都労委証人尋問 団交拒否に理由なし


 4月30日都庁34階にて、組合員への解雇通知に関する会社の団体交渉拒否事件に対する東京都労働委員会の尋問が行われ、会社側の主張が無意味であることが露呈しました。組合側証人はJMIU日本IBM支部の大岡義久委員長、会社側証人は当時団体交渉の責任者であった人事の坂上正樹氏です。

▲目的は組合潰し▲

 大岡委員長は、昨年9月21日の団体交渉にて、解雇通知された組合員について議題にできなかったことにより「対象となった組合員は、団体交渉ができないまま自主退職を選ばざるを得なかった。
このことにより、組合への求心力が損なわれた」と証言しました。
 会社側代理人(弁護士)は「その後の団体交渉でも、退職した組合員について議題にしていないではないか」と指摘しましたが、大岡委員長は「自主退職せざるを得なかったことにより、彼らは組合員資格をなくし、団体交渉に出席すること自体できなくなったのだ」と証言しました。
 また会社側は「当日解雇通知の件を議題に入れなかったのは、2時間という団体交渉の時間制限があったためだ」と証言しましたが、

9月21日以前、会社側から「団体交渉の時間は2時間で延長なし」と事前通知があっても、協議が尽くせなかった場合はしばしば時間延長されていた。
9月21日当日も、時間延長をして解雇の件についての協議を行うことが不可能ではなかった。
現に当日は時間延長していた。

と、議題に入れることが可能だったことを、双方の証人が証言することとなりました。

▲続々と新事実▲

 坂上氏への尋問では、9月21日当日、なぜ2時間という時間制限にこだわったかについての証言が得られました。「団体交渉終了後、TD&D部門解散に関する人事処理を行わなければならなかったから」とのことです。TD&D部門の解散期限を9月末と決めたのも、自主退職か解雇かの選択の期限を決めたのも、どちらも会社です。これらの期日が重なり、団体交渉ができないほどの多忙な状況を、会社自らが作り出したことが判明しました。
 また、これまでの組合との交渉経験から、組合員に解雇通知を発行すれば、組合が団体交渉を要求することは十分予見可能であり、会社の対応に客観的な理由はなく、団体交渉拒否であることが浮き彫りとなりました。
 この尋問において、解雇の実態も一部明らかになり、

坂上氏は、解雇の最終決定者ではないが、解雇に対する検討会には参加しており、解雇理由ほかを知っていた。
解雇は実際に解雇通知される数日前には決まっていて、その後は手続きや解雇通知に当たっての想定問答などを作成していた。

という事実が判明しました。労働委員会の委員からも「解雇が決定した時点で組合に通知することが可能だったのではないか」との指摘がありました。そもそも組合が団体交渉を急いだのは、解雇通知された日から自主退職をするか解雇かの決定期限までが三日程度と短かったことが原因です。この期
間の短さは、労働委員会の委員からも「あまりに短いのではないか」と指摘がありましたが、なぜこの短い期間が必要なのか、坂上氏は明確な証言ができませんでした。
 今後は、5月30日に最終審問があり、9月には労働委員会から命令が出る予定です。

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