額で補てんするものである(この補てんはDCに拠出金として入れることはできないので現金で渡した)。※KJTS、KSOKについてはDC拠出率は従前も正社員転換後も6%で変更がないので、KJTS、KSOKのSP社員が正社員に転換した場合、2%の昇給はない。

組合の65歳定年制の対象拡大要求が実現

組合は、会社が2025年1月6日に発表した65歳定年制の対象が、2025年3月31日時点で59歳以下のキンドリルジャパン、KJTSおよびKSOKの正社員に限定されているため、組合は当初から65歳定年制の対象外の人たちへの対象拡大を要求していました会社は、2025年5月29日の団体交渉において、65歳定年制の開始前にSP社員になっている59歳以下の人たちは、65歳定年制の発表によって、先にSP社員に手を上げたために65歳定年制の対象外となるという不利益を被るので、正社員転換を希望する人全員を正社員に転換させたと説明しました。今回のSP社員の正社員転換は、組合の65歳定年制の対象拡大要求の実現です。

第306回金属反合共同行動に団結の声響く 未解決争議の早期解決せよ

6月25日、金属機械反合闘争委員会は、すべての未解決争議の早期解決を求め、第306回金属反合共同行動を展開しました。行動には、日本IBM支部をはじめ、JMITUの各支部・関係労組が参加し、団結した姿勢を力強く示しました。蒸し暑い天候の中、午前中にはノバ・バイオメディカル本社前で抗議行動を実施(左写真)。さらに、昼休みには日本IBM箱崎事業所前で行動を展開(下写真)、参加者は日本IBMに対し、誠実な対応と争議解決への具体的前進を強く求めました。

ノバ・バイオメディカル本社前行動

ノバ・バイオメディカル本社前での抗議行動では、最初に同委員会の小泉副委員長が主催者挨拶に立ち、次のように訴えました。「ノバ・バイオメディカル本社前での行動は、今回で20回目を迎えます。会社から組合への攻撃は、たたかう労働組合JMITUにとって絶対に許せない重大なものです。私たちは、必ずこの争いに勝利します」と力強く語り、闘争への決意を鮮明に打ち出しました。続いて、ノバ・バイオメディカル支部の射場委員長が決意表明に立ち、「この争議を最後の最後まで、そして勝利するその日まで、私はたたかい抜きます」と、揺るがぬ覚悟を込めて訴え、参加者に大きな共感と奮起を呼びかけました。

日本IBM箱崎前行動

ノバ・バイオメディカル本社前での抗議行動に続き、昼休みには日本IBM箱崎事業所前でも抗議行動が展開されました。主催者挨拶に立った同委員会の生熊委員長は、「会社は負けても反省しない。これは非常に問題です。日本の法律など気にせず、やりたいようにやる姿勢だと思います」と述べ、日本IBMの不誠実な姿勢を厳しく批判しました。続いて連帯の挨拶に立ったJMITU日本ロール支部・川田委員長は、日本IBMの定年後再雇用者の賃金問題について次のように訴えました。「日本ロールでは賃上げこそないものの、再雇用1年目は定年時賃金の90%、2年目は80%が支給され、一時金も労使協定に基づいて支給されています。それに対し、日本IBMでは定年後再雇用賃金は月額18万5千円、一時金の支給もありません。これでは生活も成り立ちません。一方、キンドリルジャパンでは65歳までの定年延長が実現し、賃金も維持されています。このような制度が、働く意欲と企業の健全な成長につながっています。日本IBMでは、現役社員の中にも賃上げがない人が多くいる今こそ、賃金水準の底上げが必要です。再雇用者にも最低限の生活が可能な賃金を支払うべきです。そして、こうした問題は裁判や労働委員会ではなく、団体交渉で真摯に協議し、誠実に向き合う姿勢を会社側が示すべきです」と強く訴えました。第306回金属反合共同行動は、厳しい暑さの中でも多くの組合員・支援者が結集し、争議の早期解決と労働者の権利確立に向けて力強く声を上げた一日となりました。すべての未解決争議の全面解決に向けて、今後も団結を深め、粘り強く闘い抜く決意が新たにされました。

JMITU夏ボーナス回答速報 組合員平均昨年を16,773円上回る

JMITU25夏季闘争は、6月27現在、春闘時に妥結済の支部分会を含め全国109支部分会が夏ボーナスの有額回答を引き出し、有額回答の組合員平均は昨年同時期との比較で16,773円上回っています。うちJMITU主要企業の夏ボーナス回答(速報・上位15社ランキング)は昨年を上回る高水準の成果を上げており、日本IBMとキンドリルジャパンは昨年に続きランキング圏内でした(左下表)。また上位15社のうち有額回答が100万円以上の企業は13社となり、速報ベースで2023年の5社、2024年の7社から大幅に増えています(右下表)。

支部分会別では次のような成果を上げています

▼東京西部・超音波工業支部は3回のストを決行、第4次回答715,000円(2.02ヶ月)まで回答を前進させました
▼東京東部・小坂研究所支部は4次回答720,000円(2.30ヶ月)を引き出しました▼東京北部・鈴木シャッター支部では3次回答720,000円(2.57ヶ月)を引き出しました▼東京西部・リオン支部では、1,200,000円(3.55ヶ月)の過去最高額となる回答を引き出しました▼他に埼玉・芝浦電機支部で2次回答1,226,333円(4.00ヶ月)、長野・マグネエース支部で3次回答346,860円(1.25ヶ月)、長野・カネテック支部で3次回答415,444円(1.37ヶ月)、兵庫・福原精機支部で3次回答541,000円(1.90ヶ月)、埼玉・東鋼業支部で2次回答660,000円(1.93ヶ月)を引き出しました。

ボーナス闘争は賃上げ闘争へ

日本IBMとキンドリルジャパンの2025年夏ボーナスの組合推定平均支給額(本体・バンド7以下一般職)がこれまでにない高水準となったのは、以下の組合要求の実現が反映されたためです▼日本IBMが25年7月1日付の報酬制度改定を発表、この中でボーナスの変動部分を廃止し、アニュアル・リファレンスサラリーの総額を支給することとしたこと、改定前の最後のボーナスとなる今夏のボーナスに反映される会社業績達成度を「125」、個人業績率を一律100%としたこと▼キンドリルジャパンが25年からボーナス制度を改定、ボーナスに反映される会社業績達成度を基本「100」とし、ボーナスに個人業績を反映しないこととしたこと。以上の制度改定により両社では年収が固定化されますので、ボーナス闘争は賃上げ闘争に移行していきます。