今年度分の賃上げはあるのか

5・1賃上げと夏ボーナスは低水準
在宅勤務手当も未だになしの三重苦

 今年は例年と異なり賃上げが5月1日付で実施されたため、賃上げと夏ボーナス支給の時期が近付き、6月発行のかいなに両方の記事を掲載しました。また、在宅勤務手当をめぐる交渉状況も前々号、前号で連載しました。
 このように今年は短期間に賃金に関する記事が慌ただしくなったため、以下に今年の賃上げ、夏ボーナス、在宅勤務手当をめぐる情勢を振り返ってみます。

今年度分の賃上げは

 組合は今年の春闘重点要求で、延期した昨年度分の賃上げと、今年度分の賃上げの両方を今年に実施するよう要求しましたが、会社は4月19日付レター「給与調整について」にて、2021年5月1日付の賃上げが何年度の賃上げであるかを一切表記していません。
 組合は、今年5月1日付の賃上げはあくまで延期した昨年度分の賃上げと認識しており、これとは別に今年度分の賃上げを実施することを要求しています。

5・1賃上げは低水準

 組合推定による全社の5月1日付平均賃上げ率はたったの0.5%です。前回の0.5%から横ばいの低水準です。
 一方、5月28日に経団連が発表した今年の賃上全業種平均は1.82%、金額では6040円です。さらに、下表のJMITU主要各社の水準はそれを上回っており、昨年に引き続き高水準な成果を維持しています。

夏ボーナスは低水準

 日本IBM本体のバンド7以下一般職の夏ボーナスの全社推定平均支給額は77万6千円、昨年より2万4千円のダウンです。月数では昨年の1.8ヶ月を下回る1.77ヶ月でした。
 JMITU主要各社は下表の回答一覧の通り、コロナ禍をものともせず好調な成果を上げました。前々号に掲載した回答速報では、日本IBMの回答は上位15社中15位に位置していましたが、あれから1ヶ月ほどで予想通り圏外に出てしまいました。

在宅勤務手当も未だになし

 今年の春闘重点要求である在宅勤務手当支給の組合要求に、会社は依然として応じていません。
 そのため、組合は、全従業員分の在宅勤務手当の原資の状況を検証するため、指定の5項目の経費の削減状況を回答することと、その回答を元に団体交渉にて協議することを要求しましたが、会社はこれを期限までに回答しませんでした。
 そこで組合は前号にて、この検証を独自に行ったところ、全従業員分の在宅勤務手当を通勤費の支給停止で生まれた原資だけで賄えることが検証されました。

従業員は三重苦に直面

 一昨年10月の消費税率2%引き上げ後、初となる今回の賃上げがこの低水準、夏ボーナスが昨年を下回る低水準、さらに在宅勤務手当がないために自宅水道光熱費の家計支出が増加、これらの三重苦に従業員は直面させられています。
 会社は従業員のこの現状に十分配慮した賃上げを実施すべきです。

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