退職勧奨、PIP、賃金減額、いじめやハラスメントなどで困っていませんか?そんなときは組合に相談しましょう。上の「ご意見ご感想」リンクをクリックしてメールで送るか、平日なら右のボタンで相談窓口へご連絡を。
相談窓口

25春闘 4月9日3次スト決行 IBM、キンドリルは物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げを実施せよ

日本IBM、キンドリルジャパンは、JMITU25春闘要求への3月5日回答において、本給の10%引き上げを柱とする、物価高騰を上回る賃上げ要求に対し、有額回答をしませんでした。組合は、両社の3月5日回答を不服として、既報の通り3月6日に1次ストライキ、3月13日に2次ストライキを決行しました。さらに両社はその後も依然として有額回答をしなかったため、組合は4月9日、午前9時から3次ストライキを決行、従業員の生活軽視に抗議しました。3次ストライキは、1次・2次と同様、一人でも多くの組合員が抗議の意思を示せるように、参加時間を9時から17時36分の間に設定した複数の時間から選択、出社または在宅にて参加する形で実施しました。また、日本IBM箱崎事業所前で、午前10時50分からのストライキ行動(左上写真)を、金属機械反合闘争委員会が主催する第304回金属反合共同行動として実施。ストライキ行動では約100人の支援者が集結するなか、組合は、賃上げの有額回答を行うこと、物価高騰に負けない賃金に改善すること、1回分少ない賃上げを実施することを訴えました。

両社の現在の回答状況

日本IBMは、25年は5月1日付で賃上げを実施予定と回答したところまで、キンドリルジャパンは、25年7月1日付で賃上げを実施予定と回答したところまでで、両社とも賃上げの有額回答なし、1回分少ない賃上げについても回答なしです。具体的には、日本IBMは、3月5日回答で25年の給与調整の詳細は現在検討中のため、現時点でお伝えできる内容はありませんと回答、3月12日の団体交渉では25年は5月1日付で給与調整を実施する予定ですと回答しただけで進展なし、続く4月3日の団体交渉でも進展なしです。キンドリルジャパンは、3月5日回答で本年7月1日付で給与調整の実施を予定していますと回答、3月12日の団体交渉では進展なしです。

賃上げのたたかいはさらに

とはいえ、組合が要求しなければ、賃上げの実施さえなかったかもしれません。ただ、賃上げに有額回答がなければ、つまり全従業員平均の賃上げ額の回答がなければ、個々の従業員が自身の賃上げのポジションを知ることができません。そこで組合は4次ストライキを構えて、引き続き日本IBM、キンドリルジャパンに物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げの実施を要求します。季節はそろそろ5月。しかし組合の賃上げのたたかいはさらに続きます

SPセントラル警備保障支部スト支援


JMITUCSPセントラル警備保障支部は3月31日、大幅賃上げ、職場のパワハラ根絶などを求めて昨年に続いてストライキを決行しました。東京都新宿区の本社前で実施されたストライキ行動には多くの支援者が集結しました。警備員の賃金は正社員でも全産業平均より月10万円以上も低く、さらに物価高騰で困窮しています。にもかかわらず、春闘で会社が提示した回答は、定期昇給1000円とベースアップ1500円の月額2500円足らずでした。スト行動では、堀一洋委員長が「交渉が決裂してストライキに発展するのは経営者の責任だ。CSPの賃金は健康で文化的な生活ができなくなっている。物価高騰に対応できない給与だ。今は緊急の生活支援が必要な状況だ」と訴えました。続いて、組合員が次々に発言し、職場の現状を訴え、職場環境の改善を会社に求めました。

定年後再雇用賃金差別裁判 和解成立で円満解決 

当支部組合員の原告2名が、定年後再雇用(シニア契約社員)に移行し、定年時から年収を大幅に減額されたため、差額相当分の損害賠償を求め東京地方裁判所に提訴した裁判は、和解により円満に解決いたしました。以下に和解成立にあたっての声明を紹介します。

