新入社員の皆さんへ

皆さん、入社おめでとうございます。

昨年来の急速な景気の落ち込み、雇用状況悪化の中、厳しい就職活動を勝ち抜き日本IBMグループ会社に入社の皆さん、まずはおめでとうございます。多々ある会社の中から日本IBMグループを選択した動機は皆さん様々と思いますが、夢と希望に胸を膨らませて仕事と余暇を充実させ豊かな社会生活を過ごしていただきたいと思います。そして誰一人として落ちこぼれることなく、一日も早く仕事を通じて社会へ貢献できることを心から祈念しています。

「サブプライム・ローン」「リーマン・ショック」「金融危機」。これらはマスコミを通じ昨秋以降何度となく耳目に触れられたことと思います。「派遣切」が拡がる最中、大企業の「正社員切」もマスコミをにぎわすようになりました。周知のように日本IBM親会社指導のもと、この時点で既に「正社員切」が水面下で一斉に開始していたのです。退職予定候補者となったのは全社員数の約15%、その中には昨年4月の新入社員も含まれていました。社長はじめ取締役執行役員が陣頭指揮をとり部門長には予定数の達成が結果責任になる事を伝達し、人事部門が作成したマニアルに従って1500名規模のリストラが開始されたのです。そして、ついに11月7日には「IBMの本来の企業文化であるハイパフォーマンスカルチャーに合致しない社員を対象にしている」と社長自ら今回のリストラに対する不退転の決意をWEBで表明するにおよんだのです。日本IBMでは社員の入れ替えはルーチン化され約10%の社員が毎年新たな対象者となっています。「内定取消」を免れ今日はめでたく入社された皆さんも一年後には失職の憂き目にあう可能性も十分に考えられるのです。それがIBMの成果主義を基本とした人権無視の人事施策だからです。

IBMは現在GIE(Globally Integrated Enterprise)を展開し、地球規模で「経営資源の選択と集中」を推し進めています。IBMコーポレーションの全社員数は40万人に迫ろうとしていますが社員数は成熟市場の米国、欧州、日本から新興市場の国々へ急速に推移しつつあります。2010年、インドの社員数は10万人に達し、近い将来には米国のそれを逆転することになります。人員削減の方向性は日本IBMも例外ではないと思います。

100年に一度の経済危機といわれています。上述のように我々労働者を取り巻く雇用環境を考慮すると、今こそが労働組合の存在価値、存在意義を発揮する時であり、また真価が問われる時ではないでしょうか。日本IBM労働組合は今年5月で結成50周年を迎えますが、いつも働く者の生活と権利を守るため、労働条件を改善し働きやすい明るい職場をつくるために努力しています。職場には多くの問題が山積しています。「パワーハラスメント」「低評価査定」「降格人事」「サービス残業」「業績改善プログラム」「退職強要」の問題等々・・・。しかし、これらの問題は一人では何も解決しません。職場の仲間と力を合わせて一つ一つ解決していく以外に方法はありません。私たち一人ひとりは弱い人間です。団結・連帯してこそ、大きな力を出すことができます。今、皆さんが組合の存在の重要性をよく理解され、一日も早く組合加入を決意されることを願っています。雇用の流動化が進む中、多くの社員が定年までIBMで働く気概をもって活躍することを期待し今日の入社式をお祝いいたします。

JMIU 日本アイビーエム支部 中央執行委員長 橋本 雄二

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。