社員サービス大幅低下の危機
1999年に総務部門を分社化したIGAS(インテグレーテッドゼネラルアドミニストレーションサービス株式会社)は7年の日本IBMとのアウトソーシング契約が切れ、契約更改もできず、その結果事業継続が難しくなったため6月末をもって解散することが明らかになりました。これまで様々な部門が子会社化されてきましたが、IGASの場合は20年で解散させられる運命となりました。
日本IBMが次に契約するのはCBREという不動産管理を主としている会社です。総務部門は事業所で働く全ての社員に関係します。社員向けサービスの大幅な低下が懸念されます。
総務部門の経緯
下表は総務部門がIGASとして子会社化されてから今年解散となるまでの経緯を簡単にまとめたものです。1999年の最初は100%子会社ですが、2012年に日本IBMはJLLに90%の株式を売却。やがて2015年には日本IBMとは一切資本関係の無い会社になりました。そして今回のアウトソーシング契約更改では受注できない結果となりました。
見せしめ出向事件
1999年の子会社化の際は労働争議も起こりました。日本IBMは55才以上の人に対し、労働条件が大幅に低下するIGAS社への転籍を強要。それでも転籍に応じない人に対して、会社はいやがらせで孫請け会社へ出向させ、郵便物の集配、隔離された地下室での伝票入力作業など今までの能力を一切無視した業務をさせました。
組合が裁判提訴し「市中引き回し」と題した宣伝はマスコミにも大きく取り上げられました。2001年に会社は組合と和解。その結果出向の形で労働条件を維持したままIGASに行くことができるようになりました。
IGASと日本IBM両社の責任を問う
組合はIGASと日本IBM双方の責任を問うべく団体交渉を開始しています。IGAS社の経営者は7年間の契約期間に何をしていたのか、万が一、次の受注が取れないときは会社解散になることがわかっていて、何の手も打たなかったのか、社員の雇用を守るために親会社のJLLに働きかけたのか、その責任は重大です。親会社であるJLLはなぜIGASを見放すようなことをするのか、その点についても追及が必要です。
また、日本IBMについても、契約を切ればIGAS社の事業継続ができなくなるリスクを知りながらあえて契約継続しなかった責任が問われます。
社員サービスの低下
CBRE社との契約はわずか1年半とのことですが、なぜ総務サービスをたった1年半で契約するのか、疑問が残ります。また、IGAS社よりも少ない人員でカバーすることが予想されるため、無人の事業所が増えることで、サービス低下が懸念されます。