日本経団連前行動での「訴え」の内容を公開します

一部では報道もされたようですが、12/16の昼休み時間帯に行われた東京大手町・日本経団連前緊急行動において、JMIU日本アイビーエム支部からも「決意表明」を兼ねて「訴え」を行いました。その原稿を公開します。

IBM のリストラについて

さまざまな報道でご存じの通り、日本アイ・ビー・エムでは、この10月からの2ヶ月余り、1000人規模という大規模なリストラの嵐が吹き荒れています。それも、会社の売上高はわずかに5%の減少、利益はほとんど変わらないという、まったくリストラの必要などない環境においての強行です。このリストラは、一部報道のような「公募」ではなく、ひとりひとり対象者を会議室に呼んで「あなたはこのままだと成績が下がる、減給や降格もあり得る」と脅した上で退職勧奨するという、たいへん陰湿な方法で行われています。会社は対象を「ボトム15%」と言いましたが、実際の対象はそれとは全く異なります。ラインとそりが合わない人、新しい仕事について間もない人、これには中途入社してわずか6ヶ月、という人も含まれます。身体障害者や、IBMには非常に多いメンタルヘルスに問題を抱えている人、これはもちろんIBMに入社してから激務でそうなった人たちです。そういった、ラインから見て「やめさせたい」「やめさせやすいと思われる」人。また部門によっては中央執行委員長、ならびに書記次長の私も含め組合幹部を狙い撃ちにするという、まったくもって作為的なリストラ候補者リストを作り、会社ぐるみでリストラ攻撃を仕掛けています。しかも、「やめるつもりはない」という人に対して、何度も何度も面談を繰り返し、対象者を心理的に追い詰め、しまいには法務取締役を会議に同席させて、「48時間以内に退職勧奨のプログラムを選ばなければ就業規則に基づいて解雇する」と言って無理矢理やめさせる、という労働契約法制無視、やりたい放題とも言える手段まで使ってきています。

組合の組織拡大・宣伝について

これらの攻撃に対して、組合は機関紙「かいな」、ならびに新装したウェブサイトを使って対象者に組合への相談を呼びかけ、組合員が人によっては連日連夜話を聞き、相談に来られた方がどうすればよいかを考え、必要なら加入を促す、という方法で対応していきました。中には生気のまったく感じられない表情で相談に来られる方、泣きながら状況を話される方、など、いろいろなケースに接し、会社のやり方がいかに卑劣なものであるかを改めて実感させられました。その結果、団塊の世代の相次ぐ退職で100人に満たない規模にまで縮小していた組合に、10月以降だけで50名もの新組合員を迎え、団結の力を大きく強化してきました。新組合員についても、頻繁に情報交換しつつ、それぞれの自立を促した結果、最近は新組合員も相談対応できるような強い組織を実現しつつあります。
また、日本アイ・ビー・エムはこんなひどいことをやっている、ということを広く世に知らしめ、世論を味方につけるべく、厚生労働省での記者会見を始め、新聞、雑誌、テレビ局の取材などにも組合員が新規・既存を問わず対応し、さらに国会の予算委員会での質問なども通して、このような会社の卑劣なやり方を糾弾し、一定の理解を得られるよう行動してきています。

IBMの会社方針と今後の闘い方について

IBMは、1992年以降、新自由主義のもと、株主優先、一株あたり利益優先の米国的経営手法をとり、しかも、1年以上先には興味がない、いま利益が上がればいい、という超短期的な眼しか持たず、その上で米国的な悪しき人事慣習をも日本に輸入してきました。非正規で置き換えられる仕事は非正規に置き換え、社員一人一人を「成果主義」という名の下にコントロールし、人件費を大幅に減らし、自分の懐だけが儲かる仕組みを作り上げてきました。そして利益を確保するためには手段を選ばず、リストラなども当然のこととして行い、実際の退職勧奨を日本のラインマネージャーに「説明責任」という言葉とともに押しつけています。従業員を人間としてではなく、お金のかかる「もの」としてしか見ていない経営側の態度が、多くの社員を疲弊させ、モチベーションを下げ、会社の将来に展望がもてない状態に追い込んでいます。
しかし、サブプライムローンの焦げつきにはじまった、まさに世界的な不況とともに、新自由主義の時代は終わりを告げました。そのような状況の中、日本アイ・ビー・エムだけでなく、ソニーが全世界で8000人の削減を発表するなど、雇用確保の問題はいよいよ正社員にも波及し始めています。こういうときに大事なことは、上の人間は責任をとらず、すべて下に押しつけて退職を強いるような施策ではなく、大企業の社会的責任をわきまえ、上層部はもちろんのこと、正規・非正規を問わず会社の構成員すべてが痛みを分け合いつつ雇用を守り、モチベーションをキープし、そして次の成長期に向けて企業としての力を蓄えること、これしかないのではないでしょうか。私どもJMIU日本アイビーエム支部も、会社に対して、今後も社会的責任をわきまえた行動をとるよう目を光らせ、問題のある行動には強く抗議し闘っていく姿勢で臨んでいくことを誓いまして、本日の決意表明とさせていただきます。ともにがんばりましょう。

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