労基法解体を許さない緊急集会 労働基準関係法制研究会議論の危険性を暴く

6月26日夜、全労連・春闘共闘・労働法制中央連絡会は「労基法解体を許さない緊急集会~労働基準関係法制研究会議論の危険性を暴く~」を全労連会館で開催しました。労働基準関係法制研究会(以下、研究会)は政府・厚生労働省が立ち上げた労働基準関係法の改正を検討する研究会で、日本経団連の意向に沿った内容で労働基準法の大幅な改悪を進めようとしています。

研究会はすでに検討のまとめに入りつつあり、報告書を年内に発表する予定です。報告書を受けて政府は来年早々から労働政策審議会での審議を開始する予定で、2026年の通常国会での成立を目指しているとされています。

緊急集会の目的

労働基準法には、労働者保護の拡充を求める労働組合の立場からすると改正すべき点がありますが、研究会の議論はそれとはかけ離れた方向へ進んでいます。研究会では、労働者のニーズと言いながら、実際には使用者側の要望に沿っていると思われる議論がされていますこ 。うした情勢を踏まえ、研究会での議論の危険性を学習し、職場・地域から労働法制改悪に反対する世論と運動をつくりあげることを目的に、この緊急集会が開催されました研 。究会が検討中の労働基準法の改正における様々な問題の中から、労働時間規制のデロゲーションと労使コミュニケーションについて解説します。

労働時間規制のデロゲーションと労使コミュニケーションについて

研究会では、長時間労働の是正をとなえながら、一方で、現行の労働基準法は画一的な規制だとして、労働者のニーズと企業の実態を踏まえ柔軟な働き方を実践・実現する必要があるという議論がされています。そのために労働時間規制のデロゲーションの範囲を拡大することが必要だと話し合われています。デロゲーションとは、法律や規制を逸脱する行為、または逸脱することを許可する行為です。さらに、現在の従業員の過半数代表者が機能不全に陥っていることが共通認識となっており、過半数労働組合がない場合の新しい労使コミュニケーションの場として「労使協創協議制」を設けようしています。つまり、労働時間規制のデロゲーションを、労使間合意の有無があいまいな労使コミュニケーション=労使協創協議制という方法で既成事実化しようという意図が見え隠れしているのです。これでは、労働基準法が使用者に課している規制が形骸化される懸念があり、労働者保護の拡充を求める労働組合の立場からは認めることはできません。このような労働基準法の改悪に反対する役割は労働組合にしか担えません。

労働時間の上限規制の意義

研発会では、労働時間の上限規制の意義は、過労死防止や健康確保に限られている、という意見があったとされています。しかし、厚生労働省の「所定外労働削減要綱」(平成13年)は、長時間労働の規制の意義は、過労死防止や健康確保に留まらず、個人の自己啓発、家庭生活の充実、社会参加の促進などの意義も含んでいるとしています。すなわち、労働時間の上限規制の目的は過労死防止や健康確保に限定してはならないということです。もし、過労死防止や健康確保に限定すると、過労死しない限り、または健康を害さない限り、長時間働かせてもよいという発想を招きやすくなります。厚生労働省は従来の見解を堅持し、さらに強化すべきです

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