組合が日本IBM、キンドリルジャパンに提出する秋闘統一要求書の中から「安心して働きやすい職場を求める統一要求書」を以下に紹介します。
1.すべての労働者の均等待遇を実現する要求
(1)賃金・一時金、手当、特別休暇、退職金等の労働条件において、性別、雇用形態、国籍などによる格差をなくし、均等待遇を実現すること。また、実行していない場合、その理由を説明すること。(2)「均等待遇」を口実にした正社員の賃金・労働条件の引き下げを行わないこと。
2.長時間労働を規制する要求
(1)必要な生活時間の確保とジェンダー平等を実現するために、1日の所定労働時間を7時間30分(すでに実現している場合は7時間)にまで短縮すること。(2)時間外労働の限度時間を1日2時間・週6時間・月20時間・年間150時間までとすること。臨時的・突発的に、限度時間を超える必要性が生じた場合には、労働組合とその都度、事前協議し36協定を再締結すること。労使の合意のうえ、特別条項を設ける場合であっても、月45時間・年間360時間までとし、限度時間を超える場合は都度、労働組合と事前に協議し同意を得ること。(3)限度時間を超える場合の割増率を50%以上とすること。(4)裁量労働制、テレワークや在宅勤務などあらたな労働時間制を導入する場合は、労働組合と事前に協議し同意のうえ行うこと。(5)長時間労働の是正をすすめるために、職場の業務量の実態に見合った人員増をおこなうこと。(6)人手不足を背景にした業務繁忙で年次有給休暇が取得しづらい環境を改善し、年次有給休暇取得の権利を保障すること。そのためにも、職場の有給休暇取得状況を開示して改善に向けた具体的な協議を行うこと。
3.労働者の雇用・権利をまもる要求
(1)「無効解雇の金銭解決制度」に反対し、「労働者の雇用をまもる」という経営責任を明確にすること。労働者の解雇・退職勧奨など雇用に関する施策については、労働組合と事前に協議し同意を得ること。(2)本人の希望にもとづき、有期雇用者・派遣労働者の正社員化を促進すること。正社員化にあたっての賃金・労働条件は労働組合と事前に協議すること。(3)無期転換労働者の賃金・労働条件は正社員と同一とすること。(4)「職務給(ジョブ型人事制度)」など名称にかかわらず、査定・成果主義を持ち込まないこと。賃金制度を導入・改定する場合は、労働組合と事前に協議し同意を得ること。
4.65歳までの定年延長と継続雇用者の賃金・処遇の改善要求
(1)賃金を引下げることなく65歳まで定年を延長すること。(2)定年延長を実現するまでの間も、継続雇用者の賃金について60歳到達時の賃金を維持すること。また、特別休暇や住宅手当・家族手当など正社員との均等待遇をはかること。(3)継続雇用者の無年金期間中の生活と65歳以降の生活に配慮し、60歳到達時の退職金を2千万円以上に引き上げること。(4)労働者が65歳以降も雇用継続を希望する場合、選別は行わず、賃金・労働条件、労働環境、働く条件を維持したうえで雇用すること。
5.ハラスメントをなくす要求
(1)ハラスメント防止法を踏まえ、別紙「協定モデル」にもとづき、ハラスメント防止のための制裁処分や相談窓口の設置、被害者の救済措置および再発防止などについて労使協議し協定化すること。(2)ハラスメントの温床となっている過重労働と人員不足の解消、過剰なノルマ(目標)の設定や成果・業績主義を改善すること。6.青年の要求(1)奨学金を返還している労働者について月々の返還金を支援する制度(代理返還など)をつくること。*「代理返還」とは、日本学生支援機構の奨学金を受けていた労働者に対し、企業が返還額を機構に直接送金することにより労働者を支援する制度。代理返還した金額を損金処理することにより法人税減税が見込める。また、自治体によっては「奨学金返還支援制度」を創設する事業主への助成措置がある。