6月末締めにあわせてロックアウト解雇が再び実施されたことに対して、2人の組合員が6月20日地位保全と賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴しました。
◆昨年と同じやり方で◆
今回のロックアウト解雇も、昨年の9月末締めに合わせて実施されたロックアウト解雇と同じ方法です。
上司から午後5時にミーティングが召集され会議室に行くよう指示を受けます。そこにいきなり上長や人事担当者が入ってきて、「貴殿は、業績が低い状態が続いており…」と突然、解雇予告通知書を読み上げ始めます。まるでロールプレイを行うように淡々と進みます。そして私物をまとめて帰るように指示され、翌日から出勤禁止とされます。私物は宅配便で自宅に送られます。
◆あってはならない・・・◆
人員削減が目的なのに、個人の業績を口実にして解雇するこのようなやり方は、労働者に屈辱を与えるばかりでなく、仕事の誇りも人間関係も奪い去るもので、社会的に大きな問題になっています。
昨秋の国会の予算委員会でも野田首相(当時)が「あってはならないやりかたであります」と答弁を行っています。それにもかかわらず会社はまたもや解雇を強行しました。このような横暴な解雇の撤回を求め、昨年10月に3人が、今回新たに2人が東京地裁に提訴したものです。
◆具体的事実は提示せず◆
会社は「貴殿は、業績が低い状態が続いており、その間、会社は職掌や担当範囲の変更を試みたにもかかわらず業績の改善がなされず、もはやこの状態を放っておくことができないと判断しました」などと主張し、これが「技能または能率が極めて低く、かつ上達または回復の見込みが乏しいかもしくは他人の就業に支障を及ぼす等、現職または他の職務に就業させるに著しく適しないと認められるとき」(就業規則53条2項)に該当するとして解雇予告を出しました。
しかしながら会社は、就業規則53条2項に該当する具体的な事実を明らかにしていません。そもそも、就業規則53条2項に該当するような事情や事象は存在しないと言えます。
◆理由や相当性なし◆
労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。
IBMの解雇には、就業規則53条2項に該当する事実もなく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないのです。
組合は、この問題に関連する団体交渉拒否の救済申し立てを東京都労働委員会に対して行っており、9月に命令が出る予定です。今後、追加提訴、第三者機関への申し立てや宣伝行動を強め、他の労組や団体との連携を強化し、会社を社会的に包囲していきます。