9月1日は日本IBMの賃上げ日です。しかし従業員がおとなしくしている原状では賃上げに期待できません。前号でお伝えした通り、この14年間で従業員の平均賃金は50代平均で200万円も下降し、このまま行けば10年後にはさらに100万円も下降してしまうことが分かっています。
今夏のボーナス結果についても下表の通り日本IBMの一般職平均80万円はもはやJMITU主要企業の中に入らない水準となってしまいました。
コロナ禍で在宅勤務が広がり、従業員一人ひとりが孤立しがちです。しかし、今だからこそ、労働組合に団結し、集団的労使交渉のパワーで大幅賃上げとボーナス増加を勝ち取るときです。
パワハラ賃下げに対抗
もうひとつ従業員の賃金アップの重しとなっているのが「パワハラ賃下げ」です。「業績が期待に達しなかった」という理由で賃下げされる、道理も何も無い賃下げです。賃下げされるまでに「パワハラ低評価」、「パワハラPIP」、「パワハラ賃下げ」という順で狙った人を囲い込みます。
会社は特定の個人に対する賃下げの根拠を、2010年3月付で改定された就業規則の格付規定第6条3項「業績が職務内容に対して著しく低いと判断された場合は、本給、賞与基準額、本俸および定期俸基準額を減額することがある」という条項においています。
しかし、この内容は会社がフリーハンドで一方的に不利益変更を従業員に強いることができるもので、賃金減額基準や減額幅の規程も無く、まったく不合理な変更です。しかも労働組合との協議も十分にしないまま強行改定されました。これは労働契約法10条違反になります。
パワハラ賃下げについては裁判で賃金を取り戻す道が開かれています。労働組合が主導して現在は第3次裁判が行われています。これまでに第1次裁判から通算してのべ48人が参加しています。
今年の賃上げ要求
会社にこれまでの10年以上にわたる総人件費削減の是正をさせるため、今年の春闘要求では一般職平均5万円の本給(本俸)の賃上げを要求しています。本給の賃上げがされると同時に賞与基準額も上がりますが、賞与基準額も平均で40万円の引き上げを要求しています。
コロナ関連手当
これまでにご紹介している通り、組合は会社に在宅勤務手当、在宅勤務整備手当、危険手当を要求しています。6月26日の団体交渉では会社は「検討中」としか回答していません。
その一方で、通勤費のほうは7月から平均して週3日以上かつ2ヶ月を超えて通勤する予定の無い人は通勤停止の処理をするよう会社が発表しました。
通勤停止処理をすれば、残りの通勤定期代分の返納を求められる可能性があります。しかし、今回のコロナ禍による通勤停止は本人の責任ではありません。通勤停止処理に伴う通勤費の返金分まで求めるのは、やりすぎと言えます。そもそも通勤費は一旦賃金として支払われたものです。本人の責でない返金は求めるべきではありません。