パワハラ降格の恐るべき実態!!

 裁判第2回尋問でも明らかに

 1月24日、パワハラ降格裁判の第2回尋問が東京地裁527号法廷で行われました。すでにかいな2398号1面で報じた昨年12月27日の第1回尋問は、原告2名のうち1名に関する尋問でしたが、今回の第2回尋問は、もう1名の原告、森谷さんに関する尋問です。
 森谷さんは、営業報酬管理業務を行うSC&T(セールス・カバレッジ&トランスフォーメーション)に2012年12月から所属し、バンド7として営業報酬管理業務を担当していました。そこへ2013年10月、のちに森谷さんをバンド6に降格する牧陽子担当(以下、所属長)が森谷さんの所属長に着任しますが、その後の経過に関する尋問で、今回も日本IBMが実施しているパワハラ降格の恐るべき実態が明らかになりましたので、以下にお伝えします。

部門内は人員削減の嵐!

証人席の森谷原告(左)と原告側の並木弁護士(右)

 SC&Tでは2014年頃から業務の日本IBM関連会社への移管が計画され、人員削減が行われ始めました。所属長は、人員削減のターゲットとした従業員との退職勧奨面談を頻繁に行い退職・異動に追い込む、退職勧奨に応じない従業員に対しては仕事を取り上げて追い込む、ということを繰り返しました。
 その結果、SC&Tの人員数は、2014年1月に17名であったところ、2018年9月には8名まで削減されました。(この8名は他部門との統合後の、旧SC&Tの業務従事者の数です)
 この期間の、転入6名を加えた計23名の動きは、退職がなんと10名、転出が3名(うち2名は転出後に2018年9月までに退職)、出向が2名、残留は森谷さんを含む8名でした。

退職勧奨の始まり

 2015年10月9日から同年11月10日までに所属長との退職勧奨面談が4回行われ、所属長は森谷さんに「あなたに任せる仕事がないから他の異動部署を自分で探すように。退職した場合には退職金の割り増しがあるから退職してはどうか。仕事がないのだから異動先を探すか辞めるしかない。なんで辞めないのか?」ということをしつこく繰り返し述べました。

退職を拒否したら仕事を取り上げ

 これに対して森谷さんは退職を一貫して拒否しましたが、所属長は同年10月30日に理由の説明もなく森谷さんの担当顧客を全て取り上げ、同年11月13日に森谷さんの所属チームの週次会議から森谷さんを外しました。これで森谷さんの仕事は全て取り上げられました。

プレゼン課題の強要

 2015年12月1日から翌年2月10までに、所属長から何を目的としたプレゼンかの説明は無いまま、所属長が指定するテーマのプレゼンを5回実施させられました。所属長は森谷さんのプレゼンに対して、抽象的なダメ出し(依頼した主旨に合っていない、資料の作り方が悪い、要点がぼやけている、等)、理不尽なダメ出し(意味が全然わからない、等)、些末な点へのダメ出し(字が小さすぎる、等)を繰り返しました。
 このように、改善点を具体的に挙げるなど教育目的のコメントは無く、プレゼンは初めからダメ出し目的であったことは明らかです。

PIP、そして降格へ

 プレゼンでの所属長のダメ出しを受け、2016年3月7日に所属長とその上司との、再度の退職勧奨面談が行われ、森谷さんがはっきりと退職を断ったところ、所属長の上司が今後の改善計画の提出を求めました。何についての改善計画かの説明は無いまま、森谷さんが同月10日に改善計画を提出すると、所属長はダメ出しをして再提出を指示しました。
 そして、これに関して同月16日にセットされた面談で、所属長は改善計画には触れずに、PIPを実施する旨を通告し、同月18日から同年5月20日までに所属長とのPIP面談が9回行われました。所属長はPIP面談でもプレゼンの時と同様、森谷さんの資料に対してダメ出しをするばかりで、さらに退職勧奨を執拗に行いました。
 以上の経過を経て、2015年のPBC評価は「3」、PIPは目標未達成とされ、2016年7月1日付でバンド6へ降格されたのです。
   * * *
 このような退職勧奨に応じない従業員に対する仕事の取り上げ、課題強要、低評価、PIP、賃下げ、降格はパワハラです。また、退職勧奨に応じない従業員に対する度重なる退職勧奨は退職強要であり違法です。これらは断じて許されません。

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