日本IBMのGTS・IS事業がキンドリルジャパンへ分割される手続きが進んでいますが、対象となる従業員の特定手続きや、キンドリルジャパンについての説明には数多くの問題があります。以下に解説させていただきます。
「主」か「従」か
会社分割で移籍対象となる従業員は、本来であれば、どういう基準の人が移籍対象者となるのか明文化して公表された上で本人に通知されなければなりません。特に重要なのが「主従事労働者」か「従従事労働者」かの区別です。この「主」か「従」かは大きな違いです。「従」であれば断ることができるからです。
しかし、移籍対象者の基準が明確にされないまま、6月に入るとどんどん所属長と従業員との個別面談が進められました。その中では「あなたは対象者です」としか伝えられず、自分が「主」なのか「従」なのかすら不明確なままで手続きがどんどん進められています。
組合に入ったら判明
「自分はどう考えてもキンドリルジャパンへの移籍対象者になるのはおかしい」と考えた人が組合に入ると、所属長の態度が変わり、改めて「従」であることが伝えられるという事例が報告されています。
組合ではこの間、商法等改正法附則第5条に従った協議を会社と続けています。従業員個人では会社との協議に限界があります。「おかしい」と感じたらすぐに組合にご相談ください。
従業員代表は
会社分割に際し、労働契約承継法第7条における会社との協議を従業員代表がやっています。本来であれば従業員代表から全社員に報告があってしかるべきですが、従業員に対して何の報告もありません。
そこで組合は会社に従業員代表との議事録を要求し、入手しました。ところがその協議議事録はわずか2ページ。Q&Aのやりとりはわずか7項目だけです。そのうち、特に大事な「主」従事労働者の判断の基準に関するところは2項目しかありません。
以下にその2項目のやりとりをご紹介します。
Q 主として従事しているか否かの判断基準のお話がありましたが、専らと一部という言葉が使われていましたが、専らと一部というのは明確に何%なら専らといった比率はありますか?
A 基本としては、主と従の判定においては、主と専らは同義です。MIS事業でデリバリーをする方であれば、ほぼ百%に近いかたちでMIS事業に従事していると推定されるというレベルだと思います。専らは百%ではないけれども、ほとんどそうであるという定義です。したがいそこは主たる従事者となります。
Q そうだとすると、項目6,7番のMIS部門以外で専らの人とはどういう人があたるのでしょうか?
A MIS関連部門はISやSOで、以外に所属している人となります。例えば主にはバックオフィスや営業部門などです。
大事な主従事労働者かそうでないかという判断基準がこのやりとりで終わりになっています。しかも、何らかの判断基準についての説明があったようですが、その資料すら公開されていません。
今後の組合の交渉
キンドリルに分割されるGTS・IS事業の売り上げが激減していることが判明した以上、組合はキンドリルの今後の事業計画を具体的に説明することを会社に求めていきます。特に次の点について明確にすることを求めていきます。
・予定資本金と出資者
・予定損益計算書
・予定貸借対照表
・予定バックログ
・部門体制、組織構成
・雇用計画
・サテライトを含む予定設立事業所
・個別組合員についての主従判定と予定する業務についての協議。