第2回ロックアウト裁判 原告側の意見陳述

相対評価、解雇理由にならない

 2月18日午前10時より、東京地裁第103号法廷にて、ロックアウト裁判の第二回口頭弁論が開かれました。
 今回は、原告側の意見陳述をおこないましたので、代理人の意見陳述書を紹介します。
 なお、次回口頭弁論は4月15日(月)10時30分からで、場所は今回と同様、東京地裁103号法廷です。 IBMにおけるロックアウト型解雇の全容に迫りたいと思います。
 大法廷の傍聴席を満席にして、この裁判が世間から注目されていることをアピールしていきたいと思いますので、ご支援よろしくお願いいたします。

平成24年(ワ)第29095号 地位確認等請求事件
原告  鈴木裕治 外2名
被告  日本アイ・ビー・エム㈱
意 見 陳 述 書
東京地方裁判所 民事第36部 合議A係 御中
2013年2月18日
原告ら訴訟代理人 弁護士 今泉義竜
1 求釈明に対する被告の不誠実な対応
 原告らは、前回法廷で、組合員に対する大量解雇予告が労働組合に対する不当労働行為の可能性があるとして、非組合員に対して行った解雇予告の実数を明らかにするよう被告に求めた。
 しかし、被告は解雇予告した非組合員の実数を明らかにすることを拒んだ。
 解雇予告した人数という客観的事実について明らかにすることになんら不都合はないはずである。被告の対応は真実の究明を徒に遅らせようとするものと言わざるを得ない。本件解雇の正当性を判断する上で、被告で行われている能力不足解雇の全体像は必ず明らかにされなければならない。
 次回、解雇理由に対する反論とともに、改めて、具体的に求釈明を行う予定である。
2 相対評価の低さは解雇理由にならない
 解雇理由の主張・立証責任は被告にある。しかし、これまでの被告主張の内容は抽象的で具体性に乏しく、解雇理由を裏付けるものとして提出された証拠もPBC評価とPIP結果のみである。
 そもそもPBC評価それ自体被告の恣意的な主観的評価に過ぎず、それをもって解雇を正当化する根拠とはなり得ない。
 百歩譲ってPBC評価を一つの指標とするとしても、被告も認めるとおりPBCは相対評価に過ぎず、PBC3、4が付けられる労働者は最大15%必ず発生する。
 相対評価である以上、必然的に下位評価の労働者が発生することは避けられらない。だからこそ、低評価であること自体をもって解雇の合理性・相当性が認められることはないというのがこれまでの確立した裁判例である。
 なお、被告は2008年に成績下位15%を対象とした大規模退職勧奨・退職強要を行い、全従業員1万4000人のうち1300人、約10%もの労働者を退職に追い込んだ。本件解雇は、それに引き続くものとしてなされたものである。
3 解雇規制への挑戦
 被告がやろうとしていることは、会社が低評価を付けた者について自由に解雇できるという前例を作ることである。
 この流れは、被告日本IBMだけで起きていることではない。低評価後のPIP、そして追い出し解雇という同様のやり口がされた通信社ブルームバーグの事件は、昨年10月に御庁にて解雇無効の判断がされ、高裁でも会社の追加立証を許さず即日結審となったところである。
 アメリカ系企業を中心とした正規労働者の解雇規制への挑戦に対し、日本の労働法制に基づいて毅然とした対応をとることが裁判所に求められている。
以 上
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