1 定年後給与減額に関して会社との和解

原告ら、JMITU、同東京地方本部、同日本アイビーエム支部及びキンドリルジャパン株式会社(以下「キンドリルジャパン」という)は、2025年3月18日、東京地方裁判所にて、原告らが定年後継続雇用(シニア契約社員)として月額給与17万円(年収204万円)と定年時の年収から大幅に減額されたため、差額相当分を損害賠償請求していた本件請求に関して、双方の互譲により、キンドリルジャパンが一定の金銭の支払いを含むことを骨子として和解により円満に解決した。

2 本件請求の具体的な内容

原告2名は、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下「日本IBM」という)に勤務していたが、2018年に60歳定年を迎えた。定年後は日本IBMの高年齢者継続雇用制度であるシニア契約社員制度の適用を受け、1年の有期雇用契約を締結し65歳まで契約が更新されることになった。ところが、日本IBMは、シニア契約社員は一律に月額17万円の基本給(賞与・手当なし)と定めており、原告ら2名も月額給与17万円(年収204万円)とされた。この給与水準は、原告2名の定年時年収の2割弱の水準であった。シニア契約社員となっても、労働時間及び配置転換の範囲、人事考課は正社員と同様とするというものであったそ 。こで、原告2名は、定年後も定年前と実質的に同様の業務に従事しているとして、2020年4月1日、日本IBMに対してパート有期雇用法8条の均衡待遇に違反するとして東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した。日本IBMは、原告2名の定年後の業務は定年前の業務とは異なり、バンド3に該当する補助的業務であるから年収204万円の給与は不合理ではない旨を主張した。日本IBMは、原告2名が従事していた部門を、2021年9月1日、キンドリルジャパンを承継会社として会社分割(吸収分割契約)をしたため、原告2名の有期雇用契約はキンドリルジャパンに承継されることになった。その結果、本件損害賠償請求事件もキンドリルジャパンが訴訟を承継することになったが、キンドリルジャパンも日本IBMと同じく、原告らの業務内容が定年前と定年後は異なるとして、年収の減額は不合理ではないとして争った。以上が本件請求の具体的な内容である。

3 日本IBM及びキンドリルジャパンの労使関係

日本IBMでは、定年後の高齢者継続雇用に関しては、定年時から給与が大幅に減額されている。JMITU、同東京地方本部、同日本アイビーエム支部(以下「JMITU」という)は、定年後のシニア契約社員の基本給月額17万円を増額するよう要求し、同時に月額17万円とする理由を団体交渉で説明するように求めた。ところが、日本IBMは、「シニア契約社員の担当する業務の重要度・困難度を勘案して決定している」と説明するだけで、具体的な説明を行わなかった。そこで、JMITUは、日本IBMの対応がパート有期雇用法14条の説明義務に反するだけでなく、労働組合法7条2号が禁ずる不誠実団体交渉であるとして、2020年11月、東京都労働委員会に不当労働行為救済命令を申し立てた。この不当労働行為救済命令申立後、都労委で審理中に、上記のとおり日本IBMは原告ら2名が所属する部門をキンドリルジャパンに会社分割をした。東京都労働委員会(都労委)は、2024年3月18日、日本IBMに対して、JMITUに対してシニア契約社員をバンド3として給与を決定した理由、正社員との待遇の相違の理由を団体交渉にて誠実に説明すること、承継会社であるキンドリルジャパンに対しても誠実に団体交渉に応じるように命じた。キンドリルジャパンは、この都労委命令を受け入れて、JMITUと定年後再雇用者の給与等の団体交渉に誠実に応じることを表明した。JMITU日本アイビーエム支部は、キンドリルジャパンに対し、2024年11月、あらためて定年後再雇用者の給与等の労働条件に関して、定年後も定年前と同一業務に従事している場合には定年時と同じ待遇とし、定年後に同一業務に従事していない場合であっても定年前給与の8割を維持するように要求して団体交渉を申し入れ、キンドリルジャパンとの団体交渉を積み重ねてきた。キンドリルジャパンは、2025年1月6日、60歳定年を65歳に延長して定年後の待遇を維持することを発表した。対象者は2025年4月1日以降に60歳となる社員からである。待遇を維持したままの65歳への定年延長は、キンドリルジャパンの英断と高く評価できるところである。一方、日本IBMは、この都労委の救済命令を不服として中央労働委員会に対して再審査申立をした。

