組合役員狙い撃ち

ロックアウト解雇原告 意見陳述書

 ロックアウト解雇で東京地方裁判所に提訴しているAさんの意見陳述書の概要は以下のとおりです。

1 入社以来、誠実に業務を行い、評価を受けてきたこと

 私は199X年3月に大学を卒業し、その年の4月に日本IBMに入社しました。200X年に主任に昇格し、同年1月から、アウトソーシングの営業プロセス管理と営業が使用するシステムの運用・管理を行う部署へ配属されました。
 以後今回解雇されるまで10年以上もの間、同部署でシステムの運用・管理の業務を行ってきました。200X年には部門内で将来性がある社員が1、2名選ばれる「トップ・タレント」に選ばれ、当時の部門理事と話をするイベントに参加しました。日常業務の中で、営業担当者や現STS部門の担当者から「サポート頂いたおかげで、契約が取れました」などと感謝されることも度々ありました。
 2013年の年初から、継続中のプロジェクトのタスクを進めると同時に、2013年5月から始まった新しいプロジェクトにも、オーナー側リーダーとして関わっていました。また、今年になってからもいくつかのプロジェクトを期日通りに、承認されたコスト内で、要求定義された品質でサービスインさせてきました。
 このように、私は10年間同じ部署に所属し、会社が求める品質に見合う業務を提供し続けてきた自負があります。解雇の直前までプロジェクトのリーダーを任されていたことが、会社が私の仕事ぶりを認めていた何よりの証拠だと思います。

2 突然の解雇通告

 そんな中、今年の5月31日に突然、解雇を言い渡されました。
 私は当時大事なプロジェクトやタスクを抱えており、まさか自分が解雇されるとは思ってもみませんでした。解雇されたときも、まさに進行中のタスクの進捗状況について、会議室でファーストラインに報告を始めたところでした。
 話し始めて数分経ったところで、突然セカンドラインマネージャーと部門人事を名乗る初対面の女性が会議室に入ってきました。そして、前振りもなく、セカンドラインマージャーが解雇予告通知書を読み上げました。
 私は、あまりに突然のことで頭が真っ白になりました。部門人事担当者の女性は、6日後の6月6日までに自主退職を選択した場合には、解雇を撤回して自己都合退職とし、退職加算金を支払うことや、会社の負担で就職支援会社のサポートを無期限で利用できることなどの条件を淡々と読み上げ、自主退職を選択する場合の書類一式と転職支援会社のパンフレットを渡してきました。先に解雇された組合員に対して、会社がとった手段と全く同じでした。
 翌日、私は労働組合の書記長と一緒に出社しましたが、私のセキュリティカードは既に使えない状態になっていて、会社に入ることはできませんでした。
 プロジェクトから無理やり引きずりおろし、ヘルプデスクで仕掛かり中だった調査への回答もできず、10年間誇りをもって取り組んできた業務を突然取り上げ、引継ぎも行わせず、反論の材料をそろえる時間も与えずに職場から締め出す、このような解雇のやり方は、絶対に納得できません。

3 組合の執行役員であったことから狙い撃ちされたこと

① 私は、今回の解雇は、私が労働組合の執行役員であったことから狙い撃ちにされたのだと確信しています。私は、2012年4月上旬から、執拗に退職勧奨をされたことをきっかけに、同月26日にJMIU日本IBM支部に加入しました。それまでは、課長や人事との面談が2、3日に一度の頻度で繰り返され、何度「IBMで働き続けたい」と言って断っても執拗に退職を求められ、「辞める」と言うまで面談が続くのではないかと思うほどでしたが、組合に加入するとあからさまな退職勧奨はピタリとなくなりました。私が組合に加入したことで、会社は簡単には自主退職させることができなくなくなったと思います。その年の7月、私は組合の中央執行委員に就任しました。

② 私が所属していた課には、10人弱の課員がいましたが、昨年9月に組合の書記次長が同様の手口でロックアウト解雇され、今回私が解雇されたことで、部署に組合員がいなくなりました。昨年9月以降、私たち2名以外に退職した人は一人もおらず、私たち2名に対する解雇が、課内から組合員を一掃するための解雇であることは明らかです。また私より11日早く解雇を通告された方も中央執行委員であり、一緒に提訴した原告の酒本さんも本社分会の副分会長でした。このように、会社は労働組合を嫌悪し、組合員を会社から排除するために組合員を狙い撃ちにして解雇していることは明らかです。
 裁判所におかれましては、解雇の実態をご理解いただき、公正なご判断を賜りますよう、よろしくお願い致します。

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