―日本だけ増収なのに無視―
機関紙「かいな」11月2日号でお知らせした秋闘要求の回答指定日である11月4日に会社から回答が出されました。組合は団体交渉をもって内容について協議しましたので、以下にお知らせします。
低い給与水準を調整するのがMBA昇給
会社には2つの昇給制度があります。ひとつは4月1日付のTCR(TopContributor Reward)で、もうひとつは12月1日付MBA(Market-Based Adjustments)です。会社の説明によれば、TCRは成績の良かった人のみに対する昇給で、MBAは業界の給与水準などと比較して調整が必要な場合に実施されるものです。この観点からすれば、MBA昇給はいわゆるベースアップに近い考え方だといえます。
ところで、この4月は消費税が8%に引き上げられたことを受け、各大手企業がベースアップを実施しました。この結果、日本IBMの給与水準はこれら大手企業に比べて見劣りする状況になっていました。これを調整する意味で、この年末はMBA昇給をすることが重要です。
組合はこのような状況分析の下、大手各社にひけを取らないためには全従業員の平均賃上げ率3%のMBA昇給をすることが必要だと結論し、秋闘要求を提出していました。
ゼロ回答のMBA昇給
会社回答はMBAの「実施を確約するご要求に応ずる考えはありません」と一蹴。まさにゼロ回答でした。
これに対し、組合がMBA昇給の検討事項である、
・市場の需要動向
・業界の給与水準
・日本での適用状況
・該当職種
について現在の会社の検討状況を聞いたところ、会社は「まだ決まっていない」との返答を繰り返すばかりで、誠実に働いてきた社員の貢献に報いようという姿勢がまったく感じられませんでした。以下にその模様をお知らせします。
組 MBA昇給は考えているか。
会 12月は給与調整を行うタイミングであるが、全員の昇給は考えていない。
組 市場の環境をどのように考えているかなど、検討内容を回答して欲しい。現時点の状況判断を聞いている。
会 会社は成長分野にスキルを求めている。CAMSSのような成長分野に人・モノ・カネを投入したい。全従業員にという考え方は無いが、MBAの性格からして競争力が弱まっているところにフォーカスを当てている。まだ最終的な結論に至っていない。
組 12月1日までもう1ヶ月もない。まだ具体的な検討に至っていないというのはどういうことか。
会 それは認識している。給与担当と相談しながら進めている。
組 この春に大手各社はベースアップをしてきている。現場の感覚では大手各社に比べて社員の給与水準が見劣りしているので、平均3%の昇給を要求している。
会 データは開示できないが競合他社の賃金とベンチマークを行って職種別の競争力を図っている。給与水準が見劣りしている点についても会社として確認している。
組 もっと具体的に説明して欲しい。日本は対象になっているのか。
会 まだ前段階だとしか言えない。
組 「今年はこうです」という回答はないのか。いつわかるのか。
会 ・・・
組 日本だけ増収だったはず。社員に対してどのように報いるつもりか。3%というのは、決して無理な要求ではない。
会 会社業績の業績連動部分は賞与で報いている。
組 いつまでに決まればよいのか。配分を考える時間が必要ではないか。
会 最終的には12月1日だ。どこに昇給するかは、ここ数年で見ると、決定イコール限定だ。
組 直前に決まって、協議の時間無しでこのままいくというのは困る。
会 なんとか明確にしたいと考えている。
12月1日付で減給をやるのか?
組 組合要求に対する回答が「減額調整を中止する考えはありません」となっている。これは12月1日で減額をやるということか。
会 上方、下方の賃金の見直しということは、考えとして消すものではないということだ。
組 一般的な話ではなく、この12月1日付で賃金減額をしないでほしいという要求だ。これに対してどうなのか。
会 まだ検討中ということだ。
組 それは、減額があるかもしれないということか?
会 そこは最後の決めになる。
組 1ヶ月後に迫ったことについて、今の時点で回答できないのはいかがなものか。やらないなら、やらないと回答すべきだ。
会 すべてにおいて、慎重に検討しているということだ。