4 本件和解の意義

定年後再雇用の給与について、多くの会社では、定年時から減額されているにもかかわらず、労働者・労働組合に対して、その理由や根拠について団体交渉にて誠実に説明されていない。JMITUは、日本IBM及びキンドリルジャパンに対して誠実な団体交渉を求めて闘った。結果、キンドリルジャパンでは待遇を維持したまま65歳定年延長が実現するに至った。これは、JMITUの不当労働行為救済命令の申し立て、また、定年後再雇用による給与削減について本件訴訟に取り組んだことによる大きな成果である。本年の春闘においても、多くの職場で定年後再雇用社員の労働条件の維持・改善の取り組みがなされているところであるが、この成果が他の多くの職場での定年後再雇用社員の待遇改善につながることを期待するものである。一方、日本IBMとの関係では現在も中央労働委員会にて都労委命令の再審査手続が係属中であり、この争議の勝利に向けて全力をあげている。これまでのご協力に心から感謝を申し上げるとともに今後ともご支援をお願いします。

2025年4月1日JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)同東京地方本部同日本アイビーエム支部定年継続雇用パート有期雇用法8条違反訴訟弁護団

入社おめでとうございます日本IBM、キンドリルジャパンには頼れる労働組合があります

4月1日付で入社された社員の皆さん、入社おめでとうございます。しかし、入社の喜びの一方で、日本IBMとキンドリルジャパンは外資系なのでリストラをよく行う企業なのではないかと不安の人もいらっしゃることでしょう。でも安心してください。日本IBMグループとキンドリルジャパン・グループには、頼れる労働組合があります。それが私たちの労働組合「JMITU日本IBM支部」(以下、組合、または当組合)です。

日本の労働法の考え方と両社における労使関係

日本では日本国憲法第28条が労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を保証しており、最上位の憲法が労働者の団結権を認めていることから、労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)に代表される日本の労働法は、「会社対労働組合」の関係、すなわち集団的労使関係という考え方を基本としています。そのため、日本の多くの企業は集団的労使関係に基づく労務管理を実施しています。このことは日本で事業を行う企業の責任であり、日本で事業を行う外資系企業も例外ではありません。ところが、両社では、皆さんの上司であるラインマネジャーが、配下の個々の従業員の人事評価と昇給額を決定する「ラインによる人事管理」が行われています。すなわち、両社における労使関係は、日本の労働法が規定する集団的労使関係ではなく、「会社対個人」の関係に押し込められているのです。

両社の労使関係の弊害

「会社対個人」の関係のには次のような弊害があります。日本で事業を行う企業で労働組合のある多くの企業では、集団的労使関係の中で、春闘での労働組合の賃上げ要求に対し、会社が全社平均賃上げ額を回答します。そして、その回答を元に個々の従業員の昇給額が決定されます。ところが、両社は全社平均賃上げ額を回答しませんので、個々の従業員は自身の賃上げ額が全社平均と比べてどの程度かを知ることができません。仮に自身の賃上げ額が全社平均より低くてもわかりませんから、低賃金で長年放置されることがあります。また、従業員は、上司の判断次第、やり方次第で低評価を受ける、昇給をゼロにされたり抑制されたりする、パワハラを受ける、退職勧奨をされる、などの弊害を被ることがあります。事実、IBMからの会社分割によるキンドリルの発足(2021年9月)の前には、日本IBMで「パワハラ4点セット」と退職勧奨を使ったリストラ(人員削減)が全社的に行われたことがあります。パワハラ4点セットは次の①~④の4段階で、そのいずれかの段階で退職一時金と再就職支援プログラムを提示した退職勧奨面談が行われます▼①低評価=リストラのターゲットになった従業員に対して恣意的な低評価をつける▼②PIP=低評価をつけた従業員の賃金を下げる口実をつくるために行う「業績改善プログラム」(Performance Improvement Program)▼③賃下げ=会社から追い出す目的で賃金を下げる▼④降格=賃下げされても会社を辞めないでがんばっていると待っているバンド引き下げまた、会社分割で発足したキンドリルジャパンは日本IBMの人事・給与制度を受け継いでいますので、両社ではパワハラ4点セットに対して常に警戒を要します。

