解雇のルールや基準なし
人事トップが証言 【ロックアウト解雇裁判】
11月17日東京地裁において、ロックアウト解雇裁判の一次提訴(原告3人)と二次提訴(同2人)の口頭弁論が開かれました。日本IBMの人事担当のトップであるサム・ラダー取締役常務執行役員に対し、証人尋問が行われ法廷は傍聴希望者であふれました。
*会社側主尋問
ラダー氏は会社側弁護士との主尋問で「この数年間は会社の業績は良好だと思います。会社が成長しているのは、会社が従業員の育成に力を入れ、そして明確な方向性を示しているからです。解雇は人員削減が目的ではなく、業績不良を理由とするものです」と主張しました。
*原告側反対尋問
ラダー氏は原告側弁護士による反対尋問で、フランスIBMが2013年、2014年、1400名の人員削減を行うことを労働組合と協議している事実について知っているかの質問に「知りません」と回答しました。
*人員再調整費用について
日本にもワークフォース・リバランス・チャージ(人員再調整費用)があり、この目的は退職費用であると回答しました。また日本において人員再調整費用は、2013年いくら計上されているか、支出する前に予算に計上された額を知っているかの質問に「思い出せません」と回答しました。
*4Qリストラ
更に2014年4Qに6億ドルの人員再調整費用を計上することを発表している資料を示し4Qのリストラの質問に対して「私はグロバールの責任者ではないのでわかりません」と回答しました。また「アメリカから人員削減の目標人数の指示がくるのではないか?」との質問に「通常、本社から人員削減の指示はきません」と回答しました。
*解雇基準について
「前任の人事担当から、業績の低い従業員を解雇するための基準は文書で示されたか?」の質問に「解雇はケースバイケースであり、ルールや基準はありません」と回答しました。これでは恣意的な判断が可能だと断言しているようなものです。
*解雇プロセスについて
ラダー氏は「私の監督下において日本IBMの人事部門は、日本IBMの法務部門及び経営上層部と協議した上でPBC評価の履歴や上司の評価といった要素に基づいて業績が低い状態が続いている従業員を特定しました。解雇の最終的な決定は、日本IBMの人事部門及び法務部門と協議を経て所属する部門の長によってなされました」と陳述しています。
数か月前から解雇者リストを作成しながら、突然解雇予告を通知していることもわかりました。しかしあくまでも部門長が最終判断をするとしています。
今後については、原告とその上司、上長の証人尋問へと進んでいきます。