副主任手当を制限

日本IBMが不利益変更提案

 日本IBMでは従業員代表に対して来年1月1日から適用される就業規則改定案が提案されています。この中から以下に重要な改定案について詳しく解説します。
 私たち従業員の将来がかかっています。従業員代表がどのような対応をするか、注目しましょう。キンドリルジャパンでは現時点でこれらの提案はされていませんが、今後は要注意です。

副主任手当を制限

 日本IBMの職位は「バンド」と呼ばれます。大卒新入社員が6ヶ月の新入社員研修を終えて試用期間を卒業するとバンド6になります。その後スキルが上がるにつれて、バンド7、8、9と職位が上がっていきます。
 ところで、バンド6にあたる職位の人は過去に「副主任」と呼ばれていました。それで、バンド6になると「副主任手当」として月額4万1千円が付与されます。これは大きな手当です。一気に年収が五十万円近く上がるわけですから、がんばって6ヶ月間の厳しい新入社員研修を卒業する甲斐があるというものです。
 ところが、今般会社が提案しているのは「会社が定めるスキル及び基準を満たすまでのバンド6の学校新卒業者については副主任手当を支給しない」というものです。
 これでは、そもそも何のために厳しい新入社員研修を耐え抜いたのか、分からなくなります。これをクリアしても次のステージの試練が待ち構えているというのでしょうか。これこそ、労働基準法で禁じている労働条件の不利益変更と言えるのではないでしょうか。

会社の説明

 労働組合として団体交渉で協議したところ、会社の説明は次のようなものでした。
1.副主任手当はもともと残業代の先払いの要素があった。残業すれば同じことになる。
2.この条件が適用されるのは限られた職種の人だけである。
 現在、副主任手当が出ている人が残業した場合、その額を上回る分の残業をしないと残業代は出ません。しかし、言い換えれば、残業しなくても副主任手当はもらえるわけですから大きな不利益変更と言わざるを得ません。

将来の拡大不安

 そもそも、この変更提案にはこれが適用される職種が限定されることが明記されていません。このままでは会社がフリーハンドでこの条件を適用する職種を決めることができてしまい、職種・新入社員に限らず拡大適用される恐れがあります。
 さらに問題なのは「会社が定めるスキル及び基準」が明確になっていない点です。これでは、会社がフリーハンドで基準をどんどん厳しくすることができます。この点についても文書による基準の明確化が必要です。

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