各事業所で「就業規則の一部改訂等に伴う従業員代表選挙」の告示がされています。昨年10月にキャッシュバランス型確定給付年金から確定拠出年金へさらに移行する「退職金制度改訂に伴う従業員代表選挙」が実施されたのは記憶に新しいところですが、今回の就業規則の改訂は、「役員を除く全社員に対する」一方的な労働条件の不利益変更も含まれています。人事施策をいっそう「会社のやりたい放題」にし、社員の生活保証を拒否する会社の態度は、到底許せるものではありません。次節以降にて詳しい内容の説明を行いますが、一方的な労働条件の不利益変更をやめさせるためには、より多くの組合推薦候補が当選し、就業規則改訂案の作り直しを要求していく必要があります。組合はひとりでも多くの社員の皆さんが組合推薦候補に投票されるよう訴えます。
本給・賞与減額阻止へ
会社は多くの社員が年末休みにはいっている昨年12月29日、突然「公平な処遇のより一層の推進について」というレターをw3にて公開し、「Band7以下の年俸制非適用社員でも「本給および賞与基準額の減額を可能とする仕組みに変更」する、と一方的に通告してきました。条件は「前年度評価4または2年以上連続評価3の社員で改善の見込みが乏しく、減給が必要であるとライン専門職が判断した」場合と、懲戒処分があった場合です。そのほかに、降格した場合、別途賞与基準額を「直前の昇格時の本給年額昇給額相当分と賞与基準額昇給額相当分」の範囲で減額することがある、としています。
これらの変更は一方的な労働契約内容の不利益変更であり、組合は断固として反対していきます。
また、会社は組合が要求している役員報酬の公開についても拒否してきています。「Pay for Job, Pay for Performamce」を推進するのであれば、会社は役員の報酬がその働きに見合ったものかどうか社員がチェックできるよう、各役員の報酬を公開すべきですし、また必要以上の役員数や理事数の減員も行うべきです。
「年休の時間単位取得」拒否
また同日、会社は2010年4月の労働基準法改正に際し、所定労働時間外勤務手当の改訂をw3にて発表しています。しかし、2010年4月の労働基準法改正においては、もうひとつ「年次有給休暇のうち5日間を限度として『時間単位での取得』ができる」ことになっています。これに関する労働協約を結ばず、年次有給休暇は引き続き半日単位での付与に限ることは、IBMが人事厚生施策において他社に劣る時代の幕開けであり、ベターどころかイコールも放棄した、社員を大切に扱うところから遠く離れた会社になっていることを表明しているものです。
PLM売却でまたも会社分割法制を悪用
このほかにも「プロダクト・ライフサイクル・マネジメント事業」をダッソー・システムズ社に売却するにあたり、現在日立製作所へのHDD事業の「売却」にあたり適用したことで最高裁判所にて係争中の「会社分割法制」「労働契約承継法」悪用をふたたび実行しようとしています。民法第六二五条では「労働者の承諾なくその権利を第三者に譲渡できない」となっており、事業売却においては売却先事業に従事している労働者全員の個別承認を得るべきです。
公正な代表選挙実現を
さらに、これからのの従業員代表選挙のあり方についても、会社が一方的に改訂することがないようにするための歯止めが必要になっています。少なくとも会社の人事部門が介入することのない、また部門が投票内容のチェックを行うことを可能とする郵便投票の方法を改め、公正な選挙制度にしていく必要があります。