賃金抑制施策を今すぐやめよ
【秋闘一次回答】 入社2年と40代が同賃金
10月4日、会社から秋闘一次要求への回答がありました。以下にその一部をお伝えします。
賃金施策崩壊新卒と40歳代が同じ
組合は全社員の賃上げを要求しています。しかし会社は「ペイ・フォー・パフォーマンスに基づいて決定している」「一律の賃上げはIBMのポリシーと相容れないものです」と言葉を並べ拒否しました。会社は賃金データを公開していないため、組合で推計した結果、2017年の平均昇給率は、0・3パーセントくらいになったものと思われます。
他企業ではベースアップがあり、そこに成果により上乗せをするというのが当たり前です。それは賃金を生計費原則として見ているからです。
それに対し日本IBMでは賃金体系に深刻な歪みが発生しています。そのことを実際の賃金データをもとに確認します。
表は現時点で組合が把握した範囲内のデータですが、新卒2年目の25歳の男性社員の本給月額が30万円を超えていることがわかります。それと40歳代の本給がほぼ同額になっています。これは特別な事例ではありません。2006年から人事施策改悪により「ゼロ昇給」が実施され、働いても働いても昇給しない賃金制度になってしまったからです。それを隠すために2010年に会社は年齢別保障給を廃止しました。その撤回要求に対しても会社は拒否しています。
賃金アンケートにご回答をお願いします
IBMほど賃金データを隠す会社はありません。他企業では、平均年齢・平均給与・平均昇給率などの賃金データが開示されています。しかしこれらは会社にとって都合の悪いデータなのです。
そこで、みなさんの賃金実態を確認するため、4面にアンケートを掲載しています。組合のホームページから、または記入後組合へFAXにてご回答をおよせください。
シニア契約社員の処遇を改善せよ
公務員の定年が今後3年間で段階的に65歳まで引きあげることが検討されています。しかし会社は「定年を引き上げる考えはない」と理由なき回答をしました。
しかし、シニア契約社員の処遇見直し要求に対して、会社は改善をせざる得ない状況まで追い込まれています。東京都の最低賃金が958円なのに対し、シニア契約社員の時間給はわずか1086円と、最賃にきわめて近い処遇で働かされている実態があります。
会社はただちに月額給与を31万円以上に引き上げるべきです。
過労死の温床 深夜・休日のメール配信禁止
組合は、長時間労働の温床になると考え、休日・深夜のライン管理職らの部下への発信メールを禁止するように要求しましたが、会社はこれを拒否しました。
過労死の多くの事例では、上司から時間外の電話やメールが頻繁にあったということがあげられています。このことからもまず、終業後や休日にメール送信することはすぐにやめるべきです。
しかし会社は「所属長のメールの発信については裁量の範囲内として実施しているものと考えている」とし、継続するとしました。その上で「所属長から深夜や休日に発信されたメールを受けた社員は、緊急性の高い業務命令として深夜及び休日の業務を指示されない限り、このメールへの対応を深夜及び休日に行う必要はない」と回答しています。しかし実際は、上司からメールが届いたら、スルーすることはできません。なので、ドイツでは、これを法律で禁止しているほどです。
労災認定の退職強要に謝罪せず
退職強要を受けた社員が、それにより精神疾患が発症したとして、中央労働基準監督署から2015年に労災認定がでています。監督署が退職強要を判断するのは、よほどのことでない限りありません。さらにこの社員はいまだに出勤できない状態が続いています。
今回も会社は謝罪を行いませんでした。それどころか「許容される退職勧奨であったと考える」としています。監督署の判断を重く見ない会社の姿勢を、組合は問題視しています。
組合は、さらにさまざまな職場要求をとりまとめて、10月25日に秋闘二次要求を提出します。