実態は部門縮小による整理解雇
-第4次ロックアウト解雇裁判証人尋問報-
2014年3月にロックアウト解雇されたAさん関連の証人尋問が、2016年9月16日東京地裁第527号法廷で行われ、解雇当時の所属長の吉井豊担当とAさん本人が証言台に立ちました。
問い合わせを間違って転送したら解雇?
吉井担当の証言は些細なAさんの失敗をあげつらうものばかりで、いかにも後付けの解雇理由ばかりでした。例えば「プロジェクトからの問い合わせに対し、間違った部門に問い合わせを転送した」などというものです。
ILCを間違ってつけたら解雇?
きわめつけはAさんが「ILCの請求部門コードを間違えた」という吉井担当の証言です。
吉井担当から稼働率を上げるようプレッシャーをかけられた結果、Aさんがやむを得ず細切れの時間単位の仕事までILCクレームをした結果のミスでした。こんなことまで解雇理由にされては、我々社員はたまったものではありません。
会社に損害なし
組合側弁護士が反対尋問で「Aさんのミスによって会社が金銭的損害を被ったか」と質問すると吉井担当は「それはない」と証言。「顧客を失ったことがあるか」との質問には「把握していない」と答え、結局Aさんが会社に具体的な損害を与えていないことを立証してしまうことになりました。
部門縮小と退職勧奨は関係ないと強弁も傍聴席と裁判官は失笑
組合側弁護士によって吉井担当の現在の所属が沖縄であることを指摘されると、Aさんが所属していた部門の幕張チームが「グローバルの指示で縮小することになった」と吉井担当は証言し、さらに「当時所属していた社員は全員異動・退職・転籍していて、現在は部門として存在しない」ことを証言しました。
吉井担当は当該部門所属の従業員全員に退職勧奨したことを証言しましたが、その際、Aさんに送ったメールに「部門縮小を背景にして」と明記されていました。
このことを組合側弁護士に指摘されると吉井担当はなぜか「部門縮小と退職勧奨は無関係」と証言。組合側弁護士が、部門縮小するために全員に退職勧奨したことを再度念押ししても「部門縮小と退職勧奨は無関係」と強弁し、裁判官や傍聴席の失笑を買っていました。
実態は整理解雇ですが、会社はそれを言えません。当時も今も950億円前後の経常利益を出しており、法律的に整理解雇はできないからです。
悪質な不当労働行為も
Aさんは証言の中で「前の部門では高く評価されていた」ことを証言。ところが、吉井担当が「コスト削減のための部門縮小」と言って何度も退職勧奨を行っていたことを証言しました。
AさんのPIPについても、組合が団体交渉で協議することを会社に申し入れ、協議中であったにもかかわらず、吉井担当が、署名しないと業務命令違反で処罰する、というメールまで送っていたことをAさんが証言。これは大変に悪質な不当労働行為です。
最後に「裁判所に言いたいことはありますか」との問いに、Aさんは「家族を路頭に迷わせないで欲しい」と訴え、公正な判決を求めました。