2010年度 中央執行委員長 「あいさつ」
中央執行委員長 橋本雄二
読者の皆さん、こんにちは。組合は7月に全国大会を開催し新役員を選出し、2010年度がスタートしました。新役員を代表してIBMを取り巻く状況と新年度の組合方針について簡単に説明させて頂きます。IBMコーポレーションの08年度の業績は昨年秋のリーマン・ショックに端を発した世界的な経済不況にもかかわらずパルミサーノ会長が3Qの決算時に予測したとおりすばらしい結果となりました。
売上高は史上初の1000億ドルの大台を超え5%増の1036億ドル、純利益も18%増の123億ドルに達し、2009年度の業績に対しても強気の発言をしています。これらの成果は多くの労働者の犠牲のうえに成り立っているのではないでしょうか。特に2006年から展開してきているGIEは成熟市場から成長市場へのリソースの移動をもたらしていまます。今後の成長が見込めない市場と判断された我々日本IBMの労働者に対し会社は昨年、大規模かつ苛烈な「リソース・アクション・プログラム」、いわゆる「退職強要」を上意下達のもと組織ぐるみで実施し、組合の推定では約1500名もの仲間がやむなくIBMを去っていきました。またこの退職強要によって精神的ショックをうけその後遺症により未だ出勤できない社員も少なからずいます。組合は会社が行ったこのような人格否定、暴力行為、誹謗中傷などの人権侵害をともなう退職強要の差し止めと損害賠償を求め、5月29日に東京地裁に提訴しました。裁判に踏み切った主な理由は、原告の権利保全はもちろんですが、IBMの退職強要の実態を世間に広く知らしめ人権侵害を二度と繰り返させないこと、行き過ぎた成果主義をはじめとする人事施策を改めてもらうことを目的としています。また、この裁判は労働者の権利である雇用と生活をまもる闘いと位置づけ、誰でもが安心して働ける職場を取り戻すこと、そして全国の労働者に勇気をあたえることを目的としています。
一方、みなさんの我慢の限界をこえているのが「ゼロ昇給」ではないでしょうか。組合の提出した「09年春闘賃上げ要求」に対し会社は前代未聞の「全員昇給ゼロ」の回答をしてきました。組合は今年5月で結成50周年を迎えましたが、厳しい経営状況のなかでも毎年有額回答を守り続けてきました。パルミサーノ会長は2008年度決算報告の中で半数の社員に対し昇給を実施すると発表しましたが日本IBM社員には「全員ゼロ昇給」、これには到底納得できません。
06年から始まった一部社員への「ゼロ昇給」は今後さらに悪化することが想定されます。株主優先・利益重視の施策、利益確保のための「人員削減」、「ゼロ昇給」は今後、毎年のように繰り返され「ゼロ昇給」だけでなくバンド8以上の社員では既に実施されている「降給・減給」がバンド7以下の社員に適用されることが予想されます。賞与についても同様です。PBC評価による格差拡大は留まるところをしりません。夏季賞与では手取りが少なく「住宅ローン」が支払うことができない社員もあらわれています。まさに成果主義が闊歩し将来設計もままならない状況です。
このような状況の中で組合は7月19日に第56回全国大会を開催し2010年度の方針を次のように決定しました。
・一つ目はやはり成果主義とのたたかいです。今春闘で会社はよく言えば格差のない昇給を実施してきました。これを機会に現行の昇給制度、給与調整制度の転換をはかり職務給ではなく生活給をベースとした誰でもが納得できるガラス張りの賃金制度の確立を会社に要求していきます。
・二つ目は健康で明るく働ける職場を作ることです。来年4月1日には「労働基準法」が改正されます。会社も「労働基準法改正」を見据え「ワーク・ライフ・バランス」の見直しを発表してきましたがILOが提唱している人間らしい労働「DECENT WORK」に少しでも近づくように会社と交渉していきます
・三つ目は労働者の権利である生活と雇用を守るたたかいです。昨年秋に実施された退職強要に対し、「NO」をつきつけた多くの労働者が組合加入をはたしました。経営悪化に伴い、「業績改善プログラム」「パワーハラスメント」による降格人事や退職強要はあとをたちません。人間の尊厳を損なうこのような制度は即撤廃させまっとうな仕事を確保させていきます。
今後、会社はあらゆる方法で新たなボトム10、15のロー・パフォマーを強制的に作り出し昨年宣言した「普通解雇」を使い会社から追い出すことが予想されます。「利益が上昇すればばリストラのおかげ、利益が下降すればリストラが足りない」とまるで呪文のように繰り返し発言する経営者の頭の中を人間重視の施策に変えさせていきます。
7月になってようやく会社は「2Hの変革に向けて」の方針を発表してきました。その中で「お客様中心、パートナー中心の新体制の見直し、クラウド・コンプーティング・ビジネスヘの体制強化」が主な内容ですが、このような施策の裏には必ずと言っていいほど「コスト削減、人員削減、配置転換等」がともなうものです。既にある部門では「長期有給休職制度」がスターとしています。ちょっとした職場の変化も見逃ささず適宜に対応していくことが肝要ではないでしょうか。変化に気がついたら早めに組合にご連絡願います。
私たちは少数組合ではありますが、健康で明るい職場そしてなによりリストラのない職場を目指し頑張っていきますので今後とも多くの方々のご支援よろしくお願いいたします。
以上
2010年度 中央執行委員抱負
7月の全国大会で2010年度の中央執行委員を決定しました。 女性二人も加わり、前年以上に会社と闘う顔ぶれとなっています。私たちは、真摯に組合と話し合いを行わない会社に対し、今後、第三者機関への訴えを強く推し進め、社会的包囲網を作っていきます。
【橋本中央執行委員長】(幕張事業所)
*中央執行委員長あいさつをお読みください。
【渡辺書記長】(箱崎事業所)
利益至上主義から従業員をもっと大事にする会社にするために、少しでも貢献できればと思っています。
【古土副委員長】(豊洲事業所)
現在、憲法がないがしろにされ、あらゆる面で働くものの権利が侵害されています。この権利を守るよう尽力します。
【大岡副委員長】 (大和事業所)
会社は、株主・社会・社員にバランスのとれた施策が必要です。行き過ぎた株主重視、究極の成果主義から生まれるのは労働者の権利の剥奪です。みなさん騙されてはいけません。
【石原書記次長】(箱崎事業所)
会社はますます「コスト削減」を徹底しようとしていますが、「経営理念や戦略より、コスト削減が優先する経営は、長い目で見ると大いに問題」です。会社の中にある声を外に伝え、社内だけでなく社外からの支援も得ながら、会社が正しい方向に進むために少しでも力になりたいと思います。
そのためには組合員でない皆さんのご意見も重要です。組合ウェブサイトから率直なご意見をたくさんお寄せください。組合を一方的に侮辱したり誹謗中傷したりするものでない限り、ツーウェイ・コミュニケーションを励行いたします。
【金子中央執行委員】(日立GST)
2003年会社分割によって、IBMを離れ6年が経過した今、外から見たIBMは、崇高な7つの理念の中ので一番重要視していた『個人の尊重』をはき捨てた行動が新聞、テレビなどで報道されるたびに、愕然としています。このままでは自由闊達で、ものが言えるIBMが滅びてしまいます。 私たちJMIU組合は雇用を守り、労働条件向上のために奮闘しています。会社の理不尽な「退職強要・人権侵害」を止めさせるため、今こそ、多くの人が組合に加入し、共に闘うことを呼びかけます。
【杉野中央執行委員】(箱崎事業所)
昇給の永久凍結、そして昇進と昇給の切り離しは、特に20~30歳代の人への影響が大きく、将来の人生設計ができない状況です。皆さん、一緒に闘いましょう。
【古川中央執行委員】(京都事業所)
今こそ労働組合が必要とされています。組合活動を通じて雇用不安や偏った格差のない誰もが安心して働ける職場/社会を子供達に引継げる様、闘います。
【吉田中央執行委員】 (大阪信濃橋事業所)
IBMに働く労働者は自分ひとりではありません。また、IBMには少数ではありますが、資本家と対峙する労働組合があります。ひとりで悩まず身の回りの方に相談してください。勿論、組合にも相談してください。新卒者の70%しか就職できない現状があります。病弱な家族、まだ小さな家族を守るためにも、早計な判断はくだされないようにしてください。伴にいい職場にしていきましょう。
【山本中央執行委員】 (箱崎事業所)
政治も変わろうとしており、大きな地殻変動を感じます。
ここ数年、ずっと踏みつけられ続けた労働者の立場を逆転させたい。
【田中中央執行委員】 (豊洲事業所)
過重労働、賃金不払い残業(サービス残業)問題について、たたかってきました。今後も、全社で展開されている裁量労働制に反対するとともに、労働時間の適切な管理を会社に求めます。また、降格を目的とした「改善目標管理フォーム」による、指導という名の嫌がらせに反対します。心身ともに健康に働くことのできる職場を目指し、みなさんとともに尽力していきたいと考えます。
【兼松中央執行委員】 (豊洲事業所)
昨年来の会社の社員に対するリストラ等は、本当にひどいと思います。私も微力ながら、良い会社にするよう頑張っていきたいと思います。皆さん、よろしくお願いします。
【榊原中央執行委員】 (豊洲事業所)
会社の卑劣なリストラを跳ね返すよう最大限の努力を行ないます。
また、地道に中央執行委員を努めさせていただきます。
【丹羽中央執行委員】(大和事業所)
私はIBMという会社はとてもいい会社だと思って誇りを持って働いていたのに、組合に入ってみたら、アメリカ人のいいなりになって日本の法律を無視した非人道的な事を指示する経営者達、法律知識のないままに指示に従うライン達の実態をあらゆる部門の方々から聞いて情けなくなりました。労働者は団結しなければならないこと、基本的にわかっていなければならない労働法を「かいな」をつうじて皆さんにお知らせするべく、中央執行委員として頑張りたいと思います。
【西野中央執行委員】(日立GST)
IBMという会社は法に抵触するような手法で次から次へとリストラを平気で行い、そこで働く社員は、いつ自分がリストラにあうかもしれないと戦々恐々としながら働いている。このような環境で本当によい仕事ができるとは、到底思えない。皆さんが少しでも安心して仕事が進められるよう、微力ながら頑張ります。