組合に加入しましょう

皆さん、そのような弊害からご自身を守るため、弊害を被る前にその抑止力として、ぜひ今すぐ組合に加入しましょう。当組合は、会社に忖度なくはっきりと物を言い、要求を勝ち取るためにたたかう労働組合ですので、組合員は守られるのです。また、組合に入るとお得な保険である「全労連共済」に加入することができます。若い時から入ればさらにお得です。その上、組合に入ると「ろうきん」から有利な金利で住宅ローン等の借り入れをすることができます。いかがでしょうか。この両社で組合に入らない理由は無いのではないでしょうか。組合加入は3面の「組合なんでも相談窓口」にご連絡の上、お申し込み下さい。

25春闘 3月13日2次スト決行 IBM、キンドリルは有額回答をせよJMITU主要企業は昨年より高水準

日本IBM、キンドリルジャパンは、JMITU25春闘要求への3月5日回答において、本給の10%引き上げを柱とする、物価高騰を上回る賃上げ要求に対し、有額回答をしませんでした。組合は、両社の3月6日回答を不服として、3月6日の1次ストライキ(かいな前号参照)に続き、3月13日、午前9時から2次ストライキを決行、従業員の生活軽視に抗議しました。2次ストライキは、キンドリルジャパン本社前で、午前8時45分からの宣伝行動に続き、9時からストライキ行動(上写真)を決行。前回同様、一人でも多くの組合員が抗議の意思を示せるように、参加時間を9時から17時36分の間に設定した複数の時間から選択、出社または在宅にて参加する形で実施しました。

JMITUの25春闘情勢

3月28日時点の速報で、JMITU主要企業15社の賃上げ回答(左下表)は昨年を上回る高水準の成果を上げており、賃上げ率回答の分布(右下表)は背景色で示したように、主たる分布域が昨年より上昇しているのと同時に、5%台、4%台が増えています。このように主要15社は物価高騰のなか賃上げで従業員の生活に配慮しており、有額回答がいまだに無い日本IBM、キンドリルジャパンとの違いが際立っています。JMITUの支部・分会では、さらに今後の団体交渉、ストライキによる回答額の上積みが期待されます。

JMITU東京地本・南部地協リレースト 納得いく回答を引き出すまでは絶対に妥結しない

JMITU25春闘要求に対する統一回答日の3月5日、それぞれの会社から一斉に回答がありました。JMITUは、納得いく回答を引き出すまでは絶対に妥結しない構えと態勢をつくりあげ、 ストライキで低額回答に断固抗議する方針を立てました。回答なしや回答が不十分な支部・分会は、翌6日の統一ストライキを決行しました。

南部地協リレーストライキ

JMITU東京地本・南部地協(東京地方本部・南部地区協議会)は、3月6日のJMITU25春闘第1次統一ストライキとして、リレーストライキを展開しました。リレーストライキは、南部地協に所属する支部・分会のストライキをリレーで激励する一日行動を、一面で紹介した日本IBM箱崎事業所前でのストライキ行動を皮切りに実施しました。また、ストの合間に、争議でたたかっているノバ・バイオメディカル支部の本社前宣伝行動の支援を行いました。

ノバ・バイオメディカル本社前宣伝行動

日本IBM箱崎事業所前でのストライキ行動に続いて、ノバ・バイオメディカル支部の本社前宣伝行動では、マイク宣伝をしながらチラシを配布し、会社がノバ・バイオメディカル支部の委員長に対して行っている不当な配転に抗議しました。

