2012年11月28日、日本航空(JAL)の短期契約客室乗務員(Aさん)の雇止め裁判の控訴審判決が言い渡され、地裁判決同様、当時の上司の退職勧奨が違法と認定されました。
一方、違法性が認められなかったIBM退職強要裁判は控訴審判決を不服とし、最高裁に上告し、その違法性の判断を最高裁の判断に委ねます。IBMでの退職強要への正しい判断が期待されます。
◆必要のない人員削減◆
このJALの雇止め裁判は、マスコミで大きく話題になっている146名の正社員の整理解雇裁判とは別の裁判です。しかし問題の根源は同じで、経営再建を迫られたJALが再建努力をアピールするために必要のない人員削減を強行し、正社員は整理解雇、短期契約社員(1年契約)は雇止めにしたというものです。
◆地裁で退職強要認定◆
Aさんは雇止め通知を受ける前にも、上司から執拗に退職を強要されていました。そこで地位確認(職場復帰)と退職強要による精神的苦痛に対する慰謝料請求を求めて,東京地裁に提訴しました。
そして2011年10月31日に判決が言い渡されました。判決そのものは「Aさんの職場復帰を認めない」という不当なものでした。
しかし退職勧奨については違法性を認めました。Aさんの上司が繰返し「いつまでしがみつくつもりなのか」「辞めていただくのが筋」「懲戒免職の方がいいのか」と、Aさんに執拗に自己都合退職を促していた点について「社会通念上認められる範囲を越えた違法な退職勧奨」と違法性を認定しました。
またJALの使用者責任も認め、Aさんの上司とJALに対して慰謝料の支払いを命じました。
◆控訴審でも違法認定◆
そのため原告・被告の双方が控訴しました。東京高裁での控訴審判決も、「Aさんの職場復帰を認めない」という不当なものでしたが、退職勧奨については再び、違法性を認めました。 地裁判決に続き、当時の上司の退職勧奨が違法と認定され、JALと上司に慰謝料20万円ずつ(合計40万円)の支払いが命じられました。
◆IBM退職強要裁判判決の異様さ◆
一方、IBM退職強要裁判の控訴審判決は、会社の不当性を認めながら、「金銭賠償による慰謝を必要とする程度の精神的苦痛を与えているとは認めることはできない」として、慰謝料の請求を認めませんでした。
しかしIBMの退職強要の方がJALよりも熾烈を極めていたことは言うまでもありません。
「所属長の退職強要を拒絶すると、上長からサードラインまで出てきて、複数人から退職を強要される」「最後は弁護士資格を持った法務担当取締役執行役員が登場し、『48時間以内に辞表を出さないと普通解雇する』と脅迫される」などの行為が「会社ぐるみ」で行われました。
◆最高裁へ上告◆
このようにIBM退職強要裁判の判決は他の退職強要裁判と比べても、会社側に偏った不当なものでした。この不当な判決を覆すべく、組合と原告4名は2012年11月13日に最高裁に上告しました。会社の退職強要・解雇攻撃を跳ね返すためにも、IBM退職強要裁判へのご支援をよろしくお願いします。