会社の理不尽さを許さない-賃金減額裁判-

 

会社の理不尽さを許さない

-賃金減額裁判-

 

 11月18日、第2次賃金減額裁判の第4回口頭弁論が行われました。この日行われた原告の意見陳述を紹介します。

減額措置の過酷さと理不尽さ

 私は、2012年度のPBCで5段階評価の最低である4をつけられ、2013年にリファレンスサラリーで15%の減額措置を受けました。本給は5万2700円減額されました。2013年のPBC評価は5段階で上から2番目の2+であり、翌2014年には昇給がありましたが、本給の昇給幅は1万2400円で、減額された幅の1/4にも届きませんでした。その後、2014年と2015年のPBC評価は連続して2でしたが、それにともなう昇給はありません。まったくのゼロ昇給です。その結果、現在のリファレンスサラリーは2013年に賃金減額される前より10%以上低いままです。
会社は、賃金減額を正当化するために「ペイ・フォー・パフォーマンス」などという言葉を掲げて、さも業績に応じた給与体系を目指しているように主張していますが、PBCが単年度ごとの評価制度であるにも関わらず、たった一度の低評価で賃金を15%も下げ、その後は3年連続して平均以上の評価をとっている社員に対して、減額前より10%以上低い賃金にとどめておくことの、どこが「ペイ・フォー・パフォーマンス」と言えるのでしょうか?
 一次訴訟での意見陳述で、私は「会社は、減給措置を正当化するために、ハイ・パフォーマンス・カルチャー、ペイ・フォー・パフォーマンスといった言葉を並べておりますが、全くのおためごかしであって、実際にはコスト削減と人員削減の手段にすぎません。つまり、減給措置に嫌気がさした社員が自ら辞めていくことを狙いとしたものに違いないと思っています」と述べました。この思いは今もまったく変わりません。会社の真の狙いは、その後の会社の行いによってますます明らかになっていると思います。

会社の不誠実な態度

 2015年11月、会社は一次訴訟の請求の認諾を行い、2013年7月から2015年5月までの本給および2015年6月賞与までの減額による差額を支払いました。
 その直後から、わたしたちは団体交渉において、減額の撤回、つまり地位の回復と、本給の減額にともなって生じた時間外勤務手当や退職金積立金の差額などすべての損害の回復を求めました。また同時に、一次訴訟に参加しなかった組合員や2014年など他の年度の賃金減額についても同様の措置を求めました。
会社は一次訴訟の原告の2013年の減額の回復については交渉に応じるかのような態度をいったんは示しましたが、一次訴訟原告以外の組合員および他の年度の減額についての回復はまったく応じようとしませんでした。
 私たちは、「認諾したということは、日本IBMが行った賃金減額が、日本の法律上、何かしら問題があったと認めたのではないのか?」「2013年と2014年の賃金減額は、根拠とする就業規則も同一であり、賃金減額を発表する社内文書も一言一句同じ。それなのに一次訴訟原告の2013年の賃金減額のみ撤回し、2014年の賃金減額は撤回しないのはなぜか?」等、次々と質問を重ねましたが、会社はのらりくらり言い逃れるばかりで、ひとつとしてまともに答えようとはしませんでした。
 こうして私たちはやむを得ず二次訴訟を起こすことになりました。会社が誠実に交渉に応じていれば、私はここに立つこともなかったのです。会社はすべての請求の棄却を求めていますが、その中には賃金差額にともなう時間外勤務手当の差額も含まれています。これは会社が一次訴訟で認諾して支払った賃金額にもとづき、会社自身が計算し、団体交渉でわたしたちに示した金額を含んでいます。いったいどんな理由でその支払いすら拒むのでしょうか? 認諾にもかかわらず、賃金が減額されたままのため、地位確認も求めざるを得ませんでした。地位確認が認められなければ私は定年までの間に、いったい何回訴訟を起こさなければならないでしょう。会社の不誠実な態度が残念でなりません。

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