会社はもはや打つ手なし

 

会社はもはや打つ手なし

-第2次ロックアウト解雇裁判控訴審報告-

 2016年12月5日に東京高裁809号法廷で、第2次ロックアウト解雇裁判控訴審第2回期日が行われました。
会社は一審では一貫して、「解雇は個別原告の業績不良が理由である」と主張してきました。しかし控訴審では、下野雅承最高顧問と取締役常務執行役員ゼイン・ズンボーリン人事担当が陳述書を提出し、「IT業界は変化が激しい」「IBMはその変化に苦労して対応してきた」「社員も変化への対応を求められるが、対応できない社員を雇い続ける余裕がなくなったので解雇した」と、全く新しい解雇理由を追加してきました。
 それに対して組合は「この陳述書は『時機に後れた攻撃防御方法』にあたる」として却下を求めました。時機に後れた攻撃防御方法とは民事訴訟法157条にある「当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。」というものです。

下野さん・ゼインさんの陳述書を留保

 民事訴訟法は「証拠は適切な時機に提出すること」を求めています。一審で3年間も審議を重ねながら、控訴審になってから全く新しい解雇理由が出てくることはありえません。
 解雇は社員やその家族の人生を左右する重大事です。、会社は解雇時点で、解雇理由を明確にしておく必要があります。それにもかかわらず、控訴審になってから新たな解雇理由の主張が出てきたということは、会社が明確な解雇理由がない状態で解雇を行い、後付で解雇理由を考えている証拠です。同時に原告が解雇されて収入が途絶えたことを見据えて、会社は明らかに訴訟の引延しを狙っています。これらの事情を踏まえ、裁判所は下野さん・ゼインさんの陳述書の証拠採用を留保しました。

新しい主張は会社の焦り

 日本の裁判は三審制ですが、これは同じ審理を三回繰り返すものではありません。控訴審は一審での裁判所の判決の誤りを指摘し変更を求めたり、一審で認められなかった自らの主張を補充するものです。
 しかし会社は一審で敗訴したため、一審での主張に加え、新しい主張を出さざるを得なくなったと思われます。しかも最高顧問や常務取締役を引っ張り出してきました。この二人が陳述書を出すことは、会社としては最後の一撃のつもりかもしれませんが、第三者機関である裁判所には対してはほとんど無意味です。
 このような裁判戦術をとらざるを得ないのは、会社の焦りの現れであり、会社が次に打つ手を失っていることを示しています。社員の皆さん、もはや会社は組合員をロックアウト解雇できる状況ではありません。退職勧奨などを受けたらすぐに組合に相談してください。

第4次ロックアウト解雇裁判結審
 2016年12月9日に東京地裁527号法廷で、第4次ロックアウト解雇裁判第13回期日が行われ、結審しました。判決は2017年3月8日13時10分から言い渡されます。組合は原告の勝利を確信しています。多くの社員の傍聴をお願いします。

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