キンドリルジャパン 不安の声が続々

 日本IBMのGTS・IS事業が分割されてできるキンドリルジャパン。すでに関係する従業員に通知され、現在は協議や意見聴取、あるいは個別同意についてのプロセスが進められています。
 関係している人が検討するにしても、会社が提供している情報があまりにも少なく、判断に困る場合も多いのではないでしょうか。そこで、これまでに組合に寄せられている声をいくつかご紹介させていただきます。

やっていけるのか不安

 前号で紹介されていたた通り、売上が落ちているので、資金面が心配です。売上が落ちれば利益も落ちるので、運用専門会社としてのデータセンターをきちんと作れるのか心配です。
 また、運用専門になるということは開発部隊が無くなるということです。ということは新しい製品を発売しなくなることを意味します。会社が言うようにマルチベンダーになるということなら、幅広いノウハウの開発と販売要員のスキルアップが必要で、そのための技術開発部門が無くてはなりません。ところが、そうした情報が一切出てこない点も不安です。

精神論では不安

 会社の説明はどれも精神論ばかりで具体的なビジネスケースなどが出てこない点が不安です。社内で何かするときは必ず「ビジネスケースはどうなっている」ということをしつこいほど聞かれます。これほどの大きな分割に際してビジネスケースを作っていないはずはありません。従業員の生活がかかっているのですから、きちんと明らかにして説明すべきです。

対象者の定義が不明

 本来、インフラストラクチャー・サービスという名称だけで関係者は決められないはずです。法的には「主従事労働者」の厳密な定義があるべきですが、現場では「あなたは対象者になりました」と、なし崩し的に人選が進んでいます。自分がなぜ対象者なのか釈然としないという声が上がっています。

キャリア形成が不安

 日本ではGTS部門は会社の中での存在感が大きいですが、世界を見ると逆です。世界ではGTSのビジネスは小さくなる一方で、ほとんど存在感がありません。
 エンジニアのキャリア形成についても同様で、世界では開発系であるGBSの存在の方が大きくなっています。エンジニアの世界では技術力を養っていくプロフェッション・コミュニティがありますが、ここでもGBSの影響力が大きく、キンドリルとして離れてしまったらエンジニアとしてのキャリア形成が不安です。
 さらに、他のキャリアにも挑戦したい若い人からは、キンドリルへ行ったらずっとこのまま運用業務だけ、というのは避けたい。キャリアの幅が狭まるのは嫌だ、という声も聞かれます。

売却されないか不安

 社名に「IBM」という文字が無い点にも疑惑の声が上がっています。会社として発展させるなら名前のどこかに「IBM」と入れるはず。結局、4Qに独立させるタイミングでどこかに売却するのではないか、という疑いの声も上がっています。
 もし4Qに売却されるようなことになれば、もはや会社分割ではないため労働契約承継法はもう使われません。従って労働条件が維持されるという保証も無くなるということを意味します。

行先部門が不明で不安

 キンドリルジャパンにどのような部門ができるかの説明が無いため、現行の業務が継続して存続するのか、対応する部門はどこなのか、どこの部門で業務を続けることができるのか、不安の声が上がっています。

福利厚生が不安

 福利厚生も労働条件の一部です。代替措置も含めベルスによる家電の割引販売や、レノボPCのファミリー販売がどうなるのかについても不安の声が上がっています。

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