TD&D部門の解散に伴い、会社は所属社員を整理解雇しようとしています。これを阻止すべく、組合は団体交渉(以降「団交」と記載)を積み重ねてきました。
そもそも、日本IBMは毎年数百億円以上の経常利益を上げています。このような黒字の会社に、整理解雇ということはありえません。
解雇ではなく、会社の誠意ある対応で配置転換すべきです。
◆配転に努力しない会社◆
会社が部門解散を決めたなら、次に行うべきことは所属社員の社内での配転先を決めることでしょう。
毎年数百億円以上の経常利益を上げている会社が、なぜ80人程度の社員の配置転換ができないのでしょうか?
会社は対象者の配置転換に対して、各自自身で社内公募に応募するという方法しか提示していません。
対象者に対してDBを提供したと言っていますが、それは今回の対象者を考慮したものではなく、常時全世界のIBMに解放されている社内公募でしかありません。そのため、今まで半導体の設計を行ってきた社員に対して、募集は営業職で今までの営業経験年数を条件とするなどの不一致が生じています。
組合は団交で、会社に対して対象者の異動希望先を提示して回答を求めました。しかしながらそれに対する会社側回答は、社内公募DB上条件が一致する人に対しては「合致する社内募集案件は存在することを確認しました。ぜひ、積極的にご応募いただくようお願いします」と回答しています。なんと条件が一致する案件が無い人に対しては「残念ながら、現時点において、社内募集案件が存在しないことを確認しました」と回答するだけで、配転先を探す努力は全く行っていません。、
また、例え一致する案件があったとしても、それは異動できることを意味していません。通常の社内公募と同様に採用側の部門が採用するかどうか判定するかだからです。
会社側は、社内で異動先が決まった人が18人いると回答しています。組合で調査したところ、そのうち17人はコネで異動先を確保しており、社内公募を通して決まった人は一人しかいません。コネでの異動先の確保に会社は、「個人チャネルがあれば(それを利用しての異動を)否定しない」と回答しています。
会社はどの部門も業績が厳しいと回答し、「どこかの部門が特に好調ということならばそれを調査します。また、社員であれば、部門業績についてはイントラネットで調べられるでしょう」といい放ちました。
◆斡旋会社も再就職させられない◆
残念ながら社内での配転先が見つからず退職の道を選んだ社員に対して、きちんと就職できる転職先を会社は見つけてくるべきです。
しかしながら実態は、社内公募で異動先が決まらない人に対して、会社が示している進路は退職だけです。退職に当たり、会社は再就職斡旋会社に登録することを勧めています。では登録すれば再就職ができるかというと、団交の席上まだ再就職の実績は0人だとの回答でした。
◆突然あなたの部門にも◆
部門解散、所属社員の解雇という手法は、今回だけの特別な出来事ではありません。この会社の横暴を許せば、今後、様々な部門で採用されるでしょう。
今回の部門解散理由について会社は、「半導体部門については、新興国の方が、人件費が安い。物価水準とか、示せばいいのですか?」というふざけた回答をしています。
整理解雇に対して、会社は、退職者にはプレミアムを付けている、新規採用の抑制、昇給の停止など、解雇回避努力をしていると言っていますが、整理解雇自体が成り立たないというところから、見直しをしなければなりません。
◆PBC『1』でも◆
また、退職対象者には、PBCの成績は関係ありません。現に、今回の対象者にも、PBCが1の社員も含まれています。昨年の評価がよかったから、自分には関係の無いことと高をくくらず、注意深く自分の置かれている状況を把握することが大切です。