日本IBMの賃金
12年間で激減 (続報)
2017年12月18日号でお伝えした賃金実態調査の結果には大きな反響がありました。さらに多くの方からご協力をいただいた結果、より精度の高い賃金実態が得られましたので、ここに発表させていただきます。ご協力いただいた皆さんに重ねて御礼申し上げます。
2005年の賃金カーブは一直線
上図は20才代から50才代のリファレンスサラリーの平均値です。「バンド7」は「バンド7以下の一般職」という意味でお読みください。なお、2005年のデータは当時の「年収基準額」のデータですが、リファレンスサラリーは住宅費補助を含んでいるため、同様の補正をしています。
グラフで特に強調したいのは、2005年の賃金カーブが一直線に伸びていることです。
バンド8も追いつけず
今回バンド8の年代別賃金カーブも得ることができましたが、バンド8ですら2005年のバンド7以下の賃金カーブに追いついていないことが明らかになりました。
40代50代の下落が顕著
まず目に飛び込むのが2017年のバンド7賃金カーブが、40代50代になると2005年よりも約200万円下がることです。
これだけでも大変なことですが、それだけではありません。このグラフは12年の差を表していますから、2005年に30代だった人は2017年に40代になっているわけです。この観点で図の補助矢印を見てみると、2005年に30代だった人は平均約700万円の年収ですが、12年経って40代になったとき、給料が上がるどころか、逆に年収が約50万円も下がっていることがわかります。同様に2005年に40代だった人は2017年に50代になり、平均年収が約50万円下がっています。
ベースアップが必須
日本IBMでは「給与調整」といって各個人の業績査定に基づく昇給のみですが、他の一般大企業では職務等級に応じた「賃金テーブル」が決まっており、毎年そのテーブルに基づき昇給されます。これを一般に「定期昇給」と呼んでいます。この点では交渉にならないため、この賃金テーブルに加えて全体を底上げするためのベースアップが春闘交渉の中心になるわけです。(右図参照)
日本IBMではそもそも賃金テーブルがありませんから、黙っていたら1円も給料が上がりません。その結果が今回の調査で改めて確認できたわけです。むしろこの12年間で賃金減額などの強引なやり方で賃金が下げられてきたわけです。
この歪んだ賃金カーブを是正するためには、まずベースアップを行って全体の底上げを図り、その上で通常の昇給をすべきです。
賃上げを要求しよう
特に40代、50代の人には今すぐにでも組合に入ることをお勧めします。賃金は労使の力関係によって決まります。組合に入り、団結して春闘をたたかい、一緒にベースアップと賃上げを要求していきましょう。