不可解な2011年度決算 特別損失460億円でGDP操作?

日本アイ・ビー・エムの2011年度の決算が社外向けWebにて発表されています。今回の決算で際立っているのは、利益の大幅な減少です。売上高は前年度比で7.5%程度の減にとどまっていますが、経常利益は約25%、税引前利益や当期純利益は60%を超える減少となっており、会社業績達成度「40」の根拠として一見説得力があるかのように見えます。
 しかしながら、これには「罠」があります。過去の業績の推移を見ると、2008年度から2010年度までは、税引前利益の額が経常利益の額よりも多いのに対して、2011年度だけは税引前利益の額が経常利益のおよそ半分にまで落ち込んでいます。
 損益計算書にこの原因を求めてみると、「特別損益」の部においておよそ460億円もの損失が出ていることになっています。この件につき、組合は会社に対して質問状を出して回答を求めましたが「回答内容はあくまでも団体交渉の場で討議するためのものであり、団体交渉以外の場に開示するな」という条件をつけてきました。
 不本意ながらこのような事情により「特別損失」の理由回答内容の発表は差し控えますが、少なくとも組合として納得できる回答ではなかったため、団体交渉の場でさらに厳しく追及しましたが、満足のいく回答は得られませんでした。
 会社は先ごろ社内向けWebにおいて、2012年度(2013年支給分)のGDPプログラムについて発表しました。その内容は「今年度から、税引前利益が前年度を下回ったIMT/GMT所属者に対しては、GDPは支給しない」という一方的な改悪宣言でした。例えばこの制度が2011年度(2012年支給分)から施行されていたとしたら、2011年度決算では2010年度の税引き前利益を下回っていますので、Japan IOT(IMT)の所属者全員のGDPが前年度のPBC評価にかかわらずゼロになる、ということになります。
 しかも「経常利益」ならまだしも、あくまでも《特別な理由で計上される》「特別損益」を含んだ「税引前利益」は、社員の努力だけが反映されるものではなく、会社の言う「経営上の高度な判断」により、容易に操作可能なものです。
 組合として、会社側の一方的な判断でGDPを「召し上げ」にできるこのような施策による一方的な不利益変更を、到底許すことはできません。今後も引き続き、GDP分を全額支給せよ、との組合提案を突きつけ、追求していきます。

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