賃金減額裁判、会社のピンハネ明らかに
リファレンス・サラリー総額10億円減少
賃金減額裁判は2013年9月に提訴してからこれまで5回の口頭弁論が行われました。
10月2日に行われた第5回口頭弁論で会社が提出した書面において驚くべき事実がわかりました。会社が提出したリファレンス・サラリー総額の推移を示す書面が、なんと見事に労働条件の一方的不利益変更であることを示していたのです。
減少分10億円
会社が提出したデータには2013年6月から7月にかけて、バンド7以下の社員のリファレンス・サラリー総額が約10億円も少なくなったことが読み取れます。これは約千人の社員のリファレンス・サラリーが平均約百万円減額された額に相当します。
昇給分たった2億円
会社が提出したデータをさらに読み取ると、2013年9月から10月にかけての昇給では、バンド7以下のリファレンス・サラリー総額はわずか約2億円しか増えていないことが分かりました。
10月の昇給は、会社の説明ではリサイクル昇給とのことでしたが、リサイクルどころか、減額した賃金の8割を、会社がピンハネしていたことがわかりました。
賃金減額の経緯
会社は2009年にまずバンド8以上の社員に対して相対評価の勤務査定を口実とする賃金減額を始めました。この当時からリファレンス・サラリーの10%にもなる減額でした。2010年からバンド7以下の一般社員に対しても賃金減額が始まりました。最初は5%程度の減額幅で、対象者はごく限られていましたが、2013年に入ると、その対象者は全社員の15%に拡大し、その賃金減額幅はリファレンス・サラリーのなんと15%~10%にまでなりました。
違法な就業規則の改定
この賃金減額に先立って、2010年に就業規則・格付規定の変更が強行されていましたが、この内容は会社がフリーハンドで一方的に不利益変更を従業員に強いることができるもので、さらに賃金減額基準や減額幅の規程も無く、まったく合理的な変更ではありません。これは労働契約法十条違反になります。
懲戒処分より重い減額
この賃金減額は従業員の不利益が著しく、また、その減額幅は懲戒処分よりも重いもので、賃金減額期間を定めないものとなっており、定年まで減額が続きます。しかも、毎年でもさらなる賃金減額がされる仕組みで、まさに権利濫用といえるものです。
必要性の無い減額
さらに問題なのは、会社は毎年おおよそ950億円もの経常利益を上げており、賃金減額の必要性はまったくありません。
減額はリストラの手段
会社は例外無くこの大幅な賃金減額と同時に全社的な退職勧奨プログラムを実施します。「賃金減額される前にやめたほうが退職金が高くなる」と退職を強要します。また、減額され「これでは暮らしていけない」とみずから会社を見限って辞めていく社員もいます。最終的には退職勧奨に応じない社員をロックアウト解雇で追い出します。賃金減額のねらいがリストラにあることは明白です。賃金減額とロックアウト解雇は、会社の恐怖の合わせ技なのです。