組合は労働条件の事前協議を要求
米IBMが10月8日に発表したインフラストラクチャー・サービスの分社化に伴い、日本IBMの対象部門も分社化されることが明らかになりました。
分社化される新会社について現時点で明らかにされている情報はほとんどありませんが、人員削減が行われる可能性や、さらに現在の日本IBM本体の労働条件が果たして確保されるのかも不透明なため、労働組合は労働条件についての事前協議を求める要求書を提出しました。
現時点での情報
社員向けに開示されている様々な情報を読み解くと、以下のようなことが分かってきます。
1.人員削減が行われた場合でもIBMが提供するサービスの品質に変化はないとあります。つまり、人員削減はあるだろうということです。
2.新会社へ移籍する社員の労働条件は現在IBMで提供されているものと同水準になる予定とあり、さらに、新会社の福利厚生は競争力のあるものを提供予定とあります。これは、現在の労働契約がそのままの形で承継されないことを意味しています。
3.子会社の移籍対象社員は数ヶ月をかけて確定するとあります。つまり、子会社の社員も移籍対象となるということです。
組合員は協定で保護
組合員は次のような会社との協定で保護されています。
(協定)組合員の労働条件等の処遇に関して、または、組合の組合員に影響を及ぼす就業規則その他の関連規程もしくは人事制度の変更に関して、組合から団体交渉の申入れがあった場合には、これに誠実に応じる。この場合において、会社は、組合から提案された日に団体交渉を行えるよう調整に努める。
組合はこの協定に則して団体交渉を申し入れるとともに、事前協議同意要求を10月21日に提出しました。
要求内容
分社化に際して、日本ではどのように行われるかを明確にし、雇用と労働条件を守るために事前に十分に協議し、合意の上実施するよう要求しました。
1.日本での分社化について、以下を明らかにすること。
・分社化させる具体的な対象部署名はどこか。
・新会社として独立させるのか、それとも他社に売却するのか。
・どのような日本の法律に基づいて分社化されるのか。
・日本でのスケジュールはどうなるのか。
2.IJDSなどの子会社について、以下を明らかにすること。
・1番の分社化に伴って分社化される部署はあるのか。
・分社化される具体的な対象部署名はどこか。
・独立させるのか、それとも他社に売却するのか。
・どのような日本の法律に基づいて分社化されるのか。
・設立された新会社との資本関係はどうなるのか。
・日本IBMとの資本関係はどうなるのか。
・日本でのスケジュールはどうなるのか。
3.分社化される新会社へ異動する対象従業員について、以下を明らかにすること。
・異動対象となる部署の原則的な考え方。
・具体的な対象部署名、対象者、対象人数、対象雇用形態。
・出向、転籍、移籍などの異動方法。
・労働条件(賃金、福利厚生、勤務地など)の変更の有無。
・本人合意の取得方法。
4.分社化される新会社へ異動する対象従業員のうち、組合に所属している組合員名を明らかにすること。
5.項4の組合員の労働条件を低下させないよう、組合と事前に十分協議し、合意の上で異動させること。