【裁判・審査報告】
都労委・中労委で全面勝利へ前進?
最高裁判所の書記官も理解を示す
会社の暴走行為に待ったをかける要望書出る――東京都労働委員会
4月11日に東京都労働委員会第4回期日が開かれ、号外でもお伝えした通り、公益・使用者・労働者の三者委員連名での「要望書」が出されました。
組合は3月13日に「組合員に対して、組合と協議を尽くすことなしに、退職勧奨または退職強要を目的とする面談、解雇予告、賃金減額を行ってはならない」という「実効確保の措置勧告申立て」を行っていました。実効確保とは「不当労働行為の審査手続き中に、放置すれば救済の実効が阻まれるなどのおそれのある場合、労働委員会が当事者に対して必要な措置をとるよう勧告できる制度」です。組合がロックアウト解雇の強行は不当労働行為であるとして都労委に申し立てを行っているにもかかわらず、会社がさらにロックアウト解雇を行ってきたため、やむを得ず対抗措置として申し立てたものです。
それに対して今回「まだ調査中なので命令は出せないが」、公益・労働者・経営者(使用者)の代表の合議にて、「本件が当委員会に係属していることを鑑み、紛争の拡大を招くような行為を控えるなど、格段の配慮を払われたい」という要望書が出されました。
要望書は公益・労働者・経営者の三者委員が、組合の主張に理解を示し、命令が出るまでこれらの不法行為を行わないよう釘をさすものです。会社の暴走行為に事実上の「待った」をかけたことを意味します。
組合は、実効確保しつつ、全面勝利(全部救済命令)をめざして闘いを進めます。
会社の証人申請を認めず――中央労働委員会
4月30日に中央労働委員会の第4回期日が開かれました。中労委は会社側の証人申請を認めませんでした。
この事件は、2012年9月のロックアウト解雇時に会社が団体交渉を拒否したことが不当労働行為にあたるとして、組合が申立てを行ったものです。都労委では当時の団交責任者の坂上氏が証言台に立ちましたが、組合側弁護士の鋭い追及により、団交拒否に正当な理由がないことを事実上認めてしまいました。
その結果、都労委は2013年8月に全部救済命令を出し、組合の全面勝利となりました。
会社は都労委の命令を不服として中労委に再審査申立てを行い、その第1回期日において当時の団交責任者の証人申請を行いましたが、2013年末で退職してしまったため、会社は今年になって都労委と同様に坂上氏を証人申請しました。
しかし、坂上氏に都労委と同じ尋問をするのは無駄であるため、公益委員は会社に新事実の有無を確認しました。会社側弁護士はこの確認に対し「新事実が出ることも十分あり得ます」と他人事のような回答をしたため、公益委員が「新事実があれば、具体的に示すように」と何度も促しました。しかし会社側弁護士は何も示すことができず、苦し紛れに「過去の経緯を明らかにしたい」と訴えました。
これに対して組合側弁護士が「過去の経緯は関係ない。当日の団交拒否に正当性があるか否かだ」と応じたこともあり、公益委員は「現時点ではA氏の証人尋問は不要である」と判断しました。そして「新事実があるなら陳述書を提出するよう」に求め、会社はこれを了承しました。
しかし、今回の期日で全く示せなかった新事実が、果たして見つかるのでしょうか?
都労委の要望書を説明――最高裁判所要請行動
4月23日に組合は最高裁判所前での宣伝行動(本社前と同様のチラシの配布とスピーカー宣伝)に引き続き、「退職強要・人権侵害裁判」の上告受理を求めて、最高裁判所内での要請行動を行いました。
要請行動にて組合は、まず都労委から要望書が出たことを書記官に伝えました。そしてその要望書が出された理由となるロックアウト解雇や退職強要、賃金減額の遠因となっているのが、東京地裁・高裁における退職強要・人権侵害裁判の不当判決であり、その不当判決を是正するために上告を受理するよう要望しました。
最高裁判所の書記官も、IBMのリストラが米国本社の指示・命令であることを理解しているようです。
組合は上告受理と逆転勝利判決を目指して、最後まで闘っていきます。