声 明
日本IBMのロックアウト解雇、四度目の断罪!
2017年9月14日
JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)
JMITU 日本アイビーエム支部
IBMロックアウト解雇事件弁護団
1 東京地裁民事第36部(吉田徹裁判長)は、本日、日本IBMのしたロックアウト解雇を無効として、原告(47歳、男性)につき地位確認及び総額約1070万円の賃金支払いを命ずる原告全面勝訴の判決を言い渡した。
2 日本IBMは、2012年7月、ロックアウト解雇を開始した。それまで日本IBMは、2008年末から執拗な退職勧奨によって1300人もの労働者を退職させていたが、業績不良を理由とする解雇は一切なかった。ところが、2012年に米国本社から派遣された外国人社長が就任した直後から本件と同様のロックアウト解雇が連発されたのである。
2012年7月~10月にかけて11名、2013年5月~6月に15名、2014年3月に4名、2015年3月~4月に5名の組合員が解雇通告された。これ以外に非組合員も15名解雇通告されている。本件の原告は2015年4月に解雇された組合員であり、本訴訟は第5次訴訟に当たる。既に10名の組合員が地位確認訴訟を提起しており、そのうち1次・2次訴訟(原告合計5名)は昨年3月28日に東京地裁が原告全員勝訴の判決を下し、現在東京高裁で和解協議中である。3次訴訟(原告4名)は、組合員2名が原職復帰を勝ち取る等の勝利的和解が実現し、4次訴訟(原告1名)は、本年3月8日に東京地裁が原告勝訴判決を下し(日本IBMが控訴せず確定)、既に原職復帰が果たされている。本日の判決により、日本IBMのロックアウト解雇は、四度目の断罪がなされたことになる。
3 日本IBMのロックアウト解雇の特徴は、第1に、長年にわたり日本IBMに勤続してきた労働者に対し、業績不良や改善見込みがないなどという会社が主張する事実はないにもかかわらず、人員削減と労働者の「新陳代謝」を図るために、業績不良という口実で解雇したことである。被解雇通告者に交付された解雇理由書の記載が一律に「業績が低い状態にあり、改善の見込みがない」なる抽象的な同一文言であったことはこのことを裏付けている。
第2に、長年勤務してきた労働者を突然呼び出して解雇を通告し、その直後に同僚に挨拶をする間も与えずに社外に追い出す(ロックアウト)という乱暴な態様である。
第3に、2012年7月以降の被解雇通告者は50名にのぼるが、そのうち解雇当時、組合員であった者が35名であり、まさに組合員を狙い撃ちしたものであり、これはリストラに反対してきた労働組合の弱体化を狙って実施された解雇であることである。とりわけ本件ロックアウト解雇は、原告の業務変更について労使間での交渉中に行われたものであり、労働者の団結権を侵害する、悪質なものといえる。
4 東京地裁は、解雇の有効性について、原告の業績は芳しくなかったとしつつも、「指摘を受けた問題点については改善に努めようとしており、一応の改善は見られていた」、「評価も改善傾向にあった」、業務変更に関する労使交渉中の解雇であった点に関しては、「被告において何ら回答や交渉を行わないまま、その翌日に本件解雇に係る解雇予告が行われた」として、「本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とはいえず、権利濫用として無効というべきである」と断じた。IBMによる日本の解雇規制法理への攻撃を退けた点において高く評価できるものである。
他方、本件ロックアウト解雇が不当労働行為であるとの原告の主張に対して、東京地裁は、原告が主張する事情はいずれも本件解雇が組合嫌悪の意思に基づくものであったことを推認させるには十分とはいえないとして、不当労働行為性を否定した。この点は不十分な判断である。
5 解雇訴訟については、これまで判決が言い渡された7名全員について、解雇の無効が確認されたこととなる。
我々は、日本IBMに対し、本件5次訴訟の控訴を断念し、直ちに解雇を撤回して原告を復職させるよう強く要求するとともに、一連のロックアウト解雇訴訟、都労委での不当労働行為救済事件を始め、争議の全面解決を、強く求めるものである。
以上