2023年の年頭にあたり、よき新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
JMITU日本IBM支部(以下、組合)は昨年秋からすでに23春闘の準備を始め、新年を迎えて23春闘の準備を本格化させています。物価高騰が収まる様子が一向に見えないなか、言うまでもなく、23春闘は例年にない非常に重要な春闘です。23春闘では物価高騰からくらしをまもる大幅賃上げをなんとしても実現しなければなりません。
日本IBMグループ、キンドリルジャパン・グループの従業員の皆さん、23春闘ではぜひ組合に加入していっしょに大幅賃上げを実現しましょう。一人でも多くのより大きな声が組合の力となるのです。
23春闘を取り巻く情勢
新型コロナ感染がもたらした、生産減による物価上昇、人手不足・輸送力不足による物流運賃の上昇という状況があり、そこへロシアによるウクライナ戦争の長期化、異常な円安が重なり、電力・ガスや食料品、様々な生活必需品の値上げが続いています。
昨年10月の消費者物価指数は前年同月比3.6%上昇、上昇幅は消費増税時を上回り、1982年2月(3.6%)以来40年8カ月ぶりの上昇となっています。電力やガスなどのエネルギー価格は、1980年以来の上昇となっています。円相場が1ドル=140円台後半になったのも32年ぶりの円安水準です。1世帯当たりの負担増は年間13.1万円となります。40年前のオイルショック時や31年前のバブル経済の時は物価が高騰しましたが、それ以上に賃金も上がっていました。今は賃金が上がらず、物価だけが上がっていく異常な状況となっています。
政府・財界頼みではだめ、組合に加入しよう
岸田首相は1月4日の年頭記者会見で「今年の春闘について、連合は5パーセント程度の賃上げを求めています。是非、インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたいと思います」と述べました。
一方、経団連の十倉会長は1月5日の経済3団体の新年祝賀会後の共同会見で「物価高に負けない賃上げを会員企業にお願いしている。これはもう企業の責務」だと語り、さらに、今回は物価上昇にともない賃金を引き上げる動きが久しぶりに見えているとし、「基本給の引き上げ(ベースアップ)を中心とした賃上げを企業に働きかけていく」との意向を示しました。
政府・財界はインフレ率を超える賃上げの必要性を認めている点では一致しています。しかし、岸田内閣の経済政策の中身は、①「ジョブ型雇用」移行の指針づくりなど財界と一体となった成果主義賃金の推進、②転職・副業の受け入れ企業への財政支援、③解雇規制の緩和(無効解雇の金銭解決)などというものです。これでは賃上げどころか、雇用とくらしは破壊されてしまいます。
岸田首相は同じ会見で「そして、この賃上げを持続可能なものとするため、意欲ある個人に着目したリスキリングによる能力向上支援、職務に応じてスキルが正当に評価され、賃上げに反映される日本型の職務給の確立、GXやDX(デジタル・トランスフォーメーション)、スタートアップなどの成長分野への雇用の円滑な移動を三位一体で進め、構造的な賃上げを実現します。」と述べています。職務給と一体であるジョブ型雇用は仕事がなくなった時の退職勧奨とセット、リスキリングは退職勧奨・転職とセットにされ、無効解雇の金銭解決は解雇自由につながります。解雇自由、退職勧奨の自由を職場に持ち込ませてはなりません。
従って、このような経済政策を推進しようとしている政府・財界頼みでは賃上げは実現しないのです。自身も企業であるマスコミは、利害関係から賃上げに関する報道で企業・政府への忖度があり得ます。企業にも政府にもはっきりと賃上げを訴え実現できるのは労働組合だけです。従業員の皆さん、ぜひ組合に加入していっしょに大幅賃上げを実現しましょう。