解雇は「容易に」出来ない
会社は人員削減のためのリストラ攻勢を強めています。退職勧奨・強要を繰返し、それを拒絶すると「自己都合退職に応じなければ、解雇もありえる」と脅迫してくる例が増えています。しかし会社は社員を「容易に」解雇することは出来ません。
辞める人のほとんどは、退職勧奨・強要を受け、嫌気がさしたり、会社への絶望による「自己都合退職」です。所属長が「解雇もありえる」と言う場合は、相当悪質で退職強要となり違法です。
法律・判例に見る解雇制限
以前より会社が行っているリストラは、自己都合退職の形式をとっていますが、実態は、間違いなく会社事情で行う整理解雇です。会社が整理解雇を行う場合は、「整理解雇の4要件」を満たすことが判例上、求められます。4要件とは①人員整理の必要性②解雇回避努力義務の履行③被解雇者選定の合理性④手続きの妥当性の4つです。
日本IBMの場合、①②が全く当てはまりません。①の「人員整理の必要性」では「整理解雇を行わないと、経営を維持できない」程度の必要性が求められます。2011年に1000億円近い経常利益を上げている日本IBMは完全に対象外です。②の「解雇回避努力義務の履行」は「希望退職募集」「役員報酬削減」「新規採用抑制」などを行い、整理解雇を回避する努力を行わなければならないということです。しかし日本IBMは過去20年近く「希望退職募集」を行っていません。したがって日本IBMでは「整理解雇」などを行うことは出来きず、社員を「自己都合退職」に追い込む姑息な方法で脱法的リストラを行っています。
また平成20年3月1日施行の労働契約法16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と明確に定められています。
会社の無法な脅迫に屈することなく、後悔しないためにも退職勧奨・強要を受けた場合は「辞めません」とはっきり答え、組合に相談して自分の雇用を守ることを考えてください。