稼働率80%で能力不足?

稼働率80%で能力不足?
  -驚くべき解雇理由-

 会社は2013年に解雇され提訴しているAさんの解雇理由を準備書面として提出して来ましたが、その内容は驚くべきものでした。

◇稼働率目標は必達?

 2012年の稼働率目標が91.0%であるのに対して、Aさんの稼働率が80.4%であり、「目標を大幅に下回ったため解雇した」としています。そしてPBCの目標の1つであるはずの稼働率が準備書面では「最低限の必達目標」とされています。これでは稼働率目標を下回った社員はいつでも解雇できることになります。

◇有給休暇全部消化したら解雇?

 そこで組合は、もしAさんが年次有給休暇をすべて取得していた場合、会社が目標としている91.0%の稼働率に届くのかを問題として裁判所に提起しました。
 すると、会社の答えはAさんが年次有給休暇をすべて取得した場合、稼働率は79.7%になるというものでした。
 もし、この稼働率を上回る稼働率の人を解雇したとしたら、事実上、年次有給休暇を取得したことを能力不足解雇の評価根拠事実とすることになり、労働基準法39条に反することになります。これは絶対に許されないことです。
 Aさんの稼働率は上記のように80.4%でした。会社の行為は明らかに労働基準法39条違反ということになり、とうてい許されるものではありません。

◇稼働率80%で解雇許されるのか

 組合の指摘に対して会社は「Aさんの部署は相対的に忙しく、稼働率が高い」「他の社員は目標を達成している」と反論してきました。しかし、相対的に忙しいことが分かっているなら、全員が有給休暇を全て取得できる稼働率まで目標を下げられるように、人員を増やすべきです。社員の残業に期待するべきものではありません。
 またAさんはメンタル疾患を患っており、無理がききません。その中で頑張ってきました。しかしAさんの所属長はそれを知っていながら、無視してきました。病気のため少しパフォーマンスが低くなったとして解雇されたのです。
 稼働率対象の社員の皆さん、「稼働率80%で解雇」をどう思いますか?

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