GoogleJapanでの大規模レイオフに対抗するため、JMITUAlphabetユニオン支部は2023年2月に結成されました。
(AlphabetはGoogleの持株会社の名前です。)育休・産休中の対象者を含む違法な退職強要の是正を目指し活動されています。支部からの寄稿を紹介させていただきます。*****Googleは長らく、労働者を大切にする企業として知られてきました。無料の食堂、コーヒースタンドはテレビで見たことがある人もいるかもしれません。他にも、自由に使える卓球台などの設備から、18週間満額の産後手当、復職支援の会社契約のベビーシッターなど、福利厚生は充実しています。その反面、一度会社が退職させると決めた社員に対して、非常に厳しいという側面も兼ね備えています。この両極端な掌返しを、対象となった社員は「裏切られた」と表現しています。2023年の3月に、Googleの日本法人で、組織再編成に伴う退職勧奨が行われました。「断れば、職務の異動に伴い、社内システムへのアクセスを制限する可能性がある」という脅し文句を含むメールが対象者に送られました。断ればロックアウトされる、選択肢はない、と思ったと対象者は語ります。組合が把握している範囲で少なくとも6名の育休・産休中の対象者が含まれ、うち4名が恐怖により退職を受け入れました。生まれたての赤ちゃんを抱える母親は、将来を破壊されたと、労働局に行政指導を申請し、組合は11月に違法行為を認めたため行政指導を開始したとの連絡を受けました。この退職勧奨は終わっていません。断って残った人たちは、いくつかのチームに集められ、過小な要求型のハラスメントを受けています。「このリストに取り組んでくれ」と、ほとんど空っぽのリストを渡されたと言います。ほとんど全員が、下から4%の低評価を受けました。チームのほとんど全員がこれほど極端な低評価を受けているのは、人事評価権の濫用、ハラスメントです。そして、この低評価によって、冬季一時金と、ストックオプションも大幅減額となる見込みです。退職勧奨を断った人に対する明らかな不利益取り扱いです。
退職勧奨が明らかにする移民の立場の弱さ
Googleの職場は国際色豊かです。社内の公用語は英語で、日本法人社員の約半数は日本以外で生まれ育った人たちです。普段は対等に仕事をしているつもりでした。しかし、いざ職が脅かされる事態になると、彼らは日本において移民であり、弱い立場であるということが明らかになりました。もともと、転職が当たり前のジョブ型の企業です。独り身で、日本国籍を持っている社員の多くは、やり口には不満を述べながらも、退職は不満なく受け入れました。しかし、日本国籍、永住権を持っていない場合、そうはいきません。仕事を失えばビザも失い、帰らなくてはならない。日本に家族がいる。子供がいる。自分の国に帰れない事情がある。そういった人たちは、退職勧奨の脅しを乗り越え、会社に残りました。その後待ち受けていたのが上記のハラスメントです。日本語を読むことが難しいと、日本で保護された労働者の権利を学ぶことも、労働基準監督署などの行政機関の利用も難しくなります。
反省のない退職勧奨の繰り返し
会社は、2024年1月にも新たな退職勧奨を行いました。今回は、あろうことか、サインをする前から業務に必要なアクセスを先に制限してしまう更に強引なやり方です。対象となったと通知されると同時に、メールなどの必要最低限のアクセスを除き、専門業務に必要なアクセスが制限されました。会社にあなたの居場所はないと言わんばかりの対応です。去年の退職勧奨で労働局から違法の認定をされ行政指導を受けたにも関わらず、まったく反省の色が見えません。退職した社員の多くは、会社のやり方に不満を覚えながらも、退職パッケージに記載された「すべての訴えを起こさないことに同意します」という文言に怯え、声を上げることを諦めてしまいます。恐怖で脅して社員を黙らせるやり方がまかり通ってはなりません。JMITUAlphabetユニオン支部は、断固として抗議し、東京都労働員会への救済申立で会社の責任を追求します。次回期日は3月18日10時30分からです。傍聴、拡散のご支援よろしくお願いします。