【かいな特別号外】危険な人事施策変更の解説(2面)

危険な人事施策変更の解説

私傷病欠勤と私傷病休職について
 会社は有給の私傷病欠勤と私傷病休職をほとんど無くす大幅な制度変更をします。(下図)
私傷病欠勤と私傷病休職の制度変更(2014.09.22号外)
 会社は健康サポート、復職支援などに力を入れるとしていますが、従来の投資額と新制度の投資額は明らかにしないことから、そのほとんどが利益に回るのではないかと組合は見ています。会社は社員に対して「休業補償保険」をかけているため、新制度になれば、この保険金は丸々会社に残る計算になります。さらに、会社は「一部の休職者には不利だが、大多数の健康な社員には有利になる」と強弁し、休職者を切り捨てる発言をしています。そもそも、会社は現場の過重労働を無くすための取り組みをまず行うべきであり、それ無しに休業補償制度を削減することは、社員にとって万が一の安心を切り捨てることになります。
 また、健保によって支給される傷病手当は18ヶ月未満で復職した場合でも支給期間の時計は止まらないという問題があります。会社は厚労省と交渉するとしていますが、先行きは見えません。

病欠・休職・復職・退職の制度変更
  会社は病欠時、休職時、復職時、および退職時の制度を改訂し、会社の権限を大幅に強化しています。従来は本人と主治医の診断書が主体でしたが、改訂後は所属長とIHS(人事と産業医)が判断を行うようになるため、従業員の立場が弱くなり、安全衛生面での懸念が出ます。
  会社はガイドなどを整備するとしていますが、今後注視していく必要があります。

確定拠出年金制度の変更については従業員代表の判断に注目
 勤続年数3年未満で退職すると確定拠出年金(DC)を会社に返還させるように制度変更されますが、これができる根拠として、会社は確定拠出年金法第3条10項を出しています。確かにこの条文では年金規約を定めれば、拠出額の返還ができることになっていますが、その返還割合は100%と決まっているわけではなく、70%でも50%でもいいですし、3年未満という期間も1年でも2年でもいいのです。
 さらに、返還させることができるのは自己都合退職の場合のみです。今後、会社が自己都合退職の強要をしないよう、しっかりと監視していく必要があります。
 この年金規約改訂には従業員代表の承認が必要です。今回の制度変更では、就業規則のみならず、年金規約の変更もあることを社員のみなさんはしっかりと認識する必要があります。従業員代表がどのような判断をするのか、社員のみなさんは注目してください。

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