勝訴で退職強要ストップを!
 退職強要・人権侵害裁判控訴審結審

 IBM退職強要・人権侵害裁判の控訴審が8月22日に結審し、10月31日に判決が言い渡されることになりました。一審に続きこの控訴審でも不当判決となれば、会社はこれまで以上に退職強要を堂々と行うようになってしまいます。みなさんのご支援をよろしくお願いします。

▼RAプログラムから▼

 ことの発端は2008年4Qに行われたリソースアクション(RA)プログラムでした。会社は1993年から継続的にRAプログラムを行ってきましたが2008年のものは熾烈を極めました。
 弁護士資格を持つ法務担当取締執行役員が「48時間以内に退職届を出さないと、普通解雇する」というメールを送りつけたり、所属長が自宅に電話して奥さんに「ご主人に会社を辞めるよう説得してください」と言ったり、ありとあらゆる方法で社員を追い詰めていきました。
 そのため12月8日に目標数を達成し終了宣言が出されるまでに、1500人もの社員が「自己都合退職」に同意させられ会社を去っていきました。

▼雇用の防波堤へ提訴▼

 これに対して「これ以上の退職強要を防ぎ雇用の防波堤になる」ため組合は裁判を決意しました。2009年5月に「退職強要の差止めと損害賠償請求」を求めて3名の組合員が東京地裁に提訴し、10月にもう1名の組合員が追加提訴して4名の原告で一審が始まりました。
 第1ラウンドは訴状や準備書面による文書のやり取りです。原告は、自分に対して行われた退職強要の内容を訴えました。それに対して会社は「そのような事実はなかった」と虚偽の証言を繰返し、原告4人がいかに無能であるかを主張してきました。原告は反論しようとしましたが、渡邉和義裁判官は「どのような(退職強要)行為が行われたかが問題であって、原告の評価は関係ない」との見解を示しました。

▼和解協議不調▼

 双方の主張が出揃ったところで、裁判所は和解を勧めてきました。
 ところが第2ラウンドの和解協議の初回において、裁判官からは「この裁判の争点がわからない。原告さんは『退職強要を止めろ』と言い、被告さんは『退職強要なんかやっていないし、これからもやらない』と言っている。それでいいじゃあないですか」というとんでもない発言が飛び出しました。
 原告は弁護士と協力して、会社がこれまでも退職強要を繰返してきたこと、この裁判が今後の退職強要を防止しIBM社員の雇用を守るための裁判であることを訴え、裁判官も一応の理解を示しました。
 しかし裁判所の作成した和解案は会社の主張そのものであり、退職強要を認めないなど到底原告が納得できるものではなく、和解は不調に終わりました。

▼再び証人尋問▼

 そして第3ラウンドの証人尋問が始まりました。原告は証人として、4人の原告に直接退職強要を行った上司をそれぞれ1人~3人を申請しました。同時にRAプログラムの張本人として、当時の人事担当取締役執行役員の坪田國矢氏も証人として申請しました。会社は反対しましたが、結局坪田氏の証人尋問が認められ原告側弁護士は坪田氏を鋭く追及しました。
 また原告の本人尋問において、原告は自分に対して行われた数々の退職強要を真摯に正直に証言しました。それに対して会社は第1ラウンドと同様に「そのような事実はなかった」と虚偽の証言を繰返し、また原告4人がいかに無能であるかを主張しました。
 裁判官は再び「原告の評価は関係ない」という見解をしめして第一審は結審しました。そして2011年12月28日に「原告の請求を棄却する」という不当判決が言い渡されました。組合はこのような不当判決に屈することは出来ず、2012年1月に東京高裁に控訴しました。

▼退職強要やめさせよう▼

 控訴審において、原告は一審判決の認定の誤りを指摘しました。同時に原告の勤務成績評価の不当性も訴えました。会社は「一審での主張の繰り返しである。」と反論して、結審を迎えました。
 昨年末の不当判決を受け、会社のリストラ攻勢はますます強まっています。退職強要は後を絶たちません。成績不良を口実にした普通解雇のみならず、部門解散を口実にした整理解雇も行われようとしています。
 控訴審で不当判決が出れば、会社はますます社員への退職強要を強めてくることでしょう。
 この退職強要人権侵害裁判は、現在の退職強要をやめさせ、将来においても退職強要をさせないための、私たちの今後の雇用を守るための裁判です。組合ではこの裁判を「退職強要防止裁判」と位置付けています。

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