ただし運用はさらなる改善が必要
2020年8月31日、COVID-19サマリーガイドページにて「在宅勤務のためのオフィス用品と一部のPC周辺機器の購入が可能となりました」との発表がありました。リンク先の購買ポータルには8月10日付で発表され、さらに9月11付で改定された「在宅勤務のためのオフィス用品/PC周辺機器の購入について」と題したページがあります。
組合は、在宅勤務のための「自宅の環境整備費一時金の支給」を要求していましたが、これで、組合要求が一部実現したことになります。
ただし、7月27日に、CHQファイナンスが同内容を発表していたにもかかわらず、日本の発表が遅れたことは問題ですし、運用には課題が多く、さらなる改善が必要です。
発表内容
次の条件を満たす場合に購入が可能です。
①COVID-19に伴って在宅勤務を行っている社員。
②PC周辺機器についてはCIO128で購入が許可されている機器に限定されます。CIO128ではPCおよびモバイル・デバイスは対象としません。
③既に保持しているPC周辺機器については破損した場合のみ購入可能。最新機器や高機能機器等への変更のための購入は不可となります。
詳しいガイドでは、オフィス用品と一部のパソコン周辺機器の購入が可能です。四半期ごとに一人当たり150ドル(15、750円消費税抜)まで購入できます。
現時点で購入できる品目については、業務上必要なオフィス用品とPC周辺機器のみとなっています。モニター、キーボード、マウス、マイクヘッドセット、プリンターインクカートリッジ、メモリー、各種ケーブル等が購入可能です。
オフィス用品は、REQ/CATのOA用品カタログから、PC周辺機器はHWカタログから。カタログにない場合は、RFQ Webからの見積依頼申請して購入します。
ソフトバンクC&Sとレノボ・ジャパン、システナからのPC周辺機器購入については、自宅への配送が可能です。
オフィス用品の納入先は、現時点では事業所のみの受け取りになりますが、自宅配送できるように準備が進んでいます。購入品目の拡大が必要です。
また、在宅勤務でなくなった時、担当業務が変わり貸与備品を必要としなくなった時、退職、出向からの帰任、業務上不要になった場合には、消耗品を除き、返却する必要があります。
購入費用は部門負担
本当に使える制度かどうかは、購入の際に使用する賦課部門コードが焦点となりますが、部門経費の場合は、「部門コード」、プロジェクト経費の場合は、「プロジェクト・コード」とされています。
これでは、部門やプロジェクト負担になり、在宅勤務に必要なものが予算不足を理由に承認されず購入できなくなるという問題が起きます。全社で使える在宅勤務者用の統一賦課部門コードを用意するなどの配慮が必要です。
さらなる改善が必要
厚生労働省は、テレワークの基礎知識や導入プロセス、労務管理の方法などについて解説した「テレワーク導入のための労務管理等Q&A」を作成しています。
テレワークに関わる費用負担区分については、通信費・水道光熱費など負担について明確なルールをつくり、従業員に対して、丁寧に説明することが必要と説明されています。
実際にかかる費用の実例として、ブロードバンド回線の基本料金や通信回線使用料については、個人の使用と業務使用との切り分けが困難なため、一定額を会社負担としている例が多く見られること。水道光熱費も実際には負担が生じますが、業務使用分との切り分けが困難なため、テレワーク勤務手当に含めて支払っている企業も見受けられること。やむを得ずテレワーカーが文具消耗品の購入料金を一時立て替えることも考えられますので、この際の精算方法等もルール化しておくことが必要であることが考えられるとしています。
更にQ&Aにおいて、労働基準法第89条第1項第5号では、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない」と規定されているとし、必要に応じて就業規則の変更を求めています。
今回の発表では、購入品目に限りがありますし、費用負担部門の問題で事実上購入が難しくなっています。厚労省のガイドに従って改善が必要です。