稼働率とILCに関する秋闘回答 【団交報告】
「稼働率は単なる部門目標」と責任逃れ
前号でお知らせした稼働率とILCに関する要求への会社回答が出ました。11月9日の団体交渉の模様とともに以下にお知らせします。
ILCと稼働率に関する要求内容(再掲)
会社への要求内容を以下に再掲します。
(1)年次有給休暇の完全取得、祝日を考慮した上で38時間労働を分母として、研修受講・部門会議出席・その他必要な社内作業を行うことが可能な稼働率目標を設定すること。
(2)ILC過少申告を助長させるような現在の状況を改めること。
・移動時間やプロジェクトに関連した間接作業時間などのNon-Billable時間を稼働率計上できるILC入力ができるようにすること。
・プロジェクト・オーバーランがあっても稼働率計上できるILC入力ができるようにすること。
ILCと稼働率に関する会社回答(全文)
(1)について
稼働率は会社経営や組織維持のために大変重要な指標です。組織のビジネス目標としても設定されており、目標達成をはかる重要な指標でもあります。このように稼働率はあくまで組織目標ですが、会社や組織の目標に向かって、社員の立場でも高い意識を持ってもらうために、年次有給休暇、研修受講、部門会議出席、その他必要な社内作業の時間を加味したうえで、個人の稼働率目標が設定されています。なお、あくまで目標であり、それ自体が休暇取得を妨げるものではありません。
休暇等で、その分、本来の業務に遅れが生じた場合、ないし、本来行うべき業務を行えていない場合、その分は生産性を上げることで自らをカバーするべきですが、もしこのカバーにあたって時間外勤務が必要な場合については、時間外勤務のプロセスに沿って、社員から時間外勤務が必要であることを所属長に伝え、所属長はこれが妥当であると判断した場合には時間外勤務を認めることになります。
(2)について
Non-Billable時間に関しては、お客様へのチャージ等のCost振替の対象ではないため、Billableの稼働率への計上をすることはAuditabilityの観点からも行うことはできません。なお、プロジェクトに関連した間接作業時間については、Claimすべきものもありますので、随時プロジェクトマネージャーに確認を頂く必要があります。
会社は、FLCの徹底を促進しており、「過少申告を助長させるような状況」が存在するとは考えておりません。また、プロジェクトがオーバーランした場合は、コンティンジェンシーの活用等、ILCの計上が可能です。
おかしな実態があれば組合に投書を
以上の回答を踏まえた協議内容を以下にご紹介します。
組合 ILCと稼働率に関する会社回答の(1)についてだが、プロジェクトにアサインされているある人が休暇を取りたいと思い、より生産性を上げて仕事を終わらせて休暇を取ったとする。その場合、与えられた仕事に対してより少ない時間で作業を終えたわけなので、稼働率が下がってしまうことになるのではないか。結果、優秀な人ほど稼働率が下がってしまうというおかしなことが起こるのではないか。
会社 そのような優秀な人はまた次のプロジェクトの仕事ができるので、全体のユーティライゼーションが上がる。
組 それでは有給休暇を取得している場合ではなくなってしまう。
会 単なる時間だけの問題ではなく、生産性の高い人はプロジェクトから評価される。
【組合より】
社員のみなさん、有給休暇の取得実態など、稼働率の問題について、是非、投書をお願いします。
組 次に(2)についてだが、例えば移動時間について、稼働率として救う観点でいえば、会社としてChargeableで救う方法があるのではないか。
会 それは各プロジェクトや部門でのケースバイケースの判断になる。
組 会社として一定の基準で救う手段がほしい。
会 実際のケースで、救う必要があるものがあったら教えてほしい。
組 次にFLCの件だが、例えばプロジェクト・オーバーランのケースでいえば、オーバーラン分についてはILCをつけられないのが実態だ。
会 もし実際に働いたのにILCをつけられないようなプロジェクトがあれば教えてほしい。
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【組合より】
移動時間が稼働率として救われないために大変ご苦労されている方、あるいはプロジェクトで実際に働いたにもかかわらず何らかの圧力によりその時間をILC計上できない方もおられましたら、是非、組合ホームページに投書をお願いします。
なお、今回のILCと稼働率に関する回答については、解説を次号に掲載する予定です。また、ここに掲載した以外にも社員の関心が高い回答を順次掲載します。ご期待ください。