声 明
日本IBMのロックアウト解雇、三たび断罪!
2017年3月8日 JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)
JMITU 日本アイビーエム支部
IBMロックアウト解雇事件弁護団
- 東京地裁民事第11部(佐々木宗啓裁判長)は、本日、日本IBMのしたロックアウト解雇を無効として、原告(1名)につき地位確認及び賃金支払いを命ずる原告全面勝訴の判決を言い渡した。東京地裁は、我が国の解雇規制法理を無視した日本IBMの乱暴な解雇を断罪したものである。
- 日本IBMは、2012年7月以降、ロックアウト解雇を開始した。それ以前会社は、2008年末以降、執拗な退職勧奨によって1300人もの労働者を退職させていたが、業績不良を理由とする解雇は一切行っていなかった。ところが、2012年に米国本社から派遣された外国人社長が就任した直後から本件と同様のロックアウト解雇が連発されたのである。
2012年7月~10月にかけて11名、2013年5月~6月に15名、2014年3月に4名、2015年3月~4月に5名の組合員を解雇した。これ以外に非組合員15名も解雇通告されている。本件4次訴訟の原告は2014年3月に解雇された組合員であるが、他にも10名の解雇された組合員が地位確認訴訟を提起しており、そのうち1次・2次訴訟(原告合計5名)については昨年3月28日に東京地裁が原告全員勝訴の判決を下し、現在東京高裁に係属している。日本IBMのロックアウト解雇は、今回の東京地裁判決によって三たび断罪されたことになる。 - 本件解雇を含む日本IBMのロックアウト解雇の特徴は、第1に、原告ら被解雇者が長年にわたり日本IBMに勤続してきた労働者であり、会社が主張するような業績不良や改善見込みがないなどという事実はないにもかかわらず、人員削減と労働者の「新陳代謝」を図るために、業績不良という口実をでっちあげて解雇したものであることである。被解雇通告者に交付した解雇理由書に一律に「業績が低い状態にあり、改善の見込みがない」なる抽象的な理由が同一文言で記載されているのみであったことはこのことを裏付けている。
第2に、20年以上勤務してきた原告らを突然呼び出して解雇を通告し、その直後に同僚に挨拶をする間も与えずに社外に追い出す(ロックアウト)という乱暴な態様のものであることである。第3に、2012年7月以降の日本IBM全体の被解雇通告者は50名にのぼるが、そのうち解雇通告当時、組合員であった者が34名であり、まさに組合員を狙い撃ちしたものであり、これはリストラに反対してきた労働組合の弱体化を狙って実施された解雇であることである。本件ロックアウト解雇は、まさに米国流の「解雇自由」に基づくIBMによる日本の解雇規制法理に対する挑戦であった。 - 東京地裁は、解雇の有効性について、原告に業績不良があるとしたが、「被告ないし所属部署の業務に重大なあるいは回復困難な支障ないし損失を与えるものであったとはいえない」「PBC評価は相対的な評価であるところ、直近の評価は3で一番下ではない」「他の部門ないし部署への配置転換による社内での処遇が困難であったと認められない」などからすれば、「原告の執務上の対応の不適切さが解雇を検討すべきほどまでに重大な程度に至っているとは認めがたく、今一度その適性にあった職への配置転換や業務上の措置を講ずることを検討すべきであった」として、「本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、権利濫用として無効というべきである」と断じた。IBMによる日本の解雇規制法理への攻撃を退けた点において高く評価できるものである。
他方、東京地裁は、原告が解雇に不安を感じて組合に加入したのであり、その後の解雇は組合員を対象に解雇を行ったという理由でなされたとはいえないとして、不当労働行為性を否定した。この点は不十分な判断である。 - 解雇訴訟については、上記の1次・2次訴訟のほか、3次訴訟について現在和解協議が行われている。そして、本日の4次訴訟勝訴判決により、一連のロックアウト解雇が無効であることが改めて明らかになった。また、労働者に対する大幅な賃金減額を争った1次訴訟において、日本IBMは2015年11月に極めて異例の請求認諾をし、現在闘われている賃金減額2次訴訟でも和解に向けた協議が始まっている。
我々は、日本IBMに対し、本件4次訴訟の控訴を断念し、直ちに解雇を撤回して原告を復職させるよう強く要求するとともに、5次を含む一連のロックアウト解雇訴訟、賃金減額2次訴訟、都労委での不当労働行為救済申立事件の全面解決を、強く求めるものである。
以上