桂川精螺分会スト


続いて、桂川精螺製作所本社前では、統一回答日に会社から回答がなかったことに抗議し、ストライキ行動に入りました。行動では、桂川精螺分会の古畑分会長が「10年以上も低額な回答が続いている。大幅な賃上げで生活を改善することを要求する」と訴えました。

宇野沢組鉄工所支部スト

夕方からは、宇野沢組鉄工所支部がストライキに突入する予定でしたが、当日開催された団交で会社が24年ぶりのベースアップ(1万円)実施の回答をしたため、ストライキを中止しました。

 

25春闘統一ストライキ集会決

25春 議闘統一ストライキ集会決議文の抜粋を紹介します。わたしたちは今日、大幅賃上げをはじめとする春闘要求の実現をめざし、統一ストライキに決起した 。いま、コメをはじめとする食料品やガソリンなど、生活必需品の高騰がくらしを直撃している。名目の賃上げ率から物価指数を差し引いた実質賃金は3年連続で前年比マイナスとなっている。JMITUの試算では、45歳・4人家族の標準世帯で、この間の物価高騰による毎月の負担増は3万円にもなっている。昨日示された賃上げ回答は、「物価高騰に見合った賃上げ」とはとうてい言えない。経営者には労働者のくらしをまもる責任がある。あらためて、労働組合の要求を正面から受け止め、物価高騰に負けない大幅賃上げの回答を示すことを強く求めるわ 。たしたちは、物価高騰に負けない大幅賃上げを勝ち取るまでは一歩も引かない。みんなが納得できる回答を引き出すまでとことんがんばりぬく。世界各国は物価高騰から国民のくらしをまもるために積極的な最低賃金引上げをすすめている。日本もいますぐ全国一律1500円の最低賃金を実現しよう。わたしたちは、職場の団結と産業別統一闘争を強化し、全国の仲間とともに、物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げ、労働時間短縮などすべての仲間の要求実現のために職場と地域で共同をひろげたたかう。以上、決議する

3月6日 1次スト決行25 春闘要求に賃上げ回答なし IBM、キンドリルは有額回答をせよ

JMITU25春闘要求の回答指定日の3月5日、日本IBM、キンドリルジャパンは回答を行いました。しかし、この日の回答では両社とも、本給の10%引き上げを柱とする、物価高騰を上回る賃上げ要求に対し、有額回答をしませんでした。組合は、両社の3月5日回答を不服として、翌6日、午前9時からストライキ(1次スト)を決行、従業員の生活軽視に抗議しました。1次ストは、日本IBM箱崎事業所前で、午前8時45分からの宣伝行動に続き、9時からストライキ行動を決行。一人でも多くの組合員が抗議の意思を示せるように、参加時間を9時から17時36分の間に設定した複数の時間から選択、出社または在宅にて参加する形で実施しました。

有額回答どころかリストラが常態化する日本IBM

かいな2453号(2024年10月21日号)3面にて、IBMが24年1月の決算発表の中で23年と同規模(数千人規模)の人員を削減する方針を発表したこと、この発表に基づくものと見られる退職勧奨が日本IBMで行われていること、これを裏付けるかのような海外メディアの情報としてIBMが24年9月に数千人規模の人員削減を秘密裏に実施していることをお伝えしました。また今年1Qにも日本IBMのコンサルティング部門で、24年通年評価でLowPerformer(部門内同Band相対評価で下位10%)と評価され改善プランの提出(実質的なLPIC)を求められた、改善プランが不十分な場合はPIPの対象となると言われたという実質的な退職勧奨がありました。さらに今年2月にはIBMのマーケティング部門でグローバルのトップから、従業員の業績をTop15%、Core70%、Low15%に区分するという発表がありました。これはかつて賃金減額、降格、ロックアウト解雇に使われたボトム10%・15%というリストラ手法の再来です。このように日本IBMは日本で事業を行う企業でありながら、常態的にリストラを行い、日本で多くの企業が賃上げの有額回答をする春闘の時期に有額回答をしないのです。皆さん、おかしいと思いませんか。日本IBMは、日本で事業を行う企業の社会的責任を果たすべきです。

