2105号の「かいな」でマクドナルド社の支店長の残業代支払請求を東京地裁が認める判決を出したことを報道しました。この事件は「管理職」の定義をめぐる事件でしたが、いろいろな企業でこの種の問題が発生しています。
これとは少し経緯と内容は違うのですが、2007年11月30日、最高裁が、IBMにおける専門職組合員に対する不当労働行為事件について、上告を棄却し、東京高裁判決が確定したことはすでに報道しました。 この事件について、改めてふりかえっておきます。
和解で組合員が主任
60年代末から80年代初めにかけて、組合員に対する賃金差別、昇進差別是正の闘いの末、中央労働委員会(各地の労働委員会の上部機関)の仲介もあり、1982年12月に、ようやく「和解」が成立しました。 この和解により、組合員が主任に昇進することになりました。
同時に、労使間で「ライン専門職および専任XX部員以上のスタッフ専門職は非組合員とする」という条項も含んだ「確認書」が締結されました。
不利益が顕在化
しかし、十年も経過するうちに、専任以上のキャリア・スキルをつけた組合員が増えてきたこと、主任職位のままではICPになれないこと、また、会社の人事政策の変更もあり、専任XX部員の比率が大きくなり、実質的に主任XX部員と大差ないようになるなどの変化と組合員の不利益が顕在化してきました。
組合員の範囲見直しを提起
組合は、組合員の範囲がこのままでは、不都合な事態になっているとして、組合員の範囲の見直し協議を会社に繰り返し提起しましたが、会社は応じようとしませんでした。そこで、組合は、92年5月、「確認書」の中の組合員条項の破棄を通告し、9月には、解約成立を通告しました。
しかし、会社は、「確認書」の一部解約は認められない、と一貫してこれを無視し、「組合員の範囲は主任まで」と主張し続けました。
リストラのターゲットは専任以上
92年から本格的に始まったIBMの人減らしリストラのまずターゲットにされたのは、この専任以上のスタッフ専門職層でした。そのためにも、会社は、組合員の範囲を専任以上にはひろげない、という勝手な論理に固執したのでした。 このリストラのなかで、雇用に不安を感じた三名のスタッフ専門職(主管がひとり、専任がふたり)が95年から96年にかけて組合に加入しました。しかし、会社は、頑なに三名を組合員として認知しようとせず、「ストに参加すると処分する」などと恫喝するようなことを繰り返しました。
組合は、これらが不当労働行為にあたるとして、 96年9月、東京都労働委員会(都労委)に救済申し立てをしました。
以上がこの問題の前提となるごく大まかな経緯です。