~「解雇自由化」を狙い成果主義を悪用した不当解雇は即時撤回せよ~
(1)日本IBMは鈴木裕治さんを「業績が低い」という理由で、就業規則上の解雇事由に該当するとして2012年7月26日付で解雇した。JMIUは、この不当な解雇攻撃に断固抗議し即時撤回を求めるものである。
(2)会社が本人に通告したのは解雇日のわずか1週間前で、労働組合が抗議しなければ組合への通告や団体交渉すら行おうとせず、その団体交渉もわずか1回で解雇を強行した。団体交渉の席上でも、会社は「総合的に勘案した結果」だと述べるだけで、解雇の理由である「業績悪化」の具体的な説明はまったくなかった。
(3)日本IBMでは、10年以上前から成果主義が導入されており、とりわけ、2008年頃から成果主義にもとづく業績評価で「成績が低い」とみなした社員を対象に、日常的な退職強要を繰り返し、「ボトム10」と呼ばれてきた(成績が下位の社員10%は退職させること)。JMIU日本IBM支部はこうした不当な退職強要はいずれ「解雇」攻撃へとエスカレートするとして、東京地裁に提訴してたたかってきた。今回の解雇は、わたしたちの危惧がまさに的中したことを示している。もし、今回の解雇を容認するならば、日本IBMは「業績悪化」を口実に従業員を自由気ままに解雇する無法地帯と化すだろう。
(4)日本の裁判例では、「普通解雇」について、合理的な理由や社会的な相当性がなければならないとして制限してきた。今回の解雇は、こうした裁判例に照らして正当な理由はまったくない。そればかりか、鈴木さんは、2年前の賃金減額をめぐって現在、労使交渉中であり、また、過去の不払い残業代を求めて東京地裁に提訴したばかりだった。今回の解雇は、鈴木さんの行動への報復を企む不法行為である。
(5)昨今、成果主義を口実にした普通解雇の攻撃がひろがりつつある。また、財界・大企業や政府は、「解雇の自由化」「解雇規制の緩和」「解雇の金銭解決」を主張しており労働者の雇用と権利が脅かされている。かつて日本IBMの社長が「リストラの毒味役」と豪語したように、同社のリストラ攻撃はその後全国にひろがる。そういう意味からも今回の解雇攻撃を絶対に阻止しなければならない。
(6)JMIU日本アイビーエム支部は鈴木さんの解雇を撤回させるまで闘う決意をここに表明し、全国の労働者・労働組合、国民のみなさんのご支援を心から訴えるものである。
2012年7月29日
全日本金属情報機器労働組合
同 東京地方本部
同 日本アイビーエム支部