組合に加入しよう

日本IBM、キンドリルジャパンでは、賃上げが物価高騰に追いついていない実質賃下げという状況、さらに賃上げが1回分少ない状況(20年から24年の5年間に4回)の中で、従業員の生活は苦しさを増しています。従業員の皆さん、物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げを勝ち取り、リストラから雇用をまもるため、今こそ組合に加入し、いっしょにたたかいましょう。組合へのご連絡は3面の「組合なんでも相談窓口」までお願いします。ウェブからは組合トップページ上部の「ご意見ご相談」をクリックし、記入、送信して下さい。

グーグル日本法人を解雇された元従業員が仮処分申立 「解雇は無効」解雇理由はPIP目標に無い項目の未達成

前号で退職勧奨に応じなかったことを理由に大幅減収になり、不当な扱いを受けたとして、米グーグル(親会社Alphabet)の日本法人で働く6人が1月31日、同社側に約6300万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したことを紹介しました。今号では、昨年末に米グーグルの日本法人を解雇された元従業員が、会社から業務改善計画(PIP)の実施を命じられ、当初の目標を達成したにも関わらず、突然付け加えられた評価項目を理由に解雇されたことは無効だとして、雇用契約上の地位の確認と、賃金の支払いを命じる仮処分の申し立てを2月11日、東京地裁に行いました。JMITU・Alphabetユニオン支部(以下、JAU)の執行委員長と仮処分の申し立てをした原告からJMITU日本IBM支部にメッセージが寄せられましたので紹介します。

JAUの小林執行委員長からのメッセージ

アメリカ外資では、PIPと呼ばれる制度が導入されている企業が多くあります。人事評価が低い社員に、改善を示す機会として課題を与えるものです。アメリカでは、未達成の場合、解雇に繋がることが多く、非現実的な目標設定をし、解雇の口実となっている実態も報告されています。グーグルの日本法人でも慣例的に実態としてアメリカと同じ形の未達成を理由とした解雇が行われていました。2024年11月、そのうちの1人が立ち上がり、JAUに加入し、たたかう覚悟を決めました。最初は、解雇は受け入れるが、せめてきちんと説明をしてほしいという要求でしたが、団体交渉での会社からのしどろもどろの説明を聞くうちに、納得できないと、争議で解雇無効を争う決意を決めました。グーグルでのPIPは、目標設定も具体的な数字を伴わない抽象的なものです。更にひどいことに、達成目標として伝えられていた3項目については達成を会社も認めたにも関わらず、当初目標に含まれなかった「ソートリーダーシップ」という項目で、未達成とされたのです。チームの同僚たちも「ソートリーダーシップ」ははじめて聞いた様子で、上司以外誰も意味を知りません。組合に対しても、未だにソートリーダーシップの意味について納得のできる説明はありません。

原告からのメッセージ

新卒からIT業界に入り、ずっと憧れていたグーグルで働くことができるというのは、私にとって大きな夢の実現でした。そんな企業からオファーを受け取ったとき、私は驚きと共に胸が高鳴ったのを今でも覚えています。年収はかなり上がり、そのおかげで、大切な人と共に美味しい食事を楽しんだり、旅行に出かけたりと、より豊かな生活を送ることができました。しかし、そんな平穏な日々を壊したのは突然の解雇通知でした。グーグルでは、マネージャーが部下に低評価をつける場合、事前に文章でフィードバックを行い、改善のための時間を与えることが推奨されています。しかし、毎週の面談や四半期ごとの中間評価面談でも問題点の指摘もないまま、一方的に低評価がつけられました。そしてPIPを実行したのです。そこから6ヶ月間、私は必死に努力しマネージャーからも改善されたことが認められていたにもかかわらず、PIP未達とされました。PIP終了後、会社は毎週面談を設定し、合意退職を強要しようとし、拒否すれば解雇される恐れがあると脅しました。そして、1ヶ月以上にわたる退職勧奨の後に突然の解雇通知が届き、その後すぐに仕事用のPCやアカウントへのアクセス権を剥奪されました。「解雇予定日」はその1ヶ月後とのことでした。私にとって、この出来事は単なる職場での問題にとどまりません。将来への不安が一気に広がり、人生の大切な瞬間においても影を落としています。プロポーズを考えていた彼女との未来も不安定になり、心の中で感じる痛みや不安は計り知れません。会社代表から組合に提出された解雇理由書は杜撰なものでした。改善されたと認められた項目や、「分析の深さ」というそもそもこれまで一度も指摘されなかった項目が並べられていました。解雇通知の内容は「就業状態、または意欲が著しく不良で業務に適しないと認められる」という虚構されたものでした。「解雇」とは労働者のキャリアのみならず、日常生活にも大きな影響がある重大な事案です。その解雇がしっかりとした事実確認なしに強行されようとしていることに、私は非常に驚き、愕然としました。さらに、会社は借り上げ社宅の解約や退去手続きの圧力をかけるなど、私の状況をますます厳しくしようとしています。このような理不尽なPIPや一方的な解雇を黙って泣き寝入りすることはできません。私の身に起こっている出来事が、もう二度と他の社員には起こってほしくない。その思いを糧に私は会社と徹底的に戦い、公正な評価と解雇の撤回を求めていくつもりです。

日本IBM・キンドリルジャパンは賃上げ10%を実施せよ 25春闘 3月5日、賃上げ回答せよ 不当回答なら6日、13日早朝行動

前号の通り、25春闘アンケートの結果、日本IBMとキンドリルジャパンの従業員は、最も多く(65.6%)の人が賃金に不安・不満を抱きながら、100%の人が生活が苦しいと実感していることがわかりました。
組合は、従業員のこの厳しい生活実態を踏まえた日本IBM支部の25春闘要求書(統一回答指定日は3月5日)を、統一要求日の2月19日に日本IBMに提出、その前日の2月18日にキンドリルジャパンに提出しました。
25春闘要求書の賃上げ要求は、少ない1回分の賃上げと2025年度分の賃上げを実施すること、物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げとして本給を10%引き上げることを要求しています。以下に抜粋します。

賃上げ要求

(1)本来、就業規則通りに賃上げが実施されていれば、2020年から2024年までの間に5回賃上げがされていなければなりませんが、4回しかされておらず、賃上げが1回分少ない状況です。その一方、21年からの物価高騰で従業員の生活は厳しさを増しています。これを受け、少ない1回分の賃上げとして25年4月1日付で賃上げを実施すること、さらに25年度分の賃上げを25年5月1日付で(キンドリルジャパンは25年7月1日付で)実施することを要求します。
(2)上記(1)の賃上げは、全従業員(正社員、プロフェッショナル・ブルー、シニア・プロフェッショナル)の本給(本俸・月額賃金)を10%引き上げること。

組合の賃上げ交渉の構え

以上の賃上げ要求に対して満足な有額回答が3月5日に無い場合は、組合は翌6日早朝に日本IBM箱崎事業所前で、13日早朝にキンドリルジャパン本社前で宣伝行動を実施します。また、宣伝行動といっしょにストライキを実施するため、当支部が掲げる項目についてスト権を確立するためのスト権投票を現在実施中です。さらに4月以降にも交渉状況に応じたストライキと宣伝行動を計画しています。

組合に加入し、いっしょにたたかいましょう

25春闘では、なんとしても物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げを、ストライキを構えた交渉で勝ち取らなければなりません。従業員の皆さん、今こそ組合に加入し、いっしょにたたかいましょう。組合へのご連絡は3面の「組合なんでも相談窓口」までお願いします。ウェブからは組合トップページ上部にある「ご意見ご相談」をクリックし、記入、送信して下さい。

退職勧奨めぐりグーグル日本法人を提訴 約6300万円の損害賠償を請求

退職勧奨に応じなかったことを理由に大幅減収になり、不当な扱いを受けたとして、米グーグル(親会社Alphabet)の日本法人で働く6人が1月31日、同社側に約6300万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。原告6人はJMITUAlphabetユニオン支部(以下、JAU)の組合員で30~40代の女性2人、男性4人。グーグルは2023年1月、世界規模で1万2000人の削減を発表。日本でも退職強要が行われ、退職を拒否した労働者は4月、元の部署から望まない部署(いわゆる「追い出し部屋」)に異動させられたり、賞与を減らされたりしました。JAUの執行委員長と提訴した原告の一人からJMITU日本IBM支部にメッセージが寄せられましたので紹介いたします。

JAUの小林佐保執行委員長からのメッセージ

今回の事件は、会社からの退職勧奨を断ったことへの、1人あたり最大2000万円以上、合計5000万円以上にのぼる経済的な被害を伴う報復です。組合として退職勧奨を受けた社員から相談を受ける中で、「退職勧奨を断ったら、追い出し部屋に移された、賞与が減額されたというのは本当ですか。本当は家族の状況などを考えると今転職活動をするのは難しいのですが、そんなぶざまを晒すぐらいなら会社を辞めようと思います」といった相談もありました。退職勧奨を断ることへの見せしめとしての効果を実際に発揮しています。これでは、退職勧奨は社員の自由意志に基づいて合意するという理念が守られません。このまま放置すれば、他社が追従し、日本の法律を、骨抜きの実態にしてしまう可能性も考えられます。このやり方は退職勧奨の枠組みとして認められるものではないと、今回の事件で示さなければならないと思っていますグ 。ーグルは、各国の法律を守るというメッセージを社員に対して発信し、社員も会社を信じています。同僚に、今回の事件の話をしたところ「何かの勘違いか、手違いだよ。社員の声をよく聞くグーグルが、そんなことをするはずない」と言われたことがありました。グーグルは、それだけの社員からの重い信頼を裏切ってしまったのだと私は思います。裁判の結果で会社に誤りを認めさせ、償わせることでしか、再び社員との信頼関係を取り戻す一歩を踏み出すことができないと感じていますグ 。ーグル社員のため、全ての働く人のために、この事件を最後に、生活とキャリアを壊す退職勧奨を断ったことへの報復を繰り返させないよう、全力で原告を支えていきます。

原告からのメッセージ

上司に、株式で支払われる賞与(以下RSU)がゼロになることと、日本円で支払われる賞与も削減されると伝えられたとき、衝撃に打ちのめされました。特にその後、通常評価であるSIの評価を受けたときには、本当に殴られたかのように感じました。グーグルの経営判断に裏切られたという辛さもありましたが、それ以上に家計と家族の未来に直接的なダメージがありました。私の2人の娘はアメリカの大学に通っています。アメリカの学費の負担はあまりにも大きいため、娘達が生まれたときから計画的に貯金をしてきました。近年の円安で、学費の支払いの負担は大きくなっていました。RSUは米ドルに換金されるため、学費の支払いを支える要となっていました。2024のRSUの割り当てがゼロになったため、難しい決断を迫られることになりました。日本に住み続けることを諦めドルで給与が得られるアメリカに移住するか、娘に大学を中退してもらうか、他の解決策を探すかです。アメリカに戻るということは、仕事も、住まいも、子どもたちの学校も、イチから生活を作らなければならないということです。アメリカから日本に引っ越す際、私たちは1年かけて家族のすべての荷物をアメリカから日本に運び、住居と学校の生活環境を整えました。非常に時間がかかり、複雑で、体力も消費する作業であり、やっとのことで東京になじんで幸せな生活を送っていたところだったので、私たちは、到底再びアメリカに戻ろうとは思えません。グーグルは常に、イノベーションを起こして世界を変えるというメッセージを発信し続けてきました。公平・平等を掲げてきた会社が、このような心なく、視野の狭い行為をしたことに失望しています。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。