「従業員の使い捨て七つ道具」を撲滅しよう

組合に加入して雇用を守ろう、賃金を引き上げよう

 日本IBMグループの従業員を対象に実施された、今年の春闘アンケートの集計結果(かいな2380号1面参照)によると、「雇用・リストラ」「企業の将来」「賃金」に不安・不満を持つ人の割合が昨年より上昇しました。特に「雇用・リストラ」に不安・不満を持つ人は69.9%と、昨年の30.3%の約2.3倍に跳ね上がりました。
 また、生活実感が大幅に悪化しました。生活実感については「かなり苦しい」「やや苦しい」の合計が79.6%と、昨年の44.8%の約1.8倍に上昇しました。
 この不安・不満の背景には、会社が「パワハラ4点セット」と「賃金三重苦」を巧みに使って行ってきたリストラ(人員削減)と人件費の圧縮があります。組合はこの「パワハラ4点セット」と「賃金三重苦」を合わせて「従業員の使い捨て七つ道具」と命名しました。

パワハラ4点セット

 個人業績評価に「パワハラ低評価」。改善指示に「パワハラPIP」。賃金決定に「パワハラ賃下げ」。組合はこれらを「パワハラ3点セット」と命名しています。
 そして、パワハラのダメ押しとしてバンドを降格するのが「パワハラ降格」です。組合は「パワハラ3点セット」に「パワハラ降格」を加えて「パワハラ4点セット」と命名しています。

賃金三重苦

 従業員は「低水準の賃上げ」「低水準のボーナス」「在宅勤務手当の不支給」の三重苦に直面しています(かいな2389号2面参照)。組合はこれらを「賃金三重苦」と命名しました。

パワハラ4点セットとのたたかい

 会社は「パワハラ4点セット」を使い、これに退職勧奨面談を絡めて、会社が「役に立たない」と一方的に決めつけた従業員を、さまざまな手段を使って社外に追い出します。ターゲットにした従業員の人格・誇りをズタズタにして、嫌になって会社をやめるように仕向けるのです。
 つい昨年にも4Qから会社がジョブ型評価制度のジョブが固定化される仕組みを悪用し、ジョブ型リストラを実施しました。「今後のキャリアをどうするのか」という面談を繰り返し、社外のキャリアへと誘導(退職を勧奨)する事実上の人員削減を大規模に行いました。組合は年末だけで400人が退職させられたと推定しています。
 このような会社のパワハラに対抗するには会社を公の場に引きずり出すのが有効です。組合は、パワハラについて団体交渉で協議したり、裁判に訴えたりしています。
 裁判は、「第3次パワハラ賃下げ裁判」が今年2月に原告組合員の全面勝利和解となりました。また、パワハラ降格裁判は現在もなお継続中です。

賃金三重苦とのたたかい

 会社はハイパフォーマンス・カルチャーの方針の下、10年以上にわたる人件費総額削減、賃上げ抑制を行ってきました。この施策は、従業員が将来の収入に見切りを付け会社をやめるように仕向けるリストラツールとも言えます。
 賃上げについては、まず、他社の今年の賃上げ動向を見ると、経団連が5月28日に発表した賃上全業種平均は1.82%でした。また、JMITU主要各社の賃上げ率は2%台後半と、昨年に引き続き高水準でした。
 その一方で、組合推定による日本IBM全社の今年5月1日付平均賃上げ率はたったの0.5%と、前回から横ばいでした。一昨年10月の消費税率2%引き上げ後、初となる5月1日付賃上げがこの低水準です。さらに追い打ちをかけるように、9月1日付賃上げの実施が日本IBM、キンドリルジャパン双方で見送られました(かいな2390号1面参照)。
 ボーナスについては、会社業績達成度が低く抑えられ、業績反映部分が上がらなくなっています。これに対して組合は、会社業績達成度の基準(US-GAAPに基づく決算資料)を示すよう要求していますが、会社は未だに示していません。
 在宅勤務手当については、昨年以降、繰り返し支給を要求していますが、会社は未だに支給していません。
 組合は今後も春闘、秋闘、団体交渉などで、本給の引き上げ、賞与基準額・会社業績達成度の引上げ、在宅勤務手当の支給を要求していきます。

組合に加入しよう

 会社分割のような大きな動きがあった後には必ず人員削減が行われるのが通例です。パワハラ4点セットや賃金三重苦に不安・不満を感じている方、リストラの被害に遭っている方、その予兆を感じている方を含め、ご自身の雇用を守り賃金を引き上げるために組合へのご相談、ご加入をお勧めします。
 当労働組合には日本IBMグループだけでなくキンドリルジャパン・グループの皆さんも加入することができます。

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