スタッフ専門職は利益代表者に該当しない
組合員資格は組合の自主的判断に
都労委命令、東京地裁判決、高裁判決、最高裁の棄却といろいろ変転はありましたが、最終的に確定した高裁判決の内容とはなんだったでしょうか。
不当労働行為救済を求めたが
そもそも、この事件は、「ストに参加すると処分する」などと恫喝するような会社による不当労働行為救済を求めたものでした。高裁判決は、「本件各行為はいずれも不当労働行為である支配介入に当たらない」と、組合側の主張を退けました。その限りでは組合側の敗訴でした。最高裁もそれを支持したということです。この点については、組合としては極めて遺憾に思うものです。では、これで組合側の全面敗北でしょうか。
組合員の範囲は誰が決めるか
労働委員会や裁判では、直接的に被った不利益や被害が問題とされます。今回の事件は、不当労働行為があったか、なかったか、が直接的には争われました。しかし、先週の「かいな」で述べた経緯のように、この事件の前提には、
- 92年5月の「確認書」 の中の、組合員の範囲を「主任まで」とした条項の破棄の有効性
- スタッフ専門職の組合員資格の有無、すなわち「会社の利益代表者」であるか否か
という問題があります。
つまりは、組合員の範囲というものは誰が決めるべきものなのか、ということです。
スタッフ専門職が組合員資格を有すると判断
高裁判決は極めて明快に、「藤田ら3名はいずれも労働組合法2条但し書1号の利益代表者に該当しないというべきである」、「労使関係の安定という労使双方の意図は約10年にわたって一応実現されたと考えられること、以上を勘案すれば、本件確認書締結後、約10年を経過しても、被控訴人支部(注:組合のこと)が本件条項を解約することを認めないとするのは、著しく妥当性を欠くといわなければならない」、「当裁判所は本件一部解約は有効であると判断するもので、客観的には本件条項は、本件一部解約から90日を経過した平成4年8月25日には効力を失ったのである」と、組合員条項の破棄を認め、さらにスタッフ専門職が組合員資格を有するとの判断を示しています。これには一分の誤解の余地もありません。
しかし、この期に及んでも、会社は、昨年12月28日付の組合宛て書簡で「結論として『非組合員の範囲について労働協約が締結された以上、労使の合意として効力を有するものである』と述べている点にあると考えています」などと高裁判決の部分的引用が「結論」であるかのように装っています。
利益代表者の範囲は会社の実態に
実は、会社引用の部分に続いて、判決は、「しかし、使用者の利益代表者の範囲は、現実にはその判別が困難を伴うとしても、各企業の実態に即して客観的に定まるものであって、労使の合意によって左右されるものではない。しかも、組合員となる資格を有しない者の範囲の裏返しである組合員となる資格を有する者の範囲は、本来、組合の自主的判断に委ねられるべきものであり・・・」と述べているのです。
2万人ほどの会社で数千名もの「使用者の利益代表者」がいるなどいうことは常識的にありえないことであり、私たち組合も、スタッフ専門職は組合員の範囲内である、と自主的に判断しているのです。