会社、コロナ禍に伴う経費削減状況を期限内に回答せず
前号では、組合が会社に在宅勤務手当支給について次の要求をしたことを報じました。
【要求】全従業員分の在宅勤務手当を、コロナ禍に伴う経費削減で生まれた原資で賄えるかどうかを検証するため、次の①~⑤の経費の削減状況を回答することと、その回答を元に団体交渉にて在宅勤務手当支給について誠実に協議すること。
①通勤費
②事業所の水道光熱費
③カフェテリア運営
④シャトルバスサービス
⑤複合機/FAXの維持費
会社の対応状況
組合はこの要求を5月24日に会社に出し、①~⑤の経費削減状況の回答期限を6月28日の団体交渉までと設定しましたが、会社がこれを期限までに回答しなかったため、当該団体交渉で十分な協議ができませんでした。組合が回答を催促したところ、会社は他部門との調整を含め対応すると回答しました。要求日から回答期限まで1ヶ月以上も時間がありながら、他部門との調整すら終わっていないという対応はずさんであり、不誠実です。
組合による検証
会社回答は別途待つとして、組合は全従業員分の在宅勤務手当を、コロナ禍に伴う経費削減で生まれた原資で賄えるかどうかを検証してみました。
まず、組合が今年の春闘重点要求で支給を求めている在宅勤務手当は1ヶ月あたり8千円ですから、在宅勤務手当は年間9万6千円です。一方、組合がランダムサンプリングによって調査した、昨年来、支給停止された年間通勤費(半年分の通勤費の2倍)の平均額は10万円を超えています。以上は従業員一人当たりの金額ですから、全従業員分の在宅勤務手当を上記①の通勤費の支給停止で生まれた原資だけで賄えることが検証されました。
焼け太りは許されない
さらに前号で報じた2020年の会社業績は、コロナ禍の下でも対前年比で増益でした。売上高は346億円減ですが、本業の利益を示す営業利益は269億円増、当期純利益も70億円増となりました。営業利益の増加は売上原価、販管費の大幅減(合計で616億円減)によるものです。
以上より、会社が依然、在宅勤務手当を支給していないことは、原資、業績の面からも不合理です。これはコロナ禍に便乗した焼け太りと言っても過言ではなく、許されてはなりません。