本社勤務のAさんは業務の傍ら、一人でお父様の介護を行っており、有休はほぼ全て介護のために使っています。(もちろん看護休暇も取得しています。)そのため、お父様の具合が悪いときは、有休取得が多くなり、3月は5.5日に及びました。
ところがAさんの所属長のB担当は、Aさんの家庭の事情と3月分の有休取得日数を知りながら、PIPの目標に3月~5月は「毎月有休2日以内」という要求を加えました。(AさんのPIP管理フォームの特記事項にはお父様の介護のことが明記してあります。)そして目標を達成出来なかった場合は、減給、降格、更には解雇が有り得るという紙も渡されました。
説明するまでもなく、有休取得は私たち労働者に認められた権利です。理由を問わず、私たちは自由に有休を取得できます。「業務に大きな支障をきたす」という限られた条件でのみ、会社は時期変更権を行使できるのです。
それにもかかわらず、有休取得そのものを月2日に制限するなど許されることではありません。
特にAさんの場合は、遊びではなく、親の介護のために有休を取得しているのです。その事情を知りながら、有休取得日数を制限するなど、まともな人間のすることとは思えません。
しかも月3日以上の有休を取得したら、減給、降格、更には解雇が有り得るとなれば、誰でも有休取得を躊躇するでしょう。人の命を何だと思っているのでしょうか。
また、お父様の容態が悪化したとき、救急隊員、搬送先病院の医師や看護師、ケアマネージャーから、Aさんの携帯電話に連絡が入ります。就業時間中に対応したAさんに対して、B担当は「仕事中に私用電話をして、ずるい」という信じられない発言を繰り返しました。「家族の具合が悪い」という連絡は、「休憩時間にかけ直す」など出来ないのです。遊びの連絡を就業時間中にしているのとは、明らかに次元が異なるのです。
B担当のあまりの酷さに、Aさんは組合の支援を受け、労働基準監督署(労基署)にB担当の違法行為を申告しました。申告受理から労基署が実際に動き出すまで、通常は1ヶ月程度かかります。しかし今回は人の命がかかわることということで、1週間という異例の早さで動いてくれました。4月8日に労務の川崎慎吾担当を始めとする関係者を労基署に呼出し、指導票を交付しました。
内容は「Aさんに対する扱いは労働基準法に照らして問題がありますので、有給休暇を取得した労働者に対して賃金の減額、不利益変更などの取り扱いをしないように。」というものでした。B担当は、PIPの目標から有休取得制限を削除しました。
組合はもちろんPIPそのものの不当性を訴えて闘っています。そのなかでも今回のB担当の目標設定は、悪魔の所業としか考えられません。B担当こそ、「業績改善」のため、個別に上司や人事から指導を受けるべきと考えます。
またも労基署から指導票
有休取得制限は不当
社員無視の会社施策 15%もの減額発表- 就業規則改訂の問題点(その2)