ロックアウト解雇を断罪
-都労委に続き中労委も会社に改善命令-
中労委命令を受け会見する組合と弁護士=10日、厚労省内
2015年7月10日に中央労働委員会(中労委)から会社に対して改善命令が出されましたので、以下にお知らせします。この結果は現在係争中の全ての裁判に影響を及ぼすことは必至です。
この事件は、2012年9月に発生したロックアウト解雇事件において会社が団体交渉を拒否したことが不当労働行為にあたるとして組合が申し立てていた事件です。都労委では不当労働行為と認定され、会社に謝罪文の掲示を命じていました。これを不服として、会社が中労委に再審査申し立てをしていたものです。
謝罪文の掲示を命令
会社の再審査申し立てを棄却したうえで、謝罪文の内容を以下のように変更しました。
①都労委になかった被解雇予告通告者の氏名を記載。被解雇通告者の1人は会社が認めようとしなかったバンド8組合員でしたが、中労委は組合員と認定し、それを明確にしました。
②都労委の謝罪文の最後の文章「このような行為を繰り返さないよう留意します」を、「このような行為を繰り返さないようにします」という強い表現に変更しました。
会社主張を全て退けた
①会社が主張していた団交に応じる義務がなかったという理由を一蹴し、「義務的団交事項」に当たるとしました。さらに「会社のいう解雇理由は具体性に欠ける一般的・抽象的な定型的文言ともいうべきもの」で、団交は組合員にとって必要不可欠だったという判断を示しました。
②団交の時間的余裕がなかったという会社主張に対しては「そもそも解雇したのは会社で、解雇理由の詳細はもちろん把握していた」はずで、会社には団交に応じられない合理的理由はないとしました。さらに、時間を延長して解雇問題を協議することは十分可能だったという判断を示しました。
③当日、実質的な内容に入っていたという会社主張については「具体的な説明を行わないまま結論のみを述べるものであったり、抽象的かつ同一の内容を繰り返すものであった」とし、解雇理由や自主退職の場合の条件などについて具体的に明らかにしなかったという判断を示しました。
④事後の団交で協議したという会社主張に対しては、「不当労働行為の成否が左右されるものではない」としつつ、「念のため検討したが、やはり、解雇理由について具体的な説明を行っていない」という判断を示しました。
⑤会社はその後も誠実に団交に応じているという主張についても、会社は実質的な協議を行っておらず、「同種の再発を抑制する必要性がある」という画期的な判断を示しました。