組合は9月19日会社に対し2012年秋闘・年末一時金要求を提出し10月3日回答と11月9日の団体交渉での二次回答を得ました。要求は、一時金に関する要求、人事施策に関する要求、リストラ人減らしに関する要求など、17項目155件に及びますが、会社回答は形式的回答に終始し、組合の要求にこたえるものではありませんでした。
■生活安定の一時金を■
一時金に関しては、一時金は、生活の糧とする賃金支払の一部であり、生計を維持するために必要なものです。労働者の安定した生活設計を保証するため、組合は、会社業績・PBC評価を適用せず、一時金は、本給および本俸月額の一律4ヶ月分を支給すること及び格差を拡大し業績によって変動するGDPの導入は、撤回もしくはPBC評価によらず一律6%を支給することを求めてきましたが、会社は決定してきたことを組合に伝えることに終始し、労使対等の原則を踏みにじりました。
バンド7以下(対象7400人)の12月期賞与は、平均973,200円と回答をしましたが、50歳代で15万円の社員がでるなど看過できない金額になっているため、安定した生活ができるように追及しています。
■人事施策を正せ■
会社が2005年10月3日「人事制度の改革」発表以来、徹底した成果主義のもと、ゼロ昇給の恒常化、年齢別保障給の廃止、減給などにより異常な格差拡大が進んでいます。その上で低評価をつけ、リソースアクションプログラムの実施、またそれを拒否した者に対し異常な低評価の実施と年収の大幅な切り下げを行い、次は自分か、と多くの社員を不安に陥れてきました。ごく一部の社員は異常なほど優遇され、大多数の社員が冷遇されることにより社員間の格差はますます拡大し、チームワークを阻害し、モチベーションを低下させる原因となっています。
コーポレートが掲げる目標「2015年度に一株利益20ドル」達成のためアメリカへの送金を最優先する姿勢は、日本において社会的責任を果たす姿勢がまったく見られず、「社会とともに」を標榜しているはずの会社にあるまじき態度である、と言わざるを得ないため会社の姿勢を正すよう追及しています。
■リストラやめよ■
会社は、利益増大のために継続的に徹底した人員削減を進めるという極めて異常な経営姿勢をとっていることで職場は殺伐とし、メンタル疾患患者を大量に発生させ、その人たちを退職に追い込むという人道的問題が続出しており、さらには退職に応じない者を解雇するという暴挙に出ています。これらの人権侵害を直ちに止め、社会的責任を果たせる企業になることを要求しています。
2015ロードマップを受けた、日本IBMの人員削減計画、部門売却計画、社員の有期雇用化等の計画について明らかにするようにという組合要求に、会社は、そのような計画は現時点において存在しません、ビジネスの戦略の一環として、適時適切に、各種施策を検討し実施する考えに変わりありません、とうそぶきました。
この会社回答は、3月7日の春闘夏季一時金の時と同じですが、その後5月にテクノロジー開発部門の解散を発表し、8月3日に整理解雇が発表されました。単なるビジネス戦略の一環で整理解雇することは許されません。
恫喝、高圧的発言などによって労働者に対して退職強要を行なうことを直ちにやめ、退職を拒否した労働者に対してその後の退職勧奨は一切行わないようにとの要求に、会社は、退職強要は一切行っていないが、社員に対し将来に渡って多様なキャリア選択の機会を提供することは重要であり、この方針を変更する考えはないと繰返しました。
社員に対し、多様なキャリア選択の機会を提供するとは何か、これが継続されることで退職勧奨から退職強要につながるものです。