IBMは現地時間の4月19日、2011年第1四半期の決算発表を行い、増収増益と大幅な一株当たりの利益の増加を達成したことを明らかにしました。
総収益は8%(為替の影響を除くと5%)、純利益は10%(営業ベースでは13%)、一株当たり利益は17%(営業ベースでは21%)の増加となり、順調な業績拡大を図っていることがわかります。その上で、通期の一株当たり利益の予想も上方修正しています。
このような好業績のもとで、社内的には特別なストックオプションの付与を行うプログラムも発表されていますが、過去3年間のPBC評価に関する限定条件をつけるなど、相対評価でありラインによって意図的に決められ、人事は追認するだけで責任を持たない評価によって制限を加えることは、すべての従業員がこの好業績を支えた、という会社として本来あるべき考え方を逸脱しており、組合としては到底受け入れられるものではありません。さらにオプションの行使も一定期間が経過してからになるとされており、好業績を支えた従業員に報い、生活レベルを向上させ、そのモチベーションを高める、という「昇給」の大きな目的からすると、到底それを達成できる内容とは言いがたいことは明白です。
しかもこの特別プログラム実施のためか、一時金の内のGDP部分についても低額回答が相次いでおり、会社は従業員への配分をさらに歪んだものにする「労働者攻撃」を行っていると言わざるを得ません。
5年間昇給していない社員多数は問題
その一方で、会社は手持現金132億ドル、フリーキャッシュフロー8億ドルを手にし、8億ドルの配当と40億ドルの株式買い戻しにより、計48億ドルを株主に還元した、と発表しています。この48億ドルのごく一部でも給与原資に回せば、全従業員への大幅な昇給を行い、従業員の生活レベルの向上とモチベーションの向上を図ることが可能です。特にこの5年「給与調整」のためまったく昇給されていない、あるいは昇給額がきわめて少ない従業員が多いことは大きな問題です。
特に年収がきわめて低い状態に据え置かれている30歳前後のBAND6従業員や、子育て負担の大きい三十代後半から五十代にかけての従業員を中心に、好業績にしっかり報いるだけの昇給を会社は行